EARTHGANGが語るアルゴリズムとの闘い、東京の記憶、ファレルやスヌープとのコラボ
Rolling Stone Japan / 2024年12月2日 17時0分
J・コール率いるDreamville Records所属のヒップホップ・デュオ、EARTHGANGが12月5日にduo MUSIC EXCHANGEで初来日公演を開催する。アトランタ出身のOlu(オルー)とWowGr8(ワウグレート)が最新作『PERFECT FANTASY』、ファレルやスヌープとのコラボ、インディペンデントであり続ける意味について語った。
アトランタ出身のデュオ、アースギャング(EARTHGANG)は最新アルバム『PERFECT FANTASY』を10月29日(火)にリリースした。2013年にビヨンセがセルフタイトル作をサプライズでリリースして依頼、音楽業界では金曜日がアルバムリリースの日として定着しているが、アースギャングはもう金曜日のリリースの群衆に加わる事に興味がないと語る。「俺たちのテーマは”アースギャング vs. アルゴリズム” なんだけど、そのアルゴリズムが今や俺たちの手に負えなくなってきている。人々をこのプラットフォーム上で、ただその目的のためだけに行動させてしまっているんだ。」とOluは語る。「それで思うんだ、何でみんな同じような決断を強いられているんだ? 誰が決めたんだ? 何で火曜日にリリースしちゃいけないんだ? 俺たちはいつだって音楽をリリースして良いんだよ」。
”Earthgang vs. the Algorithm”はアルゴリズムに迎合しようとする私たちの欲求を検証する一連のプロジェクトだ。昨年9月、彼らは『RIP Human Art』をリリースし、Oluはこの作品がAIが人間の労働力、特にクリエイターの仕事を奪う可能性について探究したものだと語る。今年2月には『ROBOPHOBIA』を発表し、Oluは「どのようにすれば自分たちの創造力を活かし、このテクノロジーに対抗するのではなく、人々にとって有利な形でうまく使いこなせるか?」という問いを投げかける作品だと説明している。
『PERFECT FANTASY』は彼らの三部作の集大成だ。このアルバムには、前作2つのプロジェクトからの楽曲に加え、T・ペインを迎えた「Love U More」や、ファレル・ウィリアムスとの「U Gotta」などの新曲も収められている。アルバムの大半は隔離期間中にレコーディングされ、その期間は彼らにとって特に人間関係に関する気づきが多い時間だった、と二人は振り返る。その感情は「Red Flag」に表れており、WowGr8は曲中で「二回目のデートで、あなたの銀行口座は?レッドフラッグ / 何でこんな質問をするんだ?」とラップしている。Wowの内省的なリリックと南部由来のスタイルが、Oluのメロディアスなアプローチと見事に融合している。彼らは、先にEP二枚をリリースし、それを最終的に『PERFECT FANTASY』にまとめたことで、リスナーが一度に18曲を聴くよりも彼らの音楽をより消化しやすくなったと感じている。
このプロジェクトの舞台設定は、アースギャングのブランディング開発スタジオ「Satin Heart」によって作り上げられた「トーキョーランタ(Tokyolