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オアシスの歴史に踏み込む「リヴ・フォーエヴァー:Oasis30周年特別展」見どころ徹底解説

Rolling Stone Japan / 2024年11月5日 10時0分

「リヴ・フォーエヴァー:Oasis30周年特別展」

ノエル・ギャラガーとリアム・ギャラガーがまさかの復縁を果たし、オアシスの復活を宣言したのは今年8月。「OASIS LIVE '25」と題したワールドツアーの開催も発表され、来日への期待が高まる中、「リヴ・フォーエヴァー:Oasis30周年特別展」が11月1日に六本木ミュージアムでスタートした。オアシスのエキシビションは10年前の2014年にラフォーレミュージアム原宿で開かれた『CHASING THE SUN: OASIS 1993-1997 #あなたにとってのオアシスとは』があったが、今回は展示の規模を大幅に拡大。そして何より、解散してしまった過去のバンドの回顧展ではなく、現存するバンドのイベントとして鑑賞できる点に大きな意味がある。

展示室に入ると、最初の「イントロダクション」ではバンドの歴代ロゴ・ヒストリーが目に飛び込んでくる。ヴィジュアル・イメージでも強烈な印象を残したオアシスらしいスタートだ。本編は四つの章に分かれており、「第一章」ではバンドの歴史をアルバムごとに解説していて、ビギナーにもわかりやすい。1stアルバム『Definitely Maybe』のコーナーではギャラガー兄弟が通っていた地元マンチェスターのレコード店、シフターズの看板が再現されている。「Shakermaker」のMVでリアムがポール・マッカートニーのLPを眺める、あの店だ。このコーナーでは、1994年の初来日時の行程表と、六本木プリンスホテルの便箋にノエルが書いた「(Its Good) To Be Free」の歌詞が日本のファンに喜ばれるだろう。


「イントロダクション」


「第一章」

『(What's the Story) Morning Glory?』のコーナーでは、「Champagne Supernova」の手書き歌詞が貴重だ。ほぼ出来上がっているが、よく見ると部分的に推敲を続けている様子がわかる。それは次の『Be Here Now』のコーナーに展示された「Stand By Me」の手書き歌詞でも同様で、使う語句や言い回しにこだわるタイプなのだろう。『Standing On The Shoulder Of Giants』のコーナーでは、珍しくリアム直筆の歌詞を見ることができる。几帳面さが出ているノエルの筆跡とはかなり違っていて、リアムが書く字はかわいらしいところがあるように思う。やはりキャラクターは字にも表れるのか。ここではノエルの手書き歌詞も6曲が展示されている。


リアムの手書き歌詞

『Dig Out Your Soul』のコーナーでは「The Shock Of The Lightning」の歌詞が書かれたノートが展示されているが……注目すべきはその右隣のページだ。「The Hostage(人質)」というタイトルで書かれた歌詞がはっきり透けて見えるが、聞き覚えのない陰鬱なフレーズが並んでいる。あれは何かの歌詞の草稿か、ボツにした曲なのかもしれない。気にしない人は素通りしてしまいそうだが、細部を意識して見ていると、あっという間に時間が過ぎていく……そういう展示物が今回は多い。マニアは時間に余裕を持って出かけた方がいいだろう。

「第二章」の目玉は、何と言っても使用楽器。ノエルのギターが壁面に並ぶ様子は壮観の一語。『Definitely Maybe』ツアーから使用したサンバーストのギブソン・レスポールとエピフォン・リヴィエラなど、ファンが見たらビビッとくる名器5本が目に飛び込んでくる。中でも必見なのは、ノエルのトレードマークとして知られるユニオンジャックをあしらったエピフォン・シェラトン。さらに、その下に置かれたギターケースも見逃せない。ケース上の文字「THE CHIEF」は、バンド内だけで通用していたノエルの呼称なのだ。このコーナーにはリアムが使っていたタンバリンとハーモニカも展示されている。


「第二章」

また、NMEアワード、グラミー賞などを含む数々の受賞トロフィーや、プラチナム・ディスクなどがずらっと展示されたケースも圧巻。彼らが記憶にも記録にも残るバンドであったことを思い起こさせてくれる。オアシスが表紙を飾った雑誌が大量に並ぶコーナーでは、ノエルが名曲誕生秘話や、アルバムのタイトルの由来について解説するインタビュー映像が流れており、これもしっかり見て欲しい。


「第二章」

このあとも充実…新旧ファンが殺到しそうな理由とは?

