1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

【シカゴ音楽旅行記Vol.4】音楽好きが集う「夢のホテル」 グルメも観光も味わい尽くす

Rolling Stone Japan / 2024年10月25日 18時4分

Virgin Hotels Chicagoの屋上ラウンジ「Cerise」から見える夜景。DJの音楽とともにカクテルが楽しめる(Photo by Shiho Sasaki)

世界有数の音楽都市、シカゴの知られざる魅力に迫る観光レポート連載【シカゴ音楽旅行記】(全4記事)。第4回は音楽と夜景、カクテルが一緒に楽しめる、お洒落でロケーション抜群のおすすめホテルを紹介。さらにグルメや観光の必見スポットにも足を運んだ。


必ず食べたい「3大名物料理」

シカゴといえば「食」の街、旅行といえばご当地グルメ。絶対に外せない「3大名物料理」もしっかり味わってきた。

初日のランチはPortillo's。1963年創業、家族経営の小さな屋台から全米規模のチェーンに成長したシカゴを代表するファストフード店で、3大名物のうちの2つがここで味わえる。観光人気の高いリバーノース店は、レトロアメリカンな内装や開放感のある吹き抜けがテーマパークっぽい。


Portillo'sリバーノース店の外観(Photo by Shiho Sasaki)


内装もファストフード店とは思えないエンタメ感。シカゴの英雄マイケル・ジョーダンのユニフォームも飾られている(Photo by Shiho Sasaki)

Portillo'sのホットドッグは地元民にも愛されており、シカゴ出身のチャンス・ザ・ラッパーはある時期、Uber Eatsから2日に1回ペースで注文していたほど。大きなピクルス、トマト、刻んだ玉ねぎ、青唐辛子などを牛肉100%のソーセージと挟み、マスタードとセロリソルトで味付け。シカゴスタイルはケチャップ厳禁で、山盛り具材の味と食感がそのまま組み合わさるため、酸味も塩味も感じつつ素材の味を堪能できる。かなり美味しい。

イタリアン・ビーフも人気の逸品。じっくり煮込んだスライスビーフを、はみ出すほどのボリュームでロールパンに挟み込む。旨味が染み込んでおりジューシーでつゆだく。日本で「牛丼パン」と例えられてきたのも頷ける。


左からイタリアン・ビーフ、ホットドッグ。激甘なシェイクも個人的には好き(Photo by Shiho Sasaki)


Portillo'sの紹介映像。盛り付け方も食欲をそそる。激甘のシェイクも個人的には好きな味

2日目は1966年にオープンしたシカゴピザの老舗、Giordanosに向かった。前述したミレニアム・パークのすぐそばに店舗があり、ランチの時間帯も大盛況。広い店内はスポーツバーの要素もあり、複数台あるモニターではシカゴ・カブスの試合中継が流れていた。

シカゴ産のディープディッシュ・ピザはその名の通り、深さのあるタルト型の器に生地を敷き、具材の上にこれでもかとチーズとトマトソースをかけて、じっくりとオーブンで焼いたもの。注文から焼き上がりまで待つこと30分、見たことのない分厚さのピザが運ばれてきた。どこまでも伸びるチーズには思わず仰天! 何層も詰まった中身は濃厚こってりで、生地のサクサク感も癖になる。


チーズがこーんなに伸びる!(Photo by Shiho Sasaki)


Giordanosの店内。壁の「EAT PIZZA」が自信を覗かせる(Photo by Shiho Sasaki)


Giordanosによるピザの作り方。想像以上にチーズが盛り盛り


クルーズツアーとシカゴ美術館、おすすめ観光スポット

音楽漬けの旅行でも、観光の定番はバッチリ楽しみたいもの。まずは人気クルーズツアー「Chicago Architecture Center River Cruise」に参加した。シカゴ川の支流に沿って建築様式の変遷を確かめ、ナレーターの解説で学びながら壮観な高層ビル群を見学。2階建ての船「ファーストレディ号」にはバー設備もあり、屋外デッキでドリンクも楽しめる。


クルーズツアーの様子。90分間どこを向いても絶景が広がる(Photo by Shiho Sasaki)


写真中央のSt. Regis Chicagoは2020年に完成。女性によって設計された世界で最も高い建造物で、3棟のビルは波打つような曲線のフォルムが特徴的(Photo by Shiho Sasaki)

特にテンションが上がったのは、ウィルコの名盤『Yankee Hotel Foxtrot』のアートワークでもお馴染みのマリーナ・シティ。1967年に完成したトウモロコシ型のツインタワーは65階建てで、人気イベント「Gospel Brunch」でも知られるライブハウスHouse Of Bluesも施設内にある。19階までは駐車場で、上層階に約900世帯が入居しているそうだが、このなかで暮らすというのはどういう感覚なのだろうか。



マリーナ・シティはクルーズツアーの序盤でお目見え(Photo by Shiho Sasaki)


クルーズツアーの前後に、シカゴ川沿いのリバーウォークもおすすめ(Photo by Shiho Sasaki)


「Chicago Architecture Center River Cruise」の紹介動画。写真を撮りまくってしまうこと間違いなし

続いてはシカゴ美術館へ。クルーズツアーの乗り場からは徒歩15分。かの有名な「ルート66」のスタート地点や、シカゴ交響楽団の本拠地シンフォニー・センターが真向かいにあると現地で知り、文化的シンボルの密集度に驚かされた。


ルート66といえばナット・キング・コール、チャック・ベリー、ローリング・ストーンズも取り上げた「あの曲」が聞こえてくる(Photo by Shiho Sasaki)


リッカルド・ムーティ指揮、シカゴ交響楽団の演奏によるベートーヴェン「第九」。シンフォニー・センターからシカゴ美術館まではたったの80m!


シカゴ美術館に到着。ライオン像は定番の撮影スポット。ここからミレニアム・パークまでは徒歩3分(Photo by Shiho Sasaki)

シカゴ美術館は全米2位の敷地面積を誇り、展示の膨大さも評判どおり。じっくり鑑賞するなら1日がかりでも足りないが、今回は90分の駆け足コースで見て回ることに。

ここでしか見れないスーラの点描画『グランド・ジャット島の日曜日の午後』は、その緻密さや色彩に感動を禁じ得ない。モネやルノワールなどの印象派コレクション、ゴッホ『自画像』グラント・ウッド『アメリカン・ゴシック』エドワード・ホッパー『ナイトホークス』といった当館の人気作も見応えがある。


『グランド・ジャット島の日曜日の午後』。映画『フェリスはある朝突然に』でザ・スミスの名曲「Please, Please, Please, Let Me Get What I Want」(劇中で流れるのはドリーム・アカデミーによるカバー)とともにフィーチャーされていたのを思い出す(筆者撮影)


収蔵作品は30万点以上、そのうち約2000点が展示されている。館内はフラッシュを焚かなければ写真撮影OK(Photo by Shiho Sasaki)


天窓に色鮮やかなフィルムを張り巡らせた、マーガレット・ホンダのアート作品『Double Feature with Short Subject』(Photo by Shiho Sasaki)

個人的にはハンマースホイによる1907年の室内画も印象深い。ピアノ、チェロ、バイオリンが置かれた部屋にはモノトーンの静寂が漂い、上質なアンビエントミュージックにも通じる穏やかさを感じた。撮影担当の妻は、ちょうど読み終わったリチャード・パワーズの小説『黄金虫変奏曲』に出てくるマグリット『自由への戸口』が嬉しかったそう。自分ならではのお気に入りを見つけるのも楽しい。


ハンマースホイ『Interior. The Music Room, Strandgade 30』(Courtesy of the Art Institute of Chicago)


マグリット『自由への戸口』(Photo by Shiho Sasaki)

ちなみに、シカゴ美術館を含む主要アトラクションをまとめて回るなら、Chicago CityPASSを購入するのが断然お得。入場料が最大48%割引となるうえ、ファストパスや優先エントリーの特典つき。スマホにアプリをDLすれば簡単に使える優れもので、シカゴ美術館への入場も驚くほどスムーズだった。

スカイデッキ・シカゴ360 CHICAGOといった展望施設や、グリフィン科学産業博物館フィールド博物館でのミュージアム巡り、さらにシェッド水族館アドラープラネタリウム建築リバークルーズまで。この街ならではのアクティビティを存分に体感できる。



音楽好きが集う「夢のホテル」

旅行の成否はホテルで決まるといっても過言ではない。その点、今回宿泊したVirgin Hotels Chicagoは文句なしのパーフェクトだった。マイク・オールドフィールドやセックス・ピストルズらを輩出したレコード会社を足がかりに、航空・旅行・金融などを扱う世界的複合企業となったヴァージン・グループの「らしさ」が詰まっており、音楽好きに刺さりそうなポイントがいくつもある。


ヴァージン・レコードの歩みを振り返る動画(2013年)


Virgin Hotels Chicagoの外観。1928年竣工の銀行ビルを大規模リノベーションして2015年に開業。現在、全米8都市にあるVirgin Hotelsの1号店(Photo by Shiho Sasaki)


玄関で犬の像がお出迎え。ペットの宿泊費は無料、ドッグベッドやフードも提供してもらえる(Photo by Shiho Sasaki)

まずは、ループエリアのほぼ中心という理想的なロケーション。グラント・パーク及びミレニアム・パーク(本連載Vol.3参照)をはじめ、上述したグルメ/観光スポットの大半が徒歩圏内なのだ。ロラパルーザの会場やシカゴ美術館、シカゴ劇場も歩いてすぐだし、シカゴ川沿いの遊歩道に足をのばせばクルーズツアーやリバーウォークも満喫できる。

さらに朗報。シカゴが舞台の映画『ハイ・フィデリティ』を想起させる、雑多で音楽愛に溢れたレコードショップ「Reckless Records」が徒歩7分の距離にあるのも嬉しい。品揃えもセンス抜群だ。


Reckless Recordsはシカゴ市内に3店舗。ここはループ店(Photo by Shiho Sasaki)


オールジャンルで新譜/旧譜を共に扱う(Photo by Shiho Sasaki)

ダウンタウンの好立地に構えるだけあり、26階・屋上ラウンジ「Cerise」ではDJのプレイやカクテルとともに、息を呑むような絶景を楽しむことができる。ここでは多種多様なイベントが日々開催されており、昨年のロラパルーザ開催期間中には米ローリングストーン誌とNYのパーティーSoul in The Hornのコラボ企画も実現。音楽業界からの注目度も高い。


Ceriseの様子。オープニングイベントではクエストラヴがDJを務めた(2015年)


Ceriseを盛り上げるDJとミラーボール(Photo by Shiho Sasaki)


Ceriseから見渡すシカゴの夜景(Photo by Shiho Sasaki)


カクテルとともに優雅なチルタイム(Photo by Shiho Sasaki)

一つ下の25階は「Upstairs」という、禁酒法時代のもぐり酒場をイメージした隠れ家的スペース。パール・ジャムのエディ・ヴェダー、チャンス・ザ・ラッパーといった大物たちも訪れるなど、リリースパーティーやプライベートイベントにも使われている。Virgin Hotels Chicagoは地元アーティストのフックアップにも力を入れており、筆者が土曜のフェス帰りに参加したイベント「Underground Village」でも若いDJが奮起していた。


「Underground Village」の様子。就寝前にホテル内でもうひと遊びできるのも最高(Photo by Shiho Sasaki)

独自の美意識とセンスは、客室の隅々にまで反映されている。ベッドは特許取得済みで、人間工学に基づいたヘッドボードはソファとしても重宝する。ヴァージンのブランドカラー、赤を特注したSMEG製の冷蔵庫を全250室に設置。ホテルの携帯アプリ「Lucy」を使えば温度や明るさの調整、24時間対応ルームサービスの注文、ディナーの予約などが一台で操作でき、ルームキーにも早変わり。


ヴァージン・アトランティック航空ファーストクラスの座席を元に独自設計されたベッドは寝心地抜群。ヘッドボードに寄りかかればテレビやPC作業も快適(Photo by Shiho Sasaki)


ヴァージン・グループ創設者、リチャード・ブランソンの名を冠した「Richard's Penthouse Flat」はセレブやロックスターも御用達(Photo by Shiho Sasaki)


Virgin Hotelsのトレードマーク、SMEG製の冷蔵庫はミニバーも充実(Photo by Shiho Sasaki)

Virgin Hotels Chicagoは「食」も充実。唇とネクタイをシンボルとするMiss Ricky'sは宿泊客以外にも好評だ。シチリア島で腕を磨いたシリア人の料理監督が、イタリア料理とアメリカンダイナーを見事に融合。サラダ、カルパッチョ、ステーキ、締めのティラミスまでどれも絶品だし、ディナーだけでなく朝食やブランチも外れがなく、あまりに美味しかったので連日お世話になった。カフェバーのTwo Zero Threeは、店内に飾られたレコードや「God Save the Queen」「London Calling」「Rich Girl」といった(割と直球な)メニューのネーミングセンスに、音楽ファンとしてはグッとくるものがあるはず。


Miss Ricky'sのディナー。天然ブラックアンガス牛のリブアイステーキは、焦がしパルメザンチーズがを絡めたスティックセニョールも美味しさのあまり悶絶。くるみ、アボカド、ストロベリー、ゴルゴンゾーラなどがミックスされたグルーヴサラダも濃密な味わい(Photo by Shiho Sasaki)

最初に部屋へ入ったとき、アタッシュケース型レコードプレイヤーの上に載せられたお菓子のプレートに、「シカゴへようこそ!」と日本語で書かれた手紙が添えてあったのが忘れられない。こんなふうに温かく出迎えてくれるホテルを好きにならないはずがなく、あのときの写真を見返すたびに、シカゴという街のやさしさを思い出すことになるだろう。


Photo by Shiho Sasaki


※【シカゴ音楽旅行記】は全4記事の連載。続きは以下をクリック。

Vol.1:歴史と文化を受け継ぐライブハウス、夜を彩るブルースとジャズの老舗
Vol.2:パンク愛から生まれた「遊園地みたいな」音楽フェス・Riot Fest
Vol.3:ストーンズも憧れたブルースの聖地、チェス・レコード訪問記
Vol.4:必ず行きたいグルメと観光、音楽ファンを魅了するおすすめホテル(※本ページ)

※取材協力:ブランドUSAシカゴ観光局、斉藤博子(シカゴ美術館 公共教育 客員講師)


Photo by Shiho Sasaki

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください