SUM 41のデリック・ウィブリー、元マネージャーからの性的虐待を告発
Rolling Stone Japan / 2024年10月15日 22時35分
SUM 41のデリック・ウィブリーが、初代マネージャーから受けていた虐待的体験について口を開いた。
【画像】触る、舐める、挿れる、極悪非道なレイプ犯
SUM 41のフロントマンは今月8日に出版された回顧録『Walking Disaster』の中で、バンド結成初期に最初のマネージャーだったグレイグ・ノリから身体を触られ、性的虐待と言葉の暴力を受けていたと主張している。
「このことはずっと墓までもっていくつもりだった。一切公言する気はなかった」とウィブリーはローリングストーン誌に語った。「本の執筆にとりかかたところで、『自分に正直にならないわけにはいかない』と感じたんだ」。
ロサンゼルスタイムズ紙も報じているように、ウィブリーは回顧録でSUM 41がノリとタッグを組んだきっかけを詳しく綴っている。カナダのパンクバンドTreble Chargerのフロントマンだったノリは当時34歳、ウィブリーは16歳だった。ウィブリーの話では、バンドメンバーに初めて酒の味を教えたのもノリだったそうだ。やがてノリは徐々に、音楽業界の先輩から支配的で虐待的なボスへ変貌したという。
ウィブリーの主張によれば、18歳だった当時レイヴの会場で、トイレで一緒にエクスタシーをやろうとノリに誘われた。トイレに入るや、ノリはウィブリーの顔を掴んで「熱い」キスをしてきたと本には書かれている。ウィブリーが驚くと、ノリは今まで同性に惹かれたことは一度もない、俺たち2人は「とても特別だ」と言ったそうだ。
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時の経過とともにウィブリーは元マネージャーとの身体接触を忘れようとしたが、逆にノリはウィブリーを「ホモ嫌悪症」呼ばわりしたり、お前のキャリアを後押しした「恩を忘れるな」と言ったという。
ロサンゼルスタイムズ紙によると、ノリとウィブリーの共通の友人が事の次第を知ったことで、性的アプローチはストップした。性的な虐待は止まったものの、ノリはその後もバンドに虐待的な態度を続け、共同作曲者としてクレジットするようバンドに強要したり、頼み事への返事を再三すっぽかしたりしたという。2005年にノリが解雇されて以来、ウィブリーは連絡を取っていないそうだ。
「いざグレイグ・ノリのことになって、『これも話さなきゃだめか?』と思った。でも話さずにいられるか? 7年間のすべてと密接に絡んでいるんだから」とウィブリーはローリングストーン誌に語った。「話さなかったら、嘘をつくことになる」。
ローリングストーン誌はノリにコメント取材を申請したが、すぐに返答は得られなかった。
ウィブリーは事情を誰にも話さなかったが、アヴリル・ラヴィーンと交際した際に初めて、自分の経験したことは虐待だと言われた。本には、ウィブリーが打ち明けるとラヴィーンは「それって虐待よ!」と叫んだと書かれている。「あいつはあなたを性的虐待したのよ」。
「ずいぶん長い間、これ以上考えないように過ごしてきた。それは自己防衛だと気が付いた」と本人はローリングストーン誌に語った。「後になって、自分はあえて考えたくなかった、自分が被害者だと感じたくなかったんだと気が付いた。被害者として問題を抱えたくないと思っていたんだ」。
ウィブリーも本の中で、自分の体験を「虐待」とは呼んでいない。今振り返って、当時の体験は「虐待」だったと思うかと尋ねると、今はまだ「初期段階」で、当時の経験を消化しているところだと答えた。
「初めて向き合っているところなんだ。どうとらえていいのか分からない。ひどく操られていたのは否定できないが、当時はそれが何なのかよくわかっていなかった」とウィブリー。「あいつと同じ年齢になって、ようやく分かり始めた。俺がティーンの時、あいつは30代半ばで、憧れの存在だった。そういう力関係を考えれば、16歳のガキを操るのはわけもないだろう」。
ウィブリーいわく、本ではただ真実を書き、自分の経験が何だったのかは「読者の判断」に委ねたそうだ。「虐待」かどうかについては、「世間がそうだと言うなら、それで構わない」と言い、「自分の中ではずっと『人生で経験した最悪な出来事』と呼んできた」と付け加えた。
本には他にも、ノリが作曲もしていないのに、バンドの信頼性があがるからと言って、自分の名前をクレジットしろと要求したという主張もある。またウィブリーはロサンゼルスタイムズ紙との取材で、ノリがメンバーの両親をバンドから「遠ざけようとしていた」とも話している。
「今になれば合点がいく。あいつは両親と同じ世代だったから、当時の俺たちには分からなかった。親がバンド内の状況に疑念を持つだろうと、あいつにはわかっていたんだ」とウィブリーはロサンゼルスタイムズ紙に語った。「あいつはいつも言ってた、『親と仲良くしながらロックするなんて無理だ。そんなのカッコ悪いし、キャリアにも傷がつく』とね」。
ウィブリーが暴露しようと思ったきっかけは、妻のアリアナと行ったピープル誌の合同インタビューだった。インタビューでアリアナは自殺未遂したことを告白した。「あの時彼女が勇気を奮うのを見て、触発された」とウィブリー。「胸の内をさらけ出すことが重要だと感じて、俺も生まれ変わった」。
『Walking Disaster: My Life Through Heaven and Hell』には、自分の経験した良いことも悪いことも歌詞のヒントとなり、最終的にSUM 41の音楽を支えていたことが全編を通して綴られているという。
「歌詞の表現は曖昧でも、作品はすべて俺個人の経験から来ている」と本人。「本を書き始めた当初は自分にこう言い聞かせた。『カッコつけようとするな。ただ黙って真実だけ書くんだ』と。そこからはノンストップだった。全部一気に出てきたよ」。
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