アジカン後藤正文と藤枝市を街歩き 「蔵」と滞在型スタジオの可能性をLOSTAGE五味らと語り合う
Rolling Stone Japan / 2024年11月15日 17時0分
音楽家支援を目的とした、滞在型音楽スタジオ「Music Inn Fujieda」をつくります一一。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文が創立者となって始まったクラウドファンディング。その全貌を知るべく始まったインタビューの第二回は、ゲストにDIYインディの代表格、LOSTAGEの五味岳久と、LOSTAGEのエンジニアである岩谷啓士郎を迎えた鼎談をお送りする。
奈良在住の二人に藤枝まで来てもらい、まずは街をぶらぶら散策。元バンドマンが経営する美味しいパスタの店で腹を満たし、小さな楽器店を覗き、下校中の子供たちとすれ違い、さらには広大な蓮華寺池公園でコーヒーを。観光気分を満喫したあとには、スタジオとなる土蔵もじっくり見学。地元の空気の中で音楽と街の未来を想像すると、膨らむ夢はより具体的になっていくのだった。
【第一回はこちら】後藤正文×ホリエアツシ 同期の二人が語り合う、音楽家にとってスタジオが大切な理由
後藤正文を創立者とするNPO法人 「アップルビネガー音楽支援機構」のクラファンは9月27日よりスタート(受付期間は〜12月15日まで)。音楽家支援を目的とした滞在型音楽制作スタジオ「Music Inn Fujieda」を完成させるべく、明治時代から残る静岡県藤枝市の土蔵(お茶の倉庫)をレコーディングスタジオに改修し、隣接するビルを宿泊施設とコミュニティスペースとして整備する。「5,500万円」の目標金額を設定し、改修費を上回る支援が集まった際は「MUSIC Inn Fujieda」の運営費に充てる
藤枝に生まれるのは、支援が目的の「滞在型」スタジオ
一今日は藤枝の街歩きから始めましたけど、どんな印象を持たれました?
五味:まぁ僕が言うのもアレですけど、田舎の街やなって。でもそこまで寂れた感じでもなく、個人の商店とかちょろちょろあって。なんか開けた、住みやすそうな街やなと思いましたね。
岩谷:僕は今回二度目ですけど、ゴッチさんにいろんな店とか連れていってもらって。いろいろ紹介してもらう中で、やっぱり地元の人たちが信念を持ってやっているお店には根付いてるものがあって。奈良もそうですけど、そういう人が活動してるのは頼もしいなって。いい街だなと思いましたね。
地元の人に愛されて創業9年、助宗食堂でランチ。長楽寺商店街にある名古屋グルメ「あんかけスパゲッティ」メインの洋食店で、写真は名物メニューの「スタミナ」。店主はClimb The Mindの元ドラマー・村松裕太さん(Photo by Tetsuya Yamakawa)
>>>助宗食堂の紹介動画はこちら
ランチのあとはさっそく街歩きに出発(Photo by Tetsuya Yamakawa)
一本日の主題は古い土蔵と、隣接するビルです。ここでどんなことをやろうと思っているのか、まずゴッチが描くイメージを教えてもらえますか。
後藤:基本的には土蔵がレコーディングスタジオですね。ここでベーシックの録音が完結するようなイメージ。ビルの中は、3階にコミュニテイ・スペース、あとはバンドのDIYを補助するような、シルクスクリーンとかリソグラフを置くスペースを作りたいと思っていて。さらにボーカル録りができるような狭めの録音ブースと、バンドマンが格安で泊まれるドミトリーのような設備も整えたいと思ってます。で、2階はワンフロアが全部住宅になっているので、そこをゲストハウスにして、普通に旅行客とか一般の方も泊まれるような場所を作りたい。もちろん予算に限りがあるので、優先順位をつけて、まずはスタジオ、そのあとにゲストハウスっていう順番で行こうかなと思ってますね。
土蔵の外観。その右にある細長いビルが宿泊施設/コミュニティ・スペースになる予定。最寄りの藤枝駅から車で10分程度(Photo by Tetsuya Yamakawa)
ビル3階のドミトリーを想定した部屋。不要な壁や棚などは取り払い、広々としたロビー的空間をめざす。キッチンとシャワールームも完備。改装後は二段ベットを用意するなどして、バンドやスタッフが格安で泊まれるようにする(Photo by Tetsuya Yamakawa)
ビルの真裏にファミリーマートがあるのは便利。その隣は、土蔵/ビルを提供するオーナー・江崎晴城さん(APPLE VINEGAR Music Support理事)が営む新聞販売店。江崎さんは藤枝市観光協会会長でもあり、後藤とNPOの取り組みを市と連携しつつバックアップしている(Photo by Tetsuya Yamakawa)
一バンドマン目線で、こういう話ってどのように感じられるものですか?
五味:ありがたいですよね。そういう場所。録音するにしても何するにしても、場所がないとできないことなんで。普段の活動で行く練習スタジオやと、レコーディングまでは完結できない。そこまでカバーできる場所が新しくできるのはすごくありがたい。リーズナブルに使えるなら、僕らみたいなバンドでも手が届くというか。ここはドラム、いい音で録れるんすか?
後藤:……それを実現するために今から動いてる(笑)。
五味:これでドラムの音あんまやったら「この計画何やったん?」ってことになる(笑)。やっぱ、ここでしか録れない音にならないと意味ないと思うし。
後藤:ほんとにそうだよね。
一いいドラムの音が録れるスタジオ、そうでもないスタジオって、明確に違うんですか。
岩谷:そうですね。ドラムに関しては部屋の響きが半分くらい影響するので。日本の一般的なスタジオは、わりと狭いブースで吸音もしっかりされていて、ドラムの直接音、素の音は良く録れるんですよ。ただ、ギターで言うとアンプみたいな、ドラムが部屋を鳴らすような感覚も当然あって、そこは響きが大事になってくるんですね。天井が高かったりスペースが広かったりすれば、その響きを利用した音作りができるし、できあがる音源にも幅が出る。ここの蔵は天井も高いし、そこはすごくメリットですね。
土蔵の1階。2階奥側の床を抜くことで、天井高が4m以上の吹き抜けになり、ドラムがいい音で録れる録音ブースに。2階手前の床は残してロフト構造にし、エンジニアが作業するコントロール・ルームになる予定(Photo by Tetsuya Yamakawa)
後藤:みんなドラムだけ、ベーシックだけ録って帰って、ダビングは各自好きなところでやってもいいし、続けてここを借りて全部録っても高額にならない。予定では、一日3万円でやりたいんですね。
五味:めちゃめちゃ安い。
後藤:支援を目的としてるので。そのために非営利にしていて。使用料を安くするためにNPOにしたし(今年5月にNPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」を設立)、クラウドファンディングもやってるので。ただまぁ、他のスタジオの経営を圧迫しちゃうんじゃないかっていう心配はあるかな。
岩谷:そうですね、ダンピングみたいになっちゃう。
後藤:だから、安いから借りる、だけが動機じゃないほうがいいと思っていて。それで参加型を考えていて。ちゃんとみんなで参加して、みんなで考えて工夫しながら良くしていってほしい。そういうイメージですね。
五味:確かにね。安いから来る、それだけの人だと困るでしょうし。
土蔵は2025年秋に改装を終える予定。「まずは内部の腐食などを修復して、そのあと、土蔵を1mくらい吊り上げて、普通の家よりも重量のあるスタジオが建ってもいいように基礎の強化工事をします」(後藤のnoteより引用)Photo by Tetsuya Yamakawa
お金や時間に追われず、実験や失敗を面白がれるように
一LOSTAGEは独立以降、誰かに言われてやるわけでもなく、予算の安さだけを優先するでもないまま、コンスタントに作品を出してますよね。
五味:そうですね。今のところ。
一過去には地元ライブハウスで録ったり、県外のスタジオを借りた場合もある。その毎回のやり方を決めていく大事な部分って何になるんですか?
五味:決め手、みたいなとこですよね? まぁでも、けっこう縁っていうか、ちょうど何か作ろうかなと思った時に自宅にスタジオ持ってる人がいたとか、ライブハウスが空いてて「安く貸してもいいよ」って言ってもらえたり。ほんまタイミングでいい出会いがあったんですよ。啓士郎くんと知り合ったのもレコーディングやってる時で。
岩谷:そうですね。奈良のネバーランドで。
五味:東京から奈良に引っ越してくるタイミングで、物件を探してて、「ちょうどレコーディングやってるって聞いたから見にきた」って。そこで初めて会って、付き合いが始まって、今はLOSTAGEのライブと音源、レコーディングの全般をやってもらってるから。だからほんま縁に恵まれてた。そこまで「やる場所がなくて困った」「人がいなくて困った」みたいなことはあんまりなかったんですけど。
岩谷:もちろん作品に向かっていくモチベーションって、どのバンドも絶対あると思うんです。でもLOSTAGEは「自分がやりたいからやる」っていうのがブレないんですよ、3人とも。納期とか予算で「今回はこういうことだから」って外部要因で決まることがプライオリティにならない。そこはすごく健全というか。
五味:インディとかDIYの目線で言うと、あるもんでやるしかないから。お金も限られてるし。その時に周りにいる人、その時に自分が使えるお金、そこにあるもんでなんとかする工夫をずっとしてきたから。
LOSTAGE、タイ・バンコクのレコードショップ「CD COSMOS」で収録したセッション映像
一それって楽しいことなんでしょうか。それとも大変なことなのか。
岩谷:それこそ向き不向きというか、センスは必要だと思いますよ。LOSTAGEはそれがすごくあるバンドだと思いますけど。
後藤:楽しい……結果いいものができたら報われるけど。でも、作ってる時は「しんどいな、もうちょい時間あったらな」とか思うよね。
五味:そう。「なんで俺がここまでやらないかんのや?」とか。でも、その分やりがいはむちゃくちゃある。
後藤:そうね。自分もインディの現場に参加することがあって、一番思うのが限度があることで。使っていい時間、使っていいお金。働きながら音楽活動をしていると「今週録れないところは来週に」みたいに、仕事の都合でスケジュールが延びることもあって、そうなると、どんどん時短モードになっていくんですよね。ほんとはもっとドラムに時間をかけて、きっちり作り込んでチューニングもしたいんだけど、予算やスケジュールを考えると難しい。そうやって新しいチャレンジが確実に少なくなっていく。たとえばスタジオ代が半額だったら、倍やるとは言わないまでも、もう一日くらいはチャレンジするじゃん。
岩谷:わかりますね。だいたいベーシック、ドラムの音作りからギターの音作りまで全部一からやろうとすると、やっぱり1曲一日くらいはかけたいんですよ。でも一日で2曲、3曲録らなきゃいけないスケジュールになってくると……。
五味:耳が痛いな(笑)。
岩谷:いや、そこはバンドの経験値にもよるんですよ。LOSTAGEは同じ楽器の音色でも、それでも幅を出していく。それができるのが逆にすごいんですけど。
後藤:確かにね。一色刷りでも二色になったりする。
岩谷:そうですね。ただ、若いバンドで時間もないと、全部同じ楽器で、とりあえずボーカルも3回歌って、そのテイクをエンジニアが家に持ち帰ってあとはなんとかする、みたいな状況に陥ることも多くて。それだとバンドも成長しないですよね。その意味で、さっきゴッチさんが言ったみたいに、もう一日増えたとしたら、楽器の音をしっかり作る経験、歌をちゃんと組み立てて録る経験ができる。そうなると、次からはその経験値でどんどん良くなっていくから。
宿泊施設/コミュニティ・スペースになるビルの屋上。五味ならずとも「(ザ・ビートルズの)『Get Back』やん!」と叫びたくなる開放感。藤枝市の街並みもよく見える。洗濯物を干すだけでなく、ルーフトップライブの開催も期待(Photo by Tetsuya Yamakawa)
後藤:たとえば、変なマイクの立て方を試して、思ってたのと全然違って、みんな爆笑して終わっただけ、みたいな。でも、その方法を次のアルバムで使ったりすることってあるんですよね。ボツのアイディアとか失敗も実は大事で、蓄積すると経験に変わっていく。だから、なるべく長時間使えるところを用意してあげたいっていう気持ちがあるんですけど。
五味:ありがたい話。やっぱ場所借りてお金が発生すると、ずっと何かに追われてる感じになるから。僕ら、お金の管理は僕ひとりでやってるんですよ。メンバー2人は演奏に集中するし、金のことなんも考えてなくて。だからすげぇゆっくり準備とかして、それ見て僕はめちゃくちゃイライラしてる。
後藤:はははは。
五味:っていうことが、やっぱり起きるんですよね。お金とか時間に追われるのはキツい。そこが抑えられて活動の自由度が上がるって、バンドにとってすごくいいことやと思うし、ちゃんと健全に活動できる。
蓮華寺公園にて。土蔵(スタジオ)から徒歩15分程度で最高の散歩コース。4月中旬~GWには市の花「藤」が咲き誇り紫一面に染まる(Photo by Tetsuya Yamakawa)
蓮華寺池公園のボート乗り場前で、「マツウラコーヒー」の飲み物とともにリラックス。江戸時代の1613年に造られた溜池「蓮華寺池」が後ろに広がる(Photo by Tetsuya Yamakawa)
>>>蓮華寺公園の紹介ページ(藤枝市公式サイト)はこちら
一来年以降このスタジオが完成して、LOSTAGEの次のアルバムをここで録るとします。何があったら嬉しいですか?
五味:まぁ宿泊もあって、録音する場所があって、あとコミュニティ・スペース、ミーティングしたりする場所もあって……。
後藤:キッチンもあるから自炊もできるよ。食材持ってきてみんなで作って。
岩谷:一週間くらい滞在しながら作れる。
五味:あー、そんだけあったら十分やと思う。あとは、その周りの場所。スタジオにずっといると気持ちが滅入ってきたりするから、外に出た時にちょっと気晴らしになるようなお店とか。その街に何かがあって、それで気分転換できるような空気があったらいいなと思う。
一さっき歩いた蓮華寺池公園はうってつけですよね。
五味:楽器のリペア&カスタムショップとかもあったしね。
後藤:煮詰まった時に何か逃げられる場所ね。たとえば朝散歩できるだけで、そこにコーヒー屋があるだけで違ったりする。そこで気持ちを整えてからスタジオに入れるから。そういうの、意外と大事だったりする。ここは市街地だから街歩きもできるし。環境としてもいいかなと思ってる。
藤枝市のギターショップ「Sundy East Guitars」。新品・中古楽器の販売や修理に加えて、出張音響サービス(小規模PA)にも対応。2階にはリハーサルスタジオ(練習用スタジオ4室)も(Photo by Tetsuya Yamakawa)
>>>Sundy East Guitarsのホームページはこちら
蓮華寺池公園のボート乗り場前にある「マツウラコーヒー」。自家焙煎珈琲豆をハンドドリップで提供する。クラファンのフライヤーを街歩き中に何度も見かけた(Photo by Tetsuya Yamakawa)
>>>マツウラコーヒーのInstagramはこちら
一岩谷さんの目線で、このスタジオにあったら嬉しいものって何かありますか。エンジニアにとってのいいスタジオ。
岩谷:バンドの録音ということでいえば、録音ブースの響きが最初に気になるところですよね。そしてモニター環境。あと大事なのは、人かなと思います。そこに関わってるエンジニア、アシスタントさんだったり。
後藤:商用の大きなスタジオじゃないと、特に人の要素って大事になってくるよね。そのスタジオをスタッフやミュージシャンがどう工夫して使ってきたか、みたいな話が心地よさに繋がってたり。それを言語化するの、すごく難しいんだけど。でも何かが宿ってる。
街歩きをする前に、後藤は録音スタジオに改装される土蔵の2階で、クラファンのリターンとなる弾き語り音源を収録。「素の『Naked』と呼んでいいような演奏になりました。(中略)デモ音源がどうやって肉付けされていくのかが分かる、貴重なリターンにしたいなって思います」(後藤のnoteより引用)Photo by Tetsuya Yamakawa
一それって、ライブハウスには人の念が宿る、みたいなことですか?
後藤:近いけど、念っていうよりもっと具体的な使い方。無理やりのアイディアだったり。ボーカル録る時はベッドのマットをここに置くと音が収まる、とか。そういう人力の工夫だよね。
岩谷:そうですね。例えばスタジオの間取りを見て「こことここが繋がってたらいいアンビエンスが録れそうだな」と思ってたら、実際にドアを開けっぱなしにするのが通例になっていたり。そういう細かいことでも、音に真摯で柔軟な姿勢が見えると「やっぱそうだよね、いいスタジオだな」って思う。
後藤:これっていきなりできないこと。たぶん藤枝のスタジオも、5年なり10年なりかけて、みんなで使いながら「ドラムはこの向きだね」「ここにマイク立てると面白い音が録れる」とか、いろんなパターンができていくんですよ。それがいつしか、そのスタジオの伝統になっていく。
岩谷:そうやって歴史上偶然生まれたテクニックってけっこうあって。80年代に生まれたゲートリバーブとか。あれも元々はトークバック・マイクっていう、ブースのの中の会話をを聞くための、キツめにコンプがかかった歪む手前の音が返ってくる仕組みがあるんですけど。それでドラムの音を聴いた時に「この音カッコいいじゃん」ってことになって、それをミックスの中で活かせる技術をエンジニアが開発して、世界中に広まったもので。
後藤:だいたい、音が歪んでるっていうのももともとは失敗みたいなことだったので(笑)。
岩谷:ファズとかもそうですよね。オーディオ的にはエラーなんですよ、あれは(笑)。
一クラシックだったらまず使えないアイディアが、ポップミュージックではアリになる。
岩谷:そうなんですよ。クラシックから見たらロックやポップスはエラーと歪みの歴史とも言えると思います。ただ、「歪んでるからダメ!」「もう時間がない!」っていう実験できる遊びがない状況だったらおそらくこうはなってない。だから、そこを面白がれる余裕のある場所が、ひとつあるといいなと思いますね。
後藤:そういうのが積み重なっていくところを見てみたいよね。そんな時間が作れること自体が素敵な話だと思うから。それが失敗であれ成功であれ、みんながいろんなことを試せる場所だったら嬉しい。
みんなでアイディアを出し合えば「夢」は広がる
一今回のクラファンで集まったお金はスタジオの改修に使われますけど、今後を考えていくと、宿泊スペースの資金はまだ足りないんですよね。次のプランについても伺っておきたいです。
後藤:うん。次のプランとしては、スタジオの隣のビル。これをどうやってお金集めて事業化していくのかっていうところで。特に2階はほんと誰でも泊まれるゲストハウスにしたくて。このスタジオを応援したい人たちが泊まれる場所。
五味:食べて応援、みたいな?
後藤:そうそう。泊まって、スタジオ使ってるようなミュージシャンたちを応援する。泊まってくれる人たちがいることでスタジオが活性化する。
五味:画期的やな、それ。
後藤:そうしないとね、維持費とか人件費が賄えないので。ゲストハウスがあって、人が毎日泊まってくれると、ある程度回っていく。だからほんと、応援したい!なんて気持ちがなくても泊まってほしい。海外から観光で来た人がAirbnbみたいな感じで泊まってくれるだけでも全然いいし。それは俺たちだけじゃなくて、藤枝の人たちも嬉しいからね。
五味:そうね、街に人が来てくれる。
ゲストハウス化をめざすビルの2階。フロア全体の広さ、部屋の数のどちらも驚かされるばかり。この階もキッチンやシャワールームを完備しており玄関も広め。海外アーティストの長期滞在先にもよさそうで、そこからセッションや交流が実現したら……と夢が膨らむ(Photo by Tetsuya Yamakawa)
ビル3階のコミュニティスペースを想定した部屋。Tシャツが作成できるシルクスクリーンやリソグラフを設置するほか、後藤からはレコード/本などのポップアップショップなどの活用案も出た。写真左にはコンクリート壁の狭い部屋があり、防音環境を整えてボーカル録りやDTM作業に使える狭めのスタジオを作る予定(Photo by Tetsuya Yamakawa)
後藤:藤枝ってもともと東海道五十三次の宿場町なので。
五味:宿場町なんや。次それ曲にする? 前の江ノ電のアルバムみたいに。
一『サーフ ブンガク カマクラ』?
五味:次は東海道。53曲(一同爆笑)。
後藤:人生が終わるよ、たぶん(笑)。「あの人まだ東海道の歌作ってるよ。今やっと名古屋くらいまで来たらしいじゃん」みたいになる(笑)。
岩谷:分担してやればいいんじゃないですか? ここから半分はあのバンドに、みたいな。それで、終点の新宿まで。
一その参加バンドもここで募集しましょうか(笑)。でも、ミュージシャンだけじゃなく、音楽ファン、街の人たち、みんなで盛り上がるといいですね。
後藤:うん。音楽と地域を結ぶものになると思うし。ビル3階のコミュニティスペースだと30人くらい入るアコースティック・ライブができそうだし、ちょっと歩くともっと大きな倉庫があって、そこは100人とか150人が入れる。蓮華寺池の奥には野外の音楽堂もあるし。だから意外と展開はいろいろできる。バンドマンがレコーディングに来て、ちょっとライブもやって、それでレコーディング代が浮いたりするのも面白いかなって。あとは自分たちでクラファンを立ち上げて「レコーディング見学できる権」みたいなリターンを作るとかね。
五味:あぁ、泊まれたらできるよな。レコーディングの現場ってお客さんにはわかんないですもんね。ライブは行けるけど。
後藤:そう。ファンの人も泊まって見学できる。そうやってミュージシャンの金銭的な負担をなるべく軽くしてあげるような場所でありたいから。
一見学できる権とか、コーラス参加権とか、今までなかったから嬉しいですよね。レコーディングそのものがイベント化する。
後藤:地元でバンドやってる高校生に、現場を開いてあげたりするのもいいよね。10人とか入ると難しいかもしれないけど、2、3人がずっと見学してるとか、そういうのはありえると思うし。だから、そういうことも含めてみんながアイディアを出してくれると。「こんなこともできます?」「やってみようか」って言える場所。だいたい商用のスタジオだとダメって言われるから。
五味:まぁそうなるよな(笑)。誰も言わないし思いつかない。ここはいい意味でユルさがあるから。
後藤:うん。盗まれちゃいけない機材だけきっちり守っていけば、そうやってみんなが参加して、回っていく場所になると思う。
【関連記事】後藤正文×ホリエアツシ 同期の二人が語り合う、音楽家にとってスタジオが大切な理由
Photo by Tetsuya Yamakawa
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