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小沢健二『tiny desk concerts JAPAN』収録レポ スチャダラパーも参加、番組の可能性を押し広げる「特別な空間」

Rolling Stone Japan / 2024年11月18日 9時0分

小沢健二『tiny desk concerts JAPAN』収録レポ

NHK総合でレギュラー放送がスタートした『tiny desk concerts JAPAN』の本日11月18日(月)23時〜放送回に小沢健二が出演する。

※以下、ネタバレあり




観衆を”参加者”として巻き込むオリジナルなセット

収録現場はNHKのオフィスの一画に作られたスペースだ。訪れると、この日の観覧に集まった全員に配られる特製のホイッスルが手渡された。首からさげる入館証に取り付けられるようになっているもの。

「僕がホイッスル!と言ったら吹いてください。そうそう、そういう感じ」

サポートメンバーと共に登場した小沢健二は、簡単なサウンドチェックを済ませるとオーディエンスとして集まったNHKで働くスタッフに声をかけてリハーサルをする。

通常のライブやコンサートとは違うアレンジで距離感の近い歌唱や演奏が味わえるのが『tiny desk concerts JAPAN』(以下、tiny desk)の醍醐味なのだが、この日、小沢健二が見せてくれたのはそれだけじゃないスペシャルなパフォーマンスだった。さまざまな趣向を凝らし、ホイッスルを用意して観衆を”参加者”として巻き込む、この日だけのオリジナルなセットを披露してくれた。



収録がスタートすると、小沢はアコースティックギターを爪弾き「いつだったか、アメリカのNHKラジオとも言えるNational Public Radio(NPR)を聴いていて、”小さな机コンサート”を知った。車で通勤通学するかの国ではラジオ文化が豊か。そこで今回は、ラジオのように音を駆使して、音が突然切り替わったりします」と語り始める。しっとりとしたメロウなアンサンブルが響く。1曲目はオリジナルアレンジの「強い気持ち・強い愛」だ。「溢れる光 公園通り 新しい神様たちがパーッと華やぐ魔法をかける」という歌詞を持つこの曲は、まさにその渋谷の公園通りの坂を上がった場所にあるNHKで披露するのに相応しい感じがする。

この日のサポートメンバーは白根佳尚(Dr)、中村キタロー(Ba)、小竹満里(Perc:ビブラフォン、ティンパニ、チューブラベル)、朝川朋之(Harp)という編成だ。小沢はウサギの耳が付いた黒い被り物をつけ、メンバーたちも猫耳バンダナをつけている。これまで大人数の「ファンク交響楽」スタイルなど多種多様な編成でコンサートを行ってきた小沢健二だが、この日は室内楽的な編成。特にビブラフォンとハープの柔らかな音色が心地よい。続く「フクロウの声が聞こえる」では間奏部でオーディエンスがホイッスルで参加。高らかに歌い上げる小沢の歌声に応えるように、笛の音が響く。

>>>「フクロウの声が聞こえる」一部を先行公開(YouTube)

スチャダラパーが登場、様々な試みで作り上げる「特別な空間」

続いては、オフィスの一角に座っていたスペシャルゲストのスチャダラパーを紹介。「NHK、どんだけ綺麗かと思って来てみたら、結構散らかってるってことに気付きました。そんな歌を歌います」とBOSEが告げ、続く「ラブリー」はスチャダラパー「大人になっても」とのマッシュアップ・バージョンで披露した。

「ローカル」をテーマにした短いエッセイの朗読を挟んで、今年行なったライブで披露している新曲「台所は毎日の巡礼」へ。料理や食べ物のことを歌詞にした、親しみやすさと深遠さを併せ持つような楽曲だ。再びスチャダラパーの3人と共に「ぶぎ・ばく・べいびー withスチャダラパー」を披露。軽快なリズムに乗せてBOSE、ANIのラップと小沢の歌声が絡み合う。続けて「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」と「いちょう並木のセレナーデ」を繋げた「River Suite 川の組曲」を歌う。「いちょう並木のセレナーデ」のサビでは「歌える人、歌おう」と小沢が観衆に声をかけ、ひかえめなシンガロングが響く。曲の終盤で迫力あるティンパニの音が盛り上がりを生み出す。



ラストは「今夜はブギー・バックwithスチャダラパー」。再びオーディエンスがホイッスルで参加し、熱量の高い空気を作り出して終了。「ギリギリ最後の一秒まで演奏します」と小沢は最初に宣言していたが、この日のパフォーマンスは一回も演奏を止めずに曲や朗読を繋いでいく構成だった。背景に手書きの文字で書かれた歌詞やモノローグの言葉を映し出していたことも含めて、とても作品性の高い『tiny desk』のパフォーマンスだったように思う。

ちなみに、この日は小沢本人からスマートフォンでの映像撮影がOKされていた。観衆であるNHKで働くスタッフが撮った映像は番組にも使われるようだ。単にステージの上でパフォーマンスするだけでなく、いろんな仕掛けやアイディアに満ちた試みで「特別な空間」を作り上げるのがここ最近の小沢健二のライブの大きな魅力の一つでもある。この日の『tiny desk』で見せてくれたのも、番組自体の可能性を押し広げるようなパフォーマンスだった。


【写真を見る】小沢健二、収録後のサイン入りポラロイド


◎放送予定

【NHK総合】2024年11月18日(月)23:00~23:29
※NHKプラスでの同時・見逃し配信あり
tiny desk concerts JAPAN
https://www.nhk.jp/p/ts/KXVP6WG6VM/

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