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jo0jiが語る、imase&なとりとの仲、死生観を歌う理由

Rolling Stone Japan / 2024年10月2日 18時15分

jo0ji

落ち込んでいた友人に向けて、初めて作った曲が「不屈に花」。YouTubeに公開したところ反響を呼び、昨年9月には、WONKの江﨑文武と井上幹、常田俊太郎ら参加のEP『475』をリリース。地元・鳥取の漁港で仕事をしながら、今年7月、メジャーデビューを果たした。それがシンガーソングライター・jo0ji(ジョージ)である。

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昭和歌謡やフォークを今の時代にアップデートし響かせるjo0jiの歌は、「人間や人生、この世のものは、すべて不確かである」ということを実直に表現し、心の奥底を撫でてくれる。彼の死生観とはどんなものなのか、そして「音楽」というものをどう捉えているのかが気になっていて、その答えをもらったのがこのインタビューだ。9月25日にリリースされたimase & なとり「メトロシティ」にはシークレットゲストとして参加していたことを聞きつけて、その話題から入ってみた。

―先週リリースされたimase & なとり「メトロシティ」にjo0jiさんが「ガヤ」として声を入れられています。2月に公開したimaseさんとなとりさんの対談取材で、imaseさんがjo0jiさんの音楽を好きで、なとりさんに「jo0jiを紹介するよ」と会話をされていたのを聞いていて……その半年後にこうして曲が生まれたことに、めちゃくちゃワクワクしました。

jo0ji:imaseは、2022年8月に初めて「不屈に花」をYouTubeに出したとき、Instagramのストーリーズに上げてくれて、そこからDMするようになって。去年の春頃に東京へ来たタイミングで初めてご飯に行って、遊ぶようになりました。なとりはimaseが連れてきてくれて、今年の2、3月あたりに3人でご飯を食べに行って、仲良くなって「スマブラ」しようねと言ったりしていて。まだできてないんですけど(笑)。



―imaseさんとそこまで仲が深まるきっかけや共通項など、何かあったんですか?

jo0ji:本当に一番初めのタイミングだったので、まずimaseが連絡をくれた時点で「この無名の俺と関わってくれるんだ?」みたいな、そこでいいやつだなと思って。曲もポップで、俺とは正反対というか、俺には絶対に作れないだろうなと思うものを作っているところを尊敬します。imaseはみんなをフックアップすることが上手いし、俺らの世代でみんなをつなげる役割を担っているのだろうなと思いますね。コミュ力高いし。歳下ですけど、歳下感が全然ないですね。

―世代のハブ的存在というか。

jo0ji:そうなってくると思いますよ、彼は。

―「メトロシティ」のレコーディングは、どんな雰囲気でした? 友達感というか、和気藹々とした楽しそうな空気が、ちゃんと音源に入ってますよね。

jo0ji:入ってますね。「I! Y!」(サビ)とかやったりして。めっちゃ楽しかったです。そういうところに呼んでくれることも嬉しいなと思って。いい曲だし。しかも、都会に染まるか染まれないかみたいな瀬戸際にいる主人公が都会について歌っている曲で、まさしく俺も今そういう気持ちになってるので、「わかるなあ」って。まあ俺に関しては全然染まれてないんですけど(笑)。

―「世代」で括って語るのはあまりに乱暴だと思うんですけど……曲の作り方、歌の紡ぎ方とかで、3組に共通することは何かあると思いますか?

jo0ji:なとりとimase、どちらにも言えるのは、作り方が頭いいなって。ちゃんと彼らなりのメソッドがあって、それに則って作っている感がある。ちゃんとわかってやっているというか、「こういうものを作る」と決めて作っている感じがしますね。それがすげえなと思います。俺はどちらかというと、思い浮かんじゃったものをそのまま止まらずに突き進んで作っていくので。二人は言葉の選び方も「こういうふうに言ったほうがわかってもらえる」みたいな自分なりの言い方をちゃんと持ってるうえで、ポップスに刺していくのが上手いなと思います。

―jo0jiさんは、直感的に曲を作ったり、表現したいものをそのままゴリっと出したりしている感覚ですか?

jo0ji:そうですね。だから、あの二人は本当にすごいと思います。

―SNS/ストリーミング時代に出てきた世代のアーティストは、海外もごく自然と視野に入れている人が多いと感じるのですが、jo0jiさんは海外に対する意識についてどうですか?

jo0ji:海外をまったく見てないわけではなく、海外の人にも届けばいいなと思っているんですけど、「日本人じゃないとこういう表現にはならないだろう」というものを確立させた状態で届けたいと思っていますね。

―「海外に届けるため」のアレンジとかを考えるよりも、日本で生まれ育った自分らしいものを作ることが一番大事で、それこそが海外でも受け入れるんじゃないかと。

jo0ji:そのほうがいいように思うんですよね。

―2月に出したimaseさんとなとりさんの対談では、海外の人も聴きやすくする手法のひとつとして、グルーヴを出すための日本語の選び方や歌の中の母音の処理の仕方の話になったんですね。そこは、jo0jiさんの意識はどうですか?

jo0ji:多分、彼らの作り方だとそれがいいんだと思うんですよ。洋楽のビートでやると、どうしてもメロディに日本語がはまりづらいときがあるし。歌にグルーヴを出さなきゃいけないときはやったほうがいいんですよ。でも俺のやり方だと、そうじゃないほうがいいんだろうなと。歌謡的な感じで攻めていくとなると、逆に日本語っぽい節回しにしたほうがいいような気がしていて。演歌っぽいアプローチとか、民謡っぽい感じにするとなると、また話が違ってくると思うんですよね。

―jo0jiさんはそれだけ「歌謡」「演歌」とか、日本の伝統ある歌を今の時代に自分らしく表現することを、自分のオリジナリティとして大事にされているということですよね。

jo0ji:自分が住んでいるところが田舎ということもあって、音楽にもちょっと土着っぽい雰囲気があると思っていて。今の音楽シーンは、シティっぽい音になってきている感があるので、自分はそことは違う、ルーツが見えるようなものを作っていくべきだなと思っています。そこに今っぽいものをちょっと混ぜ込みながら、でも軸はずっと「田舎」「海」「自然」とかが垣間見えるようなものを作っていくのがいいのかなと思っていますね。

―2024年の今、もちろん歌詞がいい曲とかはたくさんあるんですけど、ここまで日本語のフォークを感じさせてくれる音楽は貴重だなと思うんですよね。

jo0ji:ありがとうございます。フォークとかカントリーが本当に好きだったので、そういうものがちゃんと聴こえるように作りたいなと思います。それらも海外から来たものだとは思うんですけど、そこに日本っぽい節回しとかが乗ってるものは、日本特有な感じがするんですよね。そういうものを今っぽくアップデートして音にできたらなと思います。


jo0jiが音楽の中で語る、死生観

―私は、jo0jiさんの音楽にはめちゃくちゃ特別なものであると思っているんですね。初めてjo0jiさんについて触れた記事には「jo0jiが歌うと、世界の規律が崩れ落ちる音がする」と書いたんですけど、「歌が上手い」とか「キャッチー」とかそんなことすらも超越して、「何か」が宿っている音楽だと感じるんです。そもそもjo0jiさんは「音楽」というものをどう捉えているのかということを、今日聞きたいなと思って。

jo0ji:小さい頃、大体、落ち込んだりバッドに入っていたりしたときに音楽を聴いていたので、音楽は「励ましてくれるもの」みたいな感じがありましたね。

―力をくれるものであり、人生の生き方を教えてくれるものであり。

jo0ji:そうですよね。「こういうふうに思うのは自分だけなのかな」って、落ち込んだりダメだなと思ったりしたときに、同じ状況の歌詞とかが出てくると「みんなこういうことを思ってたんだ」「独りじゃないんだな」って思うんですよ。しかも経験していく中でしかわからない感覚や感情ってあって、何の気なしに聴いていたのに、不意に「あ、このことを言っとったんか」みたいにくるときがあるじゃないですか。あれが本当に嬉しくて、楽しくて。音楽は本当に、色々な救いがあるなと思います。

―jo0jiさんの歌詞は、本来自分しか読まないような本音を吐露した日記であり、聴き手への手紙である、というふうに思うんですけど、そうやって音楽を聴いていた子ども時代は、自分のもやもやとか悩みを人にしゃべるタイプでした?

jo0ji:自分の中でぐるぐるしてたほうですね。言葉にするのが下手で。今もそうなんですけど。そんな感じなので、自分の気持ちを人に上手く伝えれなかったり、伝えようとしても恥ずかしくなったりめんどくさくなったりして、「もういいや」みたいな感じになっちゃっていたので。そういうときに、(忌野)清志郎、中島みゆき、(吉田)拓郎とかの曲の中に、「ああ、それです」ってなるのがいっぱいあって。「君が僕を知ってる」(RCサクセション)とか、すごく救われましたね。そこで勝手に自分の哲学みたいなものを作っていたと思います。

―自分の気持ちをあまり人に語らない中で、初めて友達のために「不屈に花」を作って聴かせたときは、どういう気持ちになりました?

jo0ji:「伝わるんだ」と思いましたね。友達がポエムみたいな歌詞を書くって、面白いと思うんですよ。だから普通に爆笑されると思ってたのに、「え、マジいいじゃん」みたいに言ってくれて。素直に伝わるもんなんだなって思いました。音楽というものが一個挟まると、照れくさいこととかでも素直にポンと投げれるんだなって、作ってみて思いましたね。もしかしたら、音楽を挟むと(受け手にとっても)ピントが合う感じがあるんですかね。


※2022年に公開されたMVと楽曲は現在非公開。EP収録verのMVが公開されている。

―「不屈に花」は友達が落ち込んでいるときに書いた曲だそうですけど、友達はどんなことで落ち込んでいて、どんなふうに声をかけてあげたいと思ったんですか?

jo0ji:俺らが21、22歳くらいのときに作った曲なんですけど、ちょうど友達が専門学校とかを卒業して働き始めた年だったんですよ。1年目って、「仕事辞めたい」とかの気持ちのブレが一番生じる時期なんですかね。俺は何も思ってなかったんですけど、友達は「この仕事はもう続けられないかも」「やめよっかな」「俺、こんなことやっとっていいのかな」みたいな、悩みとか焦燥感を募らせていて。それを傍から見て、「お前らなら別にどうなろうが大丈夫じゃね」というふうに思ったので、とりあえず人に気遣いすぎんように、思うように生きていったらいいと思います、っていう感想を伝わるように書いたらそうなったんですよね。

―それがこんな表現になるのが……凄すぎる。

jo0ji:友達は、一人ひとり芯があって、自分の中の正解みたいなものがちゃんとある人たちなので、そこにバッテンをつけられると病んでしまったり……生き死にとかまでいきそうな危うさがあったので、そういうことはしてくれるなよっていう気持ちとか、「絶対に大丈夫だから」ということを、どうにか歌詞にしたという感じです。

―今「生き死に」という言葉が出ましたけど、jo0jiさんの曲って、死生観とか、死というものに対する眼差しが見える気がするんです。そういった意識はjo0jiさんの中でありますか?

jo0ji:生き死には、日常の中にあると思うんですよ。自分もそのうち絶対に死ぬし。人は唐突に死ぬということを、今まで生きてきた中でも何回か経験したので。死とは隣り合わせだし、自分もいつ死ぬかわからんし、という中で、諦めるでもなく、大げさに怯えることもなく、受け入れるというか。受け入れた先に、成長というか、悟りというか、何かがある気がして。なので生き死には、ずっと横にある存在だと思います。隣人というか。そういう感じがありますね。

―「cuz」は亡くなったおばあさんのことを書いた曲だそうですけど、そういうことを考えるきっかけは、それだけじゃないということですよね。

jo0ji:そうですね。一般的に、24、5年生きていたら、どれくらい人を亡くすものなのかわからないですけど、けっこう亡くしている気がするんですよね。田舎なので、高齢者の知り合いが多かったりするし、車の事故で亡くなったりもするし。親が漁師で、水難事故で人が亡くなることもあるし。突然の別れは、何個かあったりして。でも、仕方がねえなっていう考えなんですよ。家族や周りの人も。みんな「まあ天命だから」って言うんですけど、本当にそうだなと思って。なるべく前へ進むように、って思うようにしてます。乗り越えなくてもいいのかもしれないし。生きていくということは、そういうものなので。共存する、というふうに生きられたらいいなと思う。だから歌詞にも、いつでも死はそこにあるということを、どこかに漂わせていたほうがいいなと思うんですよね。

―とても大事な真髄部分を話してくれてありがとうございます。最新曲「BAE」(読み:ベイ)も凄い曲で。ここにも”影”、”亡霊”という言葉が出てきて――いろんな捉え方ができる言葉だとは思うんですけど――これは、どういうふうに生まれた曲ですか?

jo0ji:いろんな曲を作っていく中で、自分らしさみたいなものがわからなくなった瞬間があって。どういうものを作ればいいのかとか、ポップスとは何か――いろんな人に届くものを、と考えながら作っていたんですけど、自分らしさが死ぬ感覚があったり。あとは、人の目とかを気にしたことが今までなかったんですよ。SNSも身内だけでしかやってなかったし、不特定多数の人に見られる感覚がまったくなかったところから、どんどん人に届くようになって。第三者が出てくると、こんなにも自分はブレるのかと。そういうときに、一回全部抜きにして、何も考えずに、今思っているもやもやとかを全部吐き出すような形で作ってみようっていうので作り始めた曲です。





「BAE」の凄まじいアレンジ、その意図とは

―「音楽業界」と呼ばれるところに入って、音楽活動の規模が大きくなってきた今、jo0jiさんはどういう気持ちを抱えているのかなと、この曲を聴きながら思ってました。

jo0ji:葛藤、焦燥とかがすごくこもってはいるんですけど、でもこの曲の中で出た結論としては、俺はアホだからそういうことを考えても無理なので、思いっきり自分がいいと思ったものに突き進んでいくしかないんだろうなということで。そこに向かっていく曲ですね。どんどん這い上がっていく感覚というか、光の方へ向かっていく感覚。だから自分の中ではポジティブな曲なんですよね。ダークなように聴こえるんですけど、自分の中で一番ポジティブな曲だと思います。

―イントロから掴まれるものがあって。ダークなところから始まって、曲の途中で一気に明るいところへと飛ぶという、この凄すぎる構成はどんなことを考えて作ったんですか?

jo0ji:他の曲も大体ピアノから作っていて、コードを弾きながらメロディや歌詞を一緒に考えるんですけど、ずっと独り言をしゃべってるんですよね。「これはやりすぎですね」「これはちょっと……あれ、かっこいいんじゃないですか」とか。しゃべっているのは、もう一人の自分というか。「こう見られたい」「こうあるべきだろう」っていう自分とは別の、「お前、こうなんじゃない?」とか指摘を入れてくる自分――多分みんな、そういうもう一人の自分がいると思うんですけど。曲を作ってるとき、そいつとずっとしゃべってるんだろうなと思って。多分、曲を作るときはそいつを最優先すべきなんだろうなと。「BAE」は「BEFORE ANYONE ELSE」の略なんですけど、「最後はこいつを一番優先するべきだぞ」っていう意味でこの題名をつけました。なので、これは俺とそいつがずっと会話してる曲です。”遠くにみえたあの星に届きそうさ/世迷い言を聞いとくれよ/ドントウォーリーベイベー/きっと、どうにかやってみせるさ/意識の裏にいつも君がいる”は、表面にいる自分がそいつに向かって宣誓をするっていう。