「第三章」は、先述した通りヴィジュアル・イメージを重視してきたオアシスの魅力が浮き彫りになる、アルバムやシングルの告知ポスター、ツアーポスターがずらりと並ぶ。デザインに一貫性があったクリエイション在籍時のポスターは、今見てもやはり秀逸。メンバー以外のスタッフも尽力し、「オアシスの世界」が形成されていく過程を一望できる興味深いコーナーだ。ケース内に雑然と積まれたツアーパスなどのメモラビリアも、時代の空気を生々しく伝えてくれる。


「第三章」

そして「第四章」では、オアシスの詞世界にフォーカス。いしわたり淳治が新たに翻訳した訳詞と向き合う、全体のまとめのようなコーナーだ。新訳詞はオアシスのパブリックイメージから距離を置いたニュートラルな視点で、難解にならない言葉のチョイスで綴られている印象。国や文化の違いを越えて共有できる、オアシスの歌詞が持つ普遍性が際立った点は新鮮だ。それこそが、彼らの楽曲が長い間色褪せることなく、現代のリスナーからも広く支持される「クラシック」になり得た理由だろう。専用の楽曲再生アプリ、S.Guide+を使用して展示該当曲を聴きながら鑑賞することも可能なので、特にこのコーナーでは同アプリが重宝する。また、併設されているシアターでは1996年のネブワース、2009年フジロック・フェスからの映像がほぼ週替わりで流されているのもお楽しみのひとつだ。ステージ上のメンバーになり切れるフォトスポットもあるので、この辺は混み合うことだろう。

そんな流れの中で、最後の最後にめちゃくちゃ盛り上がる「Dont Look Back In Anger」のコーナーが用意されているのだが…ここで内容を詳しく説明するのは無粋だろう。詞・曲の世界に没入した状態でここにたどり着いて、存分にしびれまくって欲しい。


「Live Forever」日本語訳MV(歌詞翻訳:いしわたり淳治)

>>>オアシス日本語字幕付MVの再生リスト


シアター


エピローグ

これまで述べてきたように、各コーナーの伝えたいことが明確で、起承転結も見事に効いている。いろんな角度から光が当てられそうなロックンロール・バンドの歴史を、決して一面的になることなく、作品の内面にまで踏み込んでしっかり見せようという主催者の気概が感じられる内容だ。その一方、基本的な情報もきちんと網羅されているので、非マニアのファンや新規ファンにも飲み込みやすそう。展示室の外にも2つフォトスポットがあり、『CHASING THE SUN: OASIS 1993-1997』で行列ができた『Definitely Maybe』のジャケットを再現したブースはもちろん、「Live Forever」のビデオでお馴染み、宙に浮いた椅子にリアムが座る場面を体験できるブースまであり、ここには新旧ファンが殺到しそうだ。


フォトスポット

デビューから30周年を迎えた今、オアシスのファン層は彼らと同年代のリアルタイム世代から下は10代まで、かなり厚みが出てきた。インターネットで検索すれば彼らがどんなバンドで、どんな功績を残したのか瞬時に理解することができるが、そうした情報のみでは補い切れない生きたバンドとしての手触りと世界中の若者に響いた歌詞の魅力を、目に見える形で届けようとする意志が、この展覧会をビシッと貫いている。活動再開に伴って新しい「オアシス現象」がいよいよ始まろうとしているこのタイミングだからこそ、必然性のある展示テーマだと筆者は感じた。

会場内で販売されている30種以上のグッズは、バンドのロゴや写真の魅力をよくわかった商品ばかりで、ファンは頭を悩ませるだろう。アノラック・パーカーやトラックジャケットから、フットボールシャツ、各種Tシャツ、ショルダーバッグ、トートバッグなどは特に人気が沸騰しそうだが、安価なランダムバッジ、ランダムステッカーもファンのツボを心得たデザインになっているのが心憎い。

会場のショップ内では、先着で「公式プレイリストカード」を無料配布している。代表的な30曲をピックアップした2時間半を超えるプレイリストは、オールタイムベストとして楽しめるボリューム。これでみっちり予習してから展覧会へ行くと、細部まで味わい尽くすことができるはずだ。

【関連記事】オアシスの名曲TOP40


ショップ


公式グッズの集合写真

>>>「リヴ・フォーエヴァー:Oasis30周年特別展」公式グッズ一覧


>>>『リヴ・フォーエヴァー: オアシス 30周年特別展』 公式プレイリスト


会場配布 公式プレイリストカード



【展示会情報】
リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展
会期:2024年11月1日(金)~11月23日(土)
会場:六本木ミュージアム
営業時間:10:00~18:00 ※11/1 (金), 11/2 (土), 11/3 (日) のみ10:00~20:00
(最終入場は閉館時間の30分前まで)
公式サイト:https://oasis-liveforever.jp/
公式X:https://x.com/Oasis30th
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/oasis30th/

【最新リリース情報】


『コンプリート7インチ・シングル・コレクションBOX Vol.1』
日本独自企画:3000セット完全生産限定盤
2024年10月30日 (水) リリース
封入特典:ノエル・ギャラガー アクリル・スタンド
購入リンク:https://sonymusicjapan.lnk.to/Oasis_vol1


『コンプリート7インチ・シングル・コレクションBOX Vol.2』
日本独自企画:3000セット完全生産限定盤
2024年11月13日 (水) リリース
封入特典:リアム・ギャラガー アクリル・スタンド
購入リンク:https://SonyMusicJapan.lnk.to/Oasis_vol2

BOX詳細:https://www.110107.com/s/oto/page/oasis?ima=0248

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