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レイラ・ハサウェイが語る、黒人文化の誇りと驚異的なボーカル表現の秘密

Rolling Stone Japan / 2024年10月28日 17時30分

レイラ・ハサウェイ

5度のグラミー賞受賞を誇る現代屈指のボーカリスト、レイラ・ハサウェイ(Lalah Hathaway)。90年代初頭から活動する彼女はデビュー時からずっとトップ・アーティストであり続けているわけだが、2010年代以降の活躍は特筆すべきものがある。多くのアーティストがレイラの声を求め、そこからいくつもの傑作が生まれた。

ロバート・グラスパー『Black Radio』、スナーキー・パピー『Family Dinner』、ケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』など、レイラの高い技術と表現力はアーティストたちが時代を切り開くために必要な要素だった。特にロバート・グラスパーは『Black Radio』3部作のすべてで彼女とコラボ。しかも、アルバムの中でも鍵になるようなカバー曲で彼女を起用していた。「Jesus Children」ではグラミーを受賞。レイラの声がなければ『Black Radio』は成立しなかっただろう。

そんなレイラを慕うアーティストは後を絶たない。タンク&ザ・バンガスやムーンチャイルドのような次の世代も彼女をリスペクトし、共演を熱望した。今や彼女に言及する際に、父親のダニー・ハサウェイを引き合いに出す者はいない。誰もが現代最高のボーカリストとしてレイラを尊敬している。

今年リリースされた最新アルバム『VANTABLACK』は、アフリカン・アメリカンの音楽と文化への尊重を欠かさない彼女らしさが、これまでのどの作品よりも感じられる。ゴスペルを出発点にソウル、R&B、ジャズ、更にはヒップホップやハウスまでも内包したサウンドは、現時点での集大成ともいえるだろう。タイトルはこの世で「最も黒い物質」のひとつに由来。多くの物質は光を跳ね返すが、『VANTABLACK』はほとんどの光を吸収する。すべてを吸収し、最も黒く存在する。これほどレイラにぴったりのタイトルもない。

11月17日(日)、11月20日(水) 、11月21日(木)の3日間、レイラはビルボードライブ東京で来日公演を行う。そこで披露されるであろう『VANTABLACK』の予習としても読んでもらいたい。



―『VANTABLACK』のコンセプトを聞かせてください。

レイラ:『VANTABLACK』というのは、本当に真っ黒な黒という意味。今回のアルバムは2020年に制作を始めて、それがレコードになるのかもわからないまま、ただただ音楽制作に取り組み、パンデミック期間でかなりクリエイティブな状態になっているときに作ったもの。パンデミック期間中、私はアフロセントリックを観察し、ニュースを見て、黒人女性の視点から物事を考察し、想像する時間がたくさんあった。テレビではジョージ・フロイドやBLMのニュース、抗議デモがたくさん取り上げられていたしね。このアルバムは、アメリカの黒人女性としての私の気持ちが表現されている。あと、『VANTABLACK』という言葉の響きもすごく気に入ったのよね。

―サウンド面のコンセプトはどうですか?

レイラ:私が求めていたのは、自分自身が好きだと思えるものであることと、まとまりのあるサウンド。今回は3人のプロデューサーとしか仕事をしていないから、アルバムのサウンドスケープにはまとまりがあり、超ハイファイであると同時にただただ気持ちがいいサウンドが出来あがったと思う。そして、最初から最後まで一つの物語を聴くことができるようなものにしたかった。

―『VANTABLACK』収録曲のうち9曲がフィル・ボードローとの共同作業です。彼を起用するようになったきっかけを教えてください。

レイラ:私たちは、それぞれレックス・ライドアウトと仕事をしたことがあって、レックスはフィルが参加しているAOEというプロジェクトを担当していたんだけど、彼らに会ったほうがいいとレックスが勧めてきたの。で、会った時に始めて彼が作っている音楽を聴いて、その瞬間「絶対一緒に仕事がしたい」と思った。彼は手がける曲のすべてが「これ私のための曲じゃない?」と思わせる数少ないプロデューサーの一人。聴いた瞬間それに合わせて歌えるくらい。それ以来フィルとはずっと一緒に仕事をしてきた。彼は、私の美学や音楽的精神を本当にしっかりと理解してくれている。一昨年、「This Christmas」を父の声と私の声を使ってリメイクしたんだけど、それをプロデュースしたくれたのもフィルだった。今はCatpackというバンドもやっていて、アンバーとジェイコブと3人で大忙し。でも彼は、どんなに忙しくてもできればずっと一緒に仕事がしたいと思える人。



―実は少し前、Catpackにもインタビューしました。フィルは優秀なプロデューサーですよね。彼のどんな部分があなたの作品に必要だったのでしょうか。

レイラ:彼には何も求めなかった。例えば「So In Love」は、黒人愛をテーマにしたテレビ番組のためにラブソングが必要で、それを手伝ってほしいとフィルに伝えたらあの曲ができた。彼にある特定のサウンドを求めるというよりは、彼はアイディアを形にするのがうまくて、それを手伝ってくれるの。私が「トンネルや森の中にいるような、そんな曲を作りたい」といったら、彼が形にしてくれる。アルバムの最初のトラック「BLACK.」も、私が砂の中にいて、その砂の中から立ち上がり、ラクダに乗って空を飛んでいる、というストーリーを彼に伝えたら、私の頭の中にあるイメージやフィーリングをうまく解釈してくれた。だから、彼に多くを語る必要はなく、ディスカッションもほぼいらない。彼は、本当に器用にストーリーを音にしてくれる。



―ちなみに、「トンネルや森の中にいるような曲」というのはどれのことでしょう?

レイラ:「Tunnels」ね。

―この曲はひたすらハミングだけ。バックトラックの音色や音数の少なさも印象的です。

レイラ:フィルには「夕暮れ時に歩いているような曲がいい」とも伝えたかな。彼は私の美学をよく理解してくれて、そこからこの曲が出来上がったわけだけど、たまたまウィローに送ったら歌いたいと言ってくれて。それで言葉のない、あのフックを書いて戻してくれたというわけ。彼女はすごく才能があるし、これからも成長を見届けるのが楽しみ。

―ほかにも収録曲のうち5曲にArizaが参加しています。

レイラ:パンデミックの時、TikTokでArizaとAstyn Turrが歌う「Sink Or Swim」という美しい曲を見つけて、その曲は即座にお気に入りの曲になった。彼女の歌い方、曲の書き方、楽器編成、そのすべてが素晴らしくて。そこで私は、TikTok経由でArizaに連絡をとって、一緒に仕事をしないかと誘ったの。一緒に書いた最初の曲は「Returning」。彼が作った音に合わせて私がメロディを思いつき、歌って彼にスマホで送って、彼がそれを曲にプログラムする、といった流れだった。フィル同様、彼も私の美学を理解してくれていて、アイディアを素早く引き出す方法を知っている。

それに彼は、エレクトロニックとアコースティックのハイブリッドのような美しいサウンドを作ることに長けている。それは他にはない特徴的なサウンドだし、アーティストを惹きつける。だから彼の曲を少し聴いただけで、一緒に仕事がしたいと思ったの。彼と知り合えたのも本当に幸運だった。




―「No Lie」にはマイケル・マクドナルドが参加していますね。彼を迎えた理由は?

レイラ:彼がマイケル・マクドナルドだから(笑)。レジェンドだもの。クリストファー・クロスやケニー・ロギンス、スティーリー・ダンのレコードをはじめ本当にたくさんのレコードに参加していて、彼のボーカルの質感はそれらすべてのレコードから感じられる。私にとって彼の声はとても象徴的で、その質感を自分のレコードにも持たせたかった。

―元々知り合いだったりしたんですか?

レイラ:彼に初めて会ったのは数年前。チャカ・カーンと一緒にLAのグリーク・シアターで演奏していて、その時に知り合ったかな。

―マイケル・マクドナルドが過去に歌っていた曲で一番好きなものは?

レイラ:たくさんありすぎて、選ぶのは本当に難しい。ケニー・ロギンスの「This Is It(明日に向かって)」とクリストファー・クロス、あとはスティーリー・ダンのレコードかな。彼の声はとにかく伝説的すぎて、聴いてすぐに彼の声だとわかる。それがマイケル・マクドナルド。



―次は「Mood For You」。ここにMCライトを起用した理由は?

レイラ:ウォーレン・キャンベル、エリック・ドーキンス、ホアン・ワイナンズと一緒にあの曲を書いたんだけど、その過程で誰かにMCに入ってもらいたいと思うようになって。その頃ウォーレンがたまたまMCライトと仕事をしていて、ライトはこの曲で素晴らしい仕事をしてくれるはずだと勧めてくれたから、彼女に頼むことにした。声をかけたら次の週にスタジオに来てくれて、あの声を録音してくれたの。彼女とは15年、20年来の友人だからすごく嬉しかった。

―彼女は女性ラッパーのパイオニアとして知られていますが、そのこととアルバムのコンセプトが繋がったりするのかなと思ったりもしたのですが。

レイラ:そうね。私は今回、アイコニックだと思う人たちを選ぶようにした。ウィローのような新進の若いアーティストもいれば、30年来の知り合いでもあるジェラルド・アルブライトのような存在もいる。ジェラルドは今でもあの世界ではアイコン的存在だから。キャリアの中で、私は多くの時間を他のアーティストとのコラボに費やしてきた。その全ての人々が私と一緒に仕事してくれたのは、本当に嬉しい。



―「Higher」は90年代ハウス・ミュージックのようでかっこいいです。

レイラ:高揚感のある曲を作りたかったの。その曲を書いている時は、ジャム&ルイス(サウンズ・オブ・ブラックネス)の「Optimistic」のことを考えていた。あとは、カーク・フランクリンの「Declaration (This Is It!)」。肯定的なポジティブさは、私にとって音楽の大きな部分を占めていると思う。これからも、人々に希望を与え、強い気持ちを抱かせるような、そんなアンセム的な曲をもっと書きたいと思っているから。



―そもそもハウスはお好きなんですか?

レイラ:私はシカゴの出身で、シカゴはハウスが生まれた場所でもあるから、ずっとあの音楽と関わってきたし、ハウスという音楽のエネルギーにはすごく興味がある。フランキー・ナックルズもそうだし、ケイトラナダもそうだし、ハウスは人々に強い力を与えてくれるでしょ? 私はハウスのそういうところが大好きだし、自分でももっとそういう音楽を作りたいと思ってる。今回のアルバムもリミックス・アルバムをリリースする予定だしね。

リミックス版は常に作りたい。私はいつも、少しテンポのある音楽を作ることに興味があるし、リミックスが個人的に大好きなのよね。ライブでも、曲の一部をちょっと変えて演奏するのが好きだし。そのうちダンス・レコードも作ってみたい。シカゴで育ったことで、そういうヴィジョンを持つようになったのかも。今回は「君の曲でリミックス作ってみたよ」と持ってきてくれた人が何人かいて、それが何曲か溜まったからEPを作ることにした。サンクスギビングの前にリリースできるといいんだけど。

驚異的なボーカル表現の秘密

―あなたはデビュー当初からずっと自分で作曲もしています。『VANTABLACK』ではほぼ全曲のソングラティングに携わってますよね。なのでお聞きしたいのですが、これまで研究してきたソングライターは?

レイラ:私は作曲家も作詞家も大好き。例えばウェイン・ショーターとかね。あとはケンドリック(・ラマー)。彼のリリシズムは素晴らしい。一度フィルを通じて(ムーンチャイルド/Catpackの)アンバー・ナヴァランとも仕事をしたことがあるけど、そこからも多くを学んだ。そして私の夢は、ジョニ・ミッチェルやダニー・ハサウェイ、スティーヴィー・ワンダーのような偉大な作曲家になること。彼らのように、永遠に残る曲を書けるようになれたら素晴らしいと思ってる。


レイラとムーンチャイルドの共演(2022年)

―あなたの曲は、聴くとあなたの曲だとわかるくらい特徴を持っていると思うのですが、それってどんな部分によるものだと思いますか?

レイラ:私にはわからない。それはリスナーが決めることだと思う。今作も含めて、ここ数枚のアルバムでは全てコライトしてるしね。ただ、他のアーティストよりも自分自身の声と楽器をより理解しているから、そのフィーリングが音になって出ているのかもしれないとは思う。デヴィッド・サンボーンやマーカス・ミラーのレコードに参加したときもそうだけど、他の誰かが私に持ってくるメロディにも常に自分のエネルギーを持たせて「自分にとってしっくりくるものであるか」「キーが私に合ってるものであるか」をすごく意識している。どうミックスされたのかも知りたい。自分が歌っているすべての曲は、私も少しライティングに関わっているようなものなのかもしれないって思う。

―自分のボーカリストとしての部分と、曲を書く部分がコネクトしているということでしょうか?

レイラ:そうね。私にとってはそうである必要がある。アーティストの中には、気づいてないけど実はプロデュース作業をやってる人も多いと思う。15年前の私だったら自分をプロデューサーとは呼んでいなかったけど、今の私ならプロデューサーを名乗れるかな。だって、トラック自体は作っていなくても、「ここのベースの音を変えよう」「ボーカルをここに移動させよう」とか、そういうことを決めているから。そのすべての作業が私にとってはプロダクションであり、私はそのすべてに参加しているしね。



―ボーカリストとしての特徴でいうと、あなたはデビューしたての頃からすごく先鋭的なハーモニーを使ってきましたよね。

レイラ:私もそう思う。でも、どうやってそうなったのかはわからない。それも私のスタイルの一部なのは間違いないけど。

―今回のアルバムでは「Clearly」の終盤であなたのスキャットが聴けます。ああいった器楽的な歌唱法はどこで身につけたものなのでしょうか?

レイラ:バークリー音大に行く直前、母にバークリーに行きたいと言ったら、「あそこはジャズの学校なんだから真剣にジャズを学びなさい。遊び半分で言ってはダメ」と言われた。私はその言葉を重く受け止めた。学校ではスキャットをやってる人たちがたくさんいたから、私もやってみようと思ったんだけど、なかなかうまくできなくて。そんな時にサックス奏者のウォルター・ビーズリー先生に相談したの。彼は「最初はうまくいかないし、むしろ変に聞こえるかもしれない。でも続けるうちに必ず自分の声を見つけることができる。だからやり続けなければならない」と言ってくれた。彼の言葉のおかげで、私は今自分が自由に使えるボキャブラリーを持っている。スキャットや言葉のない歌を歌うことは、私にとってとても自然なこと。いつかは、言葉のないレコードを作りたいと思っているくらい、私の表現方法の一部になっている。



―ということは、いわゆるジャズ・ボーカリストになっていた未来もあったかもしれないと。

レイラ:そうね。以前マーカス・ミラーのバンドに参加していたとき、トランペット奏者のパッチズ・スチュワートがギグに出られなくなって、彼のパートを歌ってたことがあるんだけど、あの時みたいな感じでバンドと一体感を感じるのも好きだし。

―声を使った即興に関しては、どんなアーティストを研究していたのでしょうか?

レイラ:私は教会で育ったから、誰かが即興演奏しているのを常に見てきた。アメリカの黒人音楽の大部分は即興とアドリブを伴うもの。だから、私はそれを基礎音楽として育った。そしてバークリーに行き、チャーリー・パーカーやウェイン・ショーター、マイルス・デイヴィス、エラ・フィッツジェラルド、ジョン・スコフィールドといった、コードを弾けばすべてがついてくるようなアーティストたちのレコードを聴き、そこからもたくさん学んだ。だから私のスタイルは、元々持っていた性質と後から自分で学んだことが混ざっているってこと。

―そういった器楽奏者のソロを譜面に起こして分析したりもしていましたか?

レイラ:授業でそれをやったことはある。でも、大学時代のルームメイトがよく言っていたのは、レコードを聴きながら寝ると、寝ている間にそれを覚えるということ。だから大学時代は、ジャズのインプロバイザーをたくさん聴いた。例えば『Kind Of Blue』については、ベースやピアノ、ドラムや管楽奏者が何をしているのか、そのすべてを理解している。臨床的まではいかないかもしれないけど、私はそうやって聴くことによっても音楽を学んだ。

◎グラスパーとの共演、ヒップホップへの想い

―ロバート・グラスパーの『Black Radio』シリーズの全作に参加していますよね。即興が得意であることは、グラスパーがあなたを求めた理由のひとつだったと思うのですが。

レイラ:彼は、恐れない人と仕事をするのが好きだと言っていた。私は自分が考えていることを声に出して歌うことを恐れないし、変化も恐れない。彼のバンドと一緒にいると自信を感じるし、彼らは私を常により良いシンガー、ミュージシャンに成長させてくれていると思う。

―『Black Radio』シリーズではこれまでシャーデー、スティーヴィー・ワンダー、ティアーズ・フォー・フィアーズの曲を歌ってきましたよね。他にもこれまでに多くのカバー曲を歌っていますが、どんな曲でもあなたの個性が強く感じられます。自分らしくカバーする際に大事にしていることはありますか?

レイラ:大切なのは、その曲を愛すること。カバーとは、私にとってオリジナル・バージョンへのラブレターなの。それは私の父も同じだと思う。「Whats Going On」や「Superwoman」を聴けば、その曲に対する愛を感じることができる。私も、曲のメッセージを理解し、その曲を愛し、うまく歌うことが重要だと考えている。そして原曲の横に立てるようなものを作り、それがその曲の新しいスタンダードになることを望んでいる。

―「Jesus Children」「Everybody Wants to Rule The World」のように深いメッセージが込められた曲を任されることも多いと思います。例えば、後者のカバーではどんなことを考えながら歌おうとしたのでしょうか?

レイラ:まず第一に私が大好きな曲で、アレンジを聴いた時に原曲とは違うタイプのアグレッシブさを感じていた。もともと大好きでたくさん聴いて育った曲だから、昔の自分がこの曲を聴いてどう感じていたかを振り返ってみたんだけど、その頃とは違う攻撃性を持っている感じがした。もちろん私は、人々がいかに世界を支配したがっているかを考えながら歌ったし、これは真のメッセージでもある。でもロバートのアレンジの仕方が、この曲に込められたメッセージを物語っていると思った。だから歌っている時は、曲の意味を考えるよりも彼のアレンジメントに没頭してしまったと言えると思う。



―あなたはテラス・マーティンと何度も共演していますよね。若い頃のテラスはどちらかといえばLAヒップホップシーンに属していたように思いますが、彼と共演するようになったきっかけは何だったんですか?

レイラ:彼に出会ったのは1997年か1998年。その頃の彼はすごく若かった。当時のマネージャーが彼の高校時代からの知り合いだったのがきっかけ。もう20年以上一緒に仕事をしているけど、DJバトルキャットやDJクイックに会わせてくれたのも、ケンドリックのセッションに呼んでくれたのも彼だった。その一方で、彼はジャズにも精通していて、ハービー(・ハンコック)と共演することもあればスヌープ(・ドッグ)と共演することもある。それは私がやりたいことでもあるのよね。



―あなたがヒップホップに関心を持ったときのことを聞かせてもらえますか?

レイラ:私にとってのヒップホップは80年代半ばのもの。当時聴いていたのはRUN DMCやLL・クール・Jあたり。その後はバークリーに行ったから、ジャズばかり聴くようになった。だから私にとって、ヒップホップは楽しんで聴く音楽だったの。歌詞も全部理解できたし。ファンクマスター・フレックスやクール・モー・ディー、ビッグ・ダディ・ケイン、クィーン・ラティファ、MCライト、ソルト&ペッパーといった辺りね。大学に通うようになってからラジオを聴かなくなってしまったけど、その頃にア・トライブ・コールド・クエストとか(ギゃング・スターの)グールーとか、ジャズがミックスされたヒップホップに出会えたのも大きかった。そんなふうに大学時代は東海岸のヒップホップと接してきて、その後はLAに引っ越して、スヌープやドレー、DJクイック、バトルキャットといった西海岸ヒップホップの大物たちと繋がることができた。本当にラッキーだったな。

―その後、あなたの声はヒップホップの歴史的な録音の数々で重要な役割を果たしていくわけですが、自分にとってヒップホップとはどんなアートフォームだと言えそうですか?

レイラ:ヒップホップは多くの進化を遂げてきたし、今も進化し続けているから面白い。アメリカの黒人文化、特にアメリカの黒人音楽は、世界中の音楽に影響を与えていると思うし、黒人文化を代表するものの一つだと思う。ヒップホップは、ある時はラップであり、ある時はMCであり、ある時はブレイクダンスでもある。つまり、包括的な文化であり、アメリカの黒人の服装、ヘアスタイル、言語、音楽、映画、パーソナリティといったすべてを表現していると思う。そして私にとって、ヒップホップは自分の文化の名刺代わりであり、あらゆるものにインスピレーションを与える表現でもある。例えば、日本に行ってもヒップホップを目にするし、アフリカに行っても、ドイツに行ってもそこにはヒップホップがある。ヒップホップは今、生誕から52年目を迎えているけれど、これからも自分たちの周りにずっと存在し続けるものだと思ってる。



レイラ・ハサウェイ来日公演
2024年11月17日(日)東京・ビルボードライブ東京
1st:OPEN 15:00 START 16:00
2nd:OPEN 18:00 START 19:00
>>>詳細・チケット購入はこちら

2024年11月18日(月)大阪・ビルボードライブ大阪
1st:OPEN 16:30 START 17:30
2nd:OPEN 19:30 START 20:30
>>>詳細・チケット購入はこちら

2024年11月20日(水)、21日(木)東京・ビルボードライブ東京
1st:OPEN 16:30 START 17:30
2nd:OPEN 19:30 START 20:30
>>>詳細・チケット購入はこちら

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