―なるほど。この曲に限らず、jo0jiさんの曲は人間の心の揺らぎを、嘘をつくわけでも誤魔化すわけでもなく、そのまま表現する度胸がある方なのだなと思っていたんです。一気にキラキラするくらい明るくなる”思い詰めて、cry/いつでもお前は最高なのにな/苦し紛れの、lie/本当の、言葉なのになぁ”のパートは、どういったイメージでしたか?

jo0ji:そこは、もう一人の自分が慰めているというか。「お前、考えすぎだよ」みたいな。結局、自分に対して嘘をついたかついてないかが一番大事な気がしていて。自分に対して嘘をついてないものだったら納得がいくと思うんです。でも自問自答を始めると「自分自身の正解って何だっけ?」ってなる瞬間があって。それ以上こねくり回しても一緒だよっていうところを、ずっとこねくり回すことが俺は多くて、そこに対して「大丈夫、お前はもう最高だから」って言ってやる存在があってほしいなって。それはみんなの頭の中にもあってほしい。やっぱり、自己否定しちゃう人が多いと思っていて。自分に対して否定的なポジションを取っちゃう人が多いから、「自己肯定感」という言葉が流行るんだと思うんですよ。肯定する存在を自分の中に飼っておく必要があるなと思いますね。

―やっぱりjo0jiさんの曲は、ちゃんと聴き手への手紙にもなっているんだなと思います。もう1つアレンジについて質問をすると、子どもの声を入れたのはどうしてですか?

jo0ji:子どもの声を入れた理由は……創作物を出すと、いろんなところで数字が見えるじゃないですか。数字にとらわれて、いっぱい数字がまわるようなものを作ろうと考えると、子ども騙しをしているように感じた瞬間があって。大衆性を持たせようとすると、どうしてもわかりやすさを重視し始める気がして、わかりやすくしようとすればするほど、どんどん子どもの目線に下りようとしていくというか。でも別に俺は子どもに向けて作ってるわけじゃないし、しかも結局そういうものを作ったところで嘲笑われるんだろうなと思って。自分が子どもの頃に、もし「目線を下げて作りました」みたいなことがわかってしまった場合、「なんだこのダセェやつは」って思うのだろうなと。そういう想像が生まれて、フックを作ったときに失笑が頭の中で鳴っていた感覚があったので、次のターンに行くまでに声をちょっと流して、そのあと「オエッ」っていうのを「ダサッ、オエッ」という感覚で入れました。

―なるほどなあ。この曲は今後もずっと、自分がブレそうになったときに立ち戻れる場所にもなりそうですね。

jo0ji:そうですね。軽はずみに「大衆性とは何か」みたいな感じで、それを目的としてものを作ると失敗が起きるなあと思って。子どもを舐めてはいけないし、自分が小さい頃に何を聴いていたかを考えると、今でも好きなものを聴いていたんですよ。なので、変に下っていくみたいなことは、聴く人たちにとっても失礼だろうなと思う。子どもたちにも一人の人間として関わっていくほうが、これから先の世の中にとってもいいだろうなとも思うし。そういうことを色々思ったので、子ども騙しはやめようというので、ああいう子どもが笑ってる声を入れました。

―そういった展開があって、最後、フックが繰り返されるけど、ただまっすぐ光に向かって走っていく感じではなく、最初のフックより「ちょっとだけ弾んでる」くらいの感じが絶妙だなと思って。どん底よりはちょっと上がってるんだけど、一気に明るくなるわけじゃない、というのが人間のリアルで、それをそのまま表現したアレンジだなと。人間、なかなか急にめっちゃ上向きにはなれないから。

jo0ji:ですよね。ずっと地続きな感じは出したかったので。ちょっと気分が上がった状態で同じことを思ったら、こんな感じになるんだろうなって。バコーンと上がるときの曲は多分、他の人がいっぱい作っているので。助走として、こういう曲を使ってもらったらいいのかなと思いますね。

―本当に凄い曲です。今、曲作りや音楽活動に対するモチベーションはどんなところにありますか?

jo0ji:曲を作るのが楽しいので、どんどん作りたいなっていうのがモチベーションかもしれないですね。「あれもやりたい、これもやりたい」っていうのがあるので、今は出し尽くしたい感覚が強いですかね。それを順々にやっていくという、そういう作業かもしれないです。いろんな人が聴いていいっていうような、国民的ヒットソングと呼べる曲を作りたいなと思います。でも、ちゃんと自分らしさを担保しつつ。

―最後にまた世代の話をすると、この世代に「目標は?」って聞くと、もちろん人にはよるんですけど、ちゃんと自分が作りたいものを楽しく作って、幸せに生きて、そのうえで大きいところでのライブや海外を目指したいと言う人が多いと感じていて。昔とは、順番が違っていることを感じるんですよね。それは、ミュージシャンの世界に限った話ではなく。

jo0ji:そうあるべきだと思うんですよ。音楽だけにとどまらず、世の中があまりにも資本主義に則りすぎた気がするんですよね。そういう想いを持った人たちがどんどん出てきて、世の中がそういうもので溢れていったらいいなと思います。「のし上がってやろう」みたいなハングリー精神でやっていくメンタルは自分にないなと思うし、そういうことばかりが美化される世の中もちょっと生きづらいなと思うので。自分はそこからは距離を置いてものを作るようにしていますし、芸術は特にそうあってほしいなと自分は思います。

―もちろん、社会で生きているとどうしても「お金なんていらない」とは言えないんだけど、その中で削られちゃう感情や声も大事にしたいですよね。それが「不屈に花」で歌ってることだとも思うんですけど。

jo0ji:どこまで行っても結局、人と人なんでね。温かい人が増えてほしいなっていう。田舎に住んでいたせいもあるかもしれないですけど、そんなに悪い人はおらんだろうっていうふうに思うんですよ。まあいるんだろうけど、思いっきり「悪」に振り切ってる人はなかなかおらんだろうって。人のいいところがちゃんと伝わるような世の中になってほしいなと思うし、自分の曲が世に広まることが、何かの手助けになればいいなと思います。

―世の中や人間は不確かなことだらけである、ということをそのまま表現してるjo0jiさん音楽が、どこから生まれているのか、今日たくさん言語化してくれた気がします。都会で生きていると、自分のスケジュールとか、あらゆる選択を、自分で確かなものにできるって思い込んじゃうんですよね。

jo0ji:東京に来ると、時間が刻まれてるじゃないですか。魚の配達だと、渋滞が起きたら時間を守るのは無理だし、漁師が魚をとってくるのが遅かったら無理だし、そもそも魚がとれんかったら魚ないしっていう。すべて確証がないんです。逆に東京に来ると、確定されていることが多いのですごいなと思いますね。だから都会の人のほうがもしかしたら俺の曲が刺さるのかもしれないですね(笑)。ずっと田舎で作っていく所存です。2拠点生活になったら一番いいのかなとも思ったりはしてるんですけど、都会に住み着くことは多分ないですね。



<INFORMATION>


jo0ji
『BAE』
配信中

「jo0ji 1st ONEMAN LIVE 漁火」
2024年11月1日(金)東京・渋谷WWW X
2024年11月9日(土)大阪・Yogibo META VALLEY

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