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imaseが初のホールツアーで見せたポップスターの矜持

Rolling Stone Japan / 2024年11月25日 22時10分

imase Photo by Viola Kam (V’z Twinkle)

11月13日よりスタートした、imase初のホールツアー『imase Hall Tour 2024 ”Shiki-Sai”』(全国3か所5公演)が、25日、愛知・名古屋公会堂 大ホールにてファイナルを迎えた。本稿では、初日の東京・LINE CUBE SHIBUYA公演をレポートする。

【写真を見る】『imase Hall Tour 2024 ”Shiki-Sai”』LINE CUBE SHIBUYA公演

2024年も、imaseの活躍が目まぐるしい1年だった。今年に入ってからすでに、1枚のアルバム、9曲のシングル、5曲のコラボシングルをリリース。しかもドラマ『チェイサーゲーム』主題歌(2期連続)、映画『スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム』主題歌、「第103回全国高校サッカー選手権大会」応援歌の書き下ろしに加えて、マクドナルド、GU、資生堂、キリン、JR、ラコステなど、大手企業からのタイアップオファーが止まらない。今もっとも世の中から求められているアーティストのひとりと言っていいだろう。

imaseが初めてワンマンライブを行ったのは昨年3月。場所は、最大収容人数400の東京・渋谷WWW。まず異常なスピードのステップアップに驚くのだが、初ライブからたった約1年半後に行ったホール公演では、世の中からの期待を背負うimaseのポップスターとしての自覚が溢れ出ているように見えた。


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)

『imase Hall Tour 2024 ”Shiki-Sai”』は「ピリオド」からスタート。バンドメンバー(松本ジュン(Key、Bandmaster)、モリシー(Awesome City Club / Gt)、林あぐり(Ba)、BOBO(Dr))がセットに隠れた状態で、まずはたった一人で広いステージを背負う。しかもホールの音響だと、やはりライブハウスよりも歌が丸裸な状態で響いてくる。取り繕うことのできない環境ですべてをさらけだしながら、大勢のファンの膨大な想いを一人で受け止めようとするimaseがそこにはいた。「NIGHT DANCER」を経て、3曲目は、イントロのギターから大盛り上がりした「LIT」。アウトロでバンドがかき回すとき、imaseは背中を客席に向きながら両手を大きく開いた。その姿がとても頼もしく、眩しかった。


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)

imaseといえば「NIGHT DANCER」のグローバルヒットを機に世界中に名を轟かせ、6月から7月にかけてはバンコク、香港、クアラルンプール、上海、ソウル、台北を回るアジアツアーを成功させるほど、海外からも注目を浴びている。そんな中でimaseは日本で生まれたポップアーティストとしての自覚を強め、あえて日本語で歌い続けていることも含め、「日本の文化の面白さやユニークネスは何か」といったことを追求して国内外に発信することと向き合っている。今年の春に行った全国ツアーとアジアツアーのタイトルは「Shiki」で、今回のホールツアーのタイトルは「Shiki-Sai」。メインビジュアルには盆栽を用いた。そしてもちろん、そういった姿勢は音楽の中でも爆発していた。


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)

4曲目に披露したのは「蜃気楼」。日本人が好きな壮大なJ-POP感やノスタルジックさを感じさせる音色に、グローバルポップスのトレンドのビート感を掛け合わせたこの曲が、ライブにてバンドアレンジとスタンドマイクで歌い上げる歌を通すと特別心地いい。そしてimaseなりの新たなシティポップ「ミッドナイトガール」、ミュージックビデオは日本の往年の歌番組をオマージュした「Nagisa」と、日本の音楽文化を受け継ぐ表現で魅せてくれる。その中に、「Rainy Driver」といったハウスミュージックをベースにしたポップスも入れ込んでくる。そうして日本の音楽文化を愛しながら、海の外との架け橋になろうとするimaseのスタンスが、ライブの冒頭から最後まで表れていた。


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)

imaseをポップスターと呼ぶにふさわしいのは、そうやって日本の文化を届けながら新たな1ページを刻もうとする姿勢だけではない。ステージ上の階段に腰掛けながら、「みなさんも逃げ出したくなることがあると思います。そのときは逃げ出してもいいんですよ」「逃避する前に、一息つくのも大事です」と優しく声をかけて、「逃避行」「でもね、たまには」をアコースティックセットで届けた時間は、まさしく癒しだった。生きている中で、どうにもならないことや、どうすればいいかわからないことを目の前にすることが、誰しもにあるだろう。心のざわめきをそっと緩めてくれることも、ポップスの大切な力だと思う。そのことに対する自覚や責任も、imaseはしっかりと果たしていた。


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)

映画『スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム』主題歌「Dried Flower」では、異なる一面を覗かせた。赤いレーザーが飛び交う中、”殺されても 君といたいね”といった鋭い歌詞を歌う曲の主人公に憑依したパフォーマンス。この瞬間、imaseは役者のようだった。イントロの歓声の大きさがどれほど一人ひとりの人生に深く刺さっているかを語っていた「Happy Order?」では、振付を踊りながら歌い、コール&レスポンスを誘って、ステージをエンターテイメントに染め上げた。


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)

その後「初めてのことには緊張しやすいタイプで、眠れなくなったり不安で手が震えちゃったりする」と話した場面では、「軽やか」や「飄々と」などと表されることの多いimaseのリアルな一面が垣間見えた。本編最後に歌った「アウトライン」「ユートピア」「BONSAI」も、彼の考え方や生き方が明確に見えるものである。imaseとはノンフィクションとフィクションを行き来しながらひとつのショーを作り上げることのできるポップアーティストである、ということを、この日のホール初公演で見事に証明していた。


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)

アンコールでは、ファンクラブ「IMAZINE」の開設と来年春に9都市を回る全国ホールツアーの開催を発表。最後はimase & なとり(さらにjo0jiがガヤで参加)の「メトロシティ」を、imaseがなとりの歌唱パート含め全編歌い上げる形で締め括った。なとりとjo0jiも参加した完成版は、2025年2月に開催されるライブイベント『Juice』にて披露が予定されている。


Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)



<SETLIST>
ピリオド
NIGHT DANCER
LIT
蜃気楼
ミッドナイトガール
Rainy Driver
Nagisa
逃避行
でもね、たまには
エトセトラ
Dried Flower
Shine Out
ヒロイン
Happy Order?
アウトライン
ユートピア
BONSAI
EN1. プリズム
EN2. メトロシティ

<INFORMATION>


FM802 35th Anniversary ”Be FUNKY!!” × Juice Supported by Rolling Stone Japan
2025年2月11日(火・祝)大阪・Zepp Namba


Juice supported by Rolling Stone Japan
2025年2月16日(日)東京・Zepp Haneda

出演:imase、jo0ji、なとり

https://cccmusiclab.com/Juice2025

imase Hall Tour 2025
2025年4月19日(土) 千葉・市川市文化会館
2025年4月27日(日) 福岡・福岡市民ホール 大ホール
2025年5月11日(日) 広島・広島文化学園HBGホール
2025年5月15日(木) 愛知・愛知県芸術劇場大ホール
2025年5月18日(日) 大阪・フェスティバルホール
2025年5月21日(水) 東京・LINE CUBE SHIBUYA
2025年6月8日(日) 宮城・トークネットホール仙台(仙台市民会館) 大ホール
2025年6月19日(木) 北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
2025年6月28日(土) 岐阜・土岐市文化プラザ サンホール

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