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ユメノユア初キュレーションイベント「YMP」が生んだ、注目オルタナバンドの化学反応

Rolling Stone Japan / 2024年10月28日 18時0分

「YMP supported by Rolling Stone Japan Vo.1」集合写真(Photo by 大橋祐希)

アイドルグループ・GANG PARADEのユメノユアが自らキュレーションを務めるライブイベント「YMP supported by Rolling Stone Japan Vo.1」が、2024年10月11日に渋谷Spotify O-crestで開催された。

関連記事:ユメノユアが語るライブハウスへの強い想い、初キュレーションイベント「YMP」の展望

YMPは「Yua connects Music Palooza」「Youth Music Palooza」の略であり、新しい音楽を発見する場所、音楽好きな人が集まる場所・現場目線のオルタナティブなライブイベントという意味が込められている。GANG PARADEのメンバーであるユメノユアは、前身グループPOPから長きにわたって自身が迫力のあるパフォーマンスを見せてきたことは勿論、その根幹は、何より中高生の頃からバンドを聴き続けており、今でも頻繁にライブハウスにも足を運ぶ無類の音楽好きである。


(Photo by 大橋祐希)

音楽とライブハウスが拠り所であると語る彼女がキュレーションする今回のイベント「YMP」第1回は、彼女がセレクトしたバンドEnfantsとGill Snatchの二組が出演することとなった。ユメノユアがセレクトしたBGMが流れる会場内では、開演時刻になると、まずユメノ本人がステージに現れた。「最近は世の中には音楽が溢れていると思いますが、リアルなライブハウスという場所でしか届けられない音楽もあるんじゃないかという想いがあって。今回はどうしても皆さんに届けたいバンド2組に出演していただくことになりました。今日皆さんがここで見て、聞いて、感じる音楽は、今日ここに来たことでしか感じられないものだと思いますので、ぜひ感じたことを持ち帰ってもらえると嬉しいです」と、初夜を迎えるイベントとライブハウスへ込めた想いを語った。


(Photo by 大橋祐希)

挨拶が終わったステージには一組目のGill Snatchが登場。黒のジャケットに身を包んだフロントメンバー3人のクールな佇まいに目を奪われていると、ドラムスの4カウントから始まるダンスロックナンバー「easy life」でライブは幕を開けた。一夜のステージの始まりを告げる叫びのようなギターのワウを多彩に盛り込み、リズム隊も勢いのある重たい音色で楽曲を時には支え、時には引っ張っていく。そんな彼らによる細かくキメも多分に盛り込んだグルーブに会場も自然と拳を上げ、身体も揺らされていく。「Cry B Cry」、「九十九」と硬派かつ荒々しさのあるロックサウンドを全開にし、艶のあるメロディラインの上でGt./Vo.樋口タクトのややしゃがれた歌声がセクシーに映える楽曲を会場一人一人にぶつけていく。そしてそれを受け取った一人一人が間違いなく彼らの虜となっていった。「over rumble」などグランジやダンスロック調の楽曲がライブ全体を勢いづけていく一方、チルな前半から激情的な展開を見せていく楽曲「rust」などもアクセントとなり、一層惹きつけられていった。


(Photo by 大橋祐希)


(Photo by 大橋祐希)


(Photo by 大橋祐希)


(Photo by 大橋祐希)

曲の合間もMCを挟まず、セッションやドラムプレイなど常に誰かのサウンドが鳴り続けて、それに全員が乗じて次の曲がスタートしていく。この怒涛の展開が彼らの勢いを体現しているようで、セットリスト全体が展開のある一曲のように感じられた。流れを一切崩すことがなかったことも自分たちの世界観をより完璧に作り上げていった要因の一つだろう。艶のある世界観は観衆の心を掴むのに充分すぎるほどだった。6曲を全力で駆け抜けた最後は、”真っ白なこの世界であなたはどうにかなりそうで 温い地獄から連れ出してみせるよ”という歌詞が指すように、暖かさを滲ませるような楽曲「yudegaeru」をラストナンバーで披露。Gill Snatchはギターとベースのハウリングが鳴り止まないステージを後にした。



転換ののち、Enfantsがステージに登場。Gill Snatchの破竹の勢いのステージングとは打って変わって、頭からマイナー調のアルペジオが鳴り響き「R.I.P」から重厚感のあるスタート。鬱々としつつも誰しもの心にあるような思いを叫び、自分たちの世界観へ一気に観衆を引き寄せる。続く「HYS」では重低音をさらに大きく轟かせ、ステージを白黒に激しく点滅させて彼らの激情をより搔き立てていく。”言いたいことなんてない”と歌ったあとに叫ぶ松本大(Gt./Vo.)は、言葉ではない想いをがむしゃらに伝えているようで思わず鳥肌が立った。「デッドエンド」、「社会の歯車」とリズム隊の怒涛の勢いは増していく中で、会場も歓声だけではなく拳も突き上げさせられ、ますます勢いが増していった。


(Photo by 大橋祐希)

MCでは、バンドの知名度が上がるとともにライブのブッキングオファーが殺到する中、オファー段階でのユメノさんの熱い思いを受けてYMPへの参加を決めさせてもらったというイベントへのモチベーションを語った。ステージの上から、まるで観客と肩を組んでいるかのようにフランクに語りかける姿も、それまでのステージングとのギャップで魅力的に映る。

「洗脳」から再開した後半では、魂がこもり過ぎたためか、松本のかき鳴らすギターの弦が切れるハプニングも。真っ赤に染まったステージでは、思いがけないトラブルの中でもスタンドからマイクを外してハンドマイクで心から叫ぶ姿があまりに馴染んでおり、ますます力強さが生まれた場面となった。切れた弦については、Gill Snatchの樋口タクトからギターを借りることとなったが、対バン同士で助け合うようなほっこりする場面もライブという現場に足を運ばなくては見れない魅力の一つだろう。


(Photo by 大橋祐希)


(Photo by 大橋祐希)


(Photo by 大橋祐希)


(Photo by 大橋祐希)

勢いは途切れることなく、ここからは「ひとりにして」、「Drive Living Dead」、「Kid Blue」とノリやすい曲が続く。前半の重々しい滑り出しとは異なり、エメラルドグリーンの水流のように照らされたステージ上で、メンバー全員で音を重ねる喜びを体現していき、軽やかに楽しみ続けていく。最後は、ますますテンションを上げながら、松本の”楽しんでいけるかー!”という叫びともにドラムプレイから「Play」を演奏。マイクを通しているかどうかそんなの関係ない、と言わんばかりに叫ぶ松本の姿に、会場が拳を上げて一つになっていき、ボルテージマックスのテンションでラストを突き抜けていった。

ライブ後にはユメノユアが観客の前に再び姿を現す。「皆さんが今日見て、聞いて、感じたリアルこそがこのライブハウスにあるものだと思うので、それを信じて、自分の好きなものを信じて、これからも生きていっていただけたらなと思います。私もキュレーションという立場で今回このイベント立ち上げさせてもらって、自分の好きなものが正しかったと、2組のライブを見て思いました」、「Gill SnatchもEnfantsもライブをこれからもたくさんし続けると思うので、皆さんもたくさんライブハウスに足を運んで、 直接音楽を受け取ってもらえたら、きっと今日この場所でみんなと出会った意味があったんじゃないかなと思います」と、2組の熱量を受けて、今夜出会えた音楽への想いを語った。当日の熱量に突き動かされたユメノユア自身も、きっとこれからもYMPを通じて、そこでしか出会えない音楽を届け続けていくだろう。ここでしか出会えない音楽の場として、これからもイベントから目が離せない。


<イベント情報>

YMP supported by Rolling Stone Japan
2024年10月11日(金)Spotify O-Crest
主催・企画:CCCミュージックラボ(株)
制作:株式会社シブヤテレビジョン
協力:Rolling Stone Japan
チケット https://eplus.jp/ymp/

公式HP https://cccmusiclab.com/YMP01
公式SNS X https://x.com/rollingstonejp
Instagram https://www.instagram.com/rollingstonejapan

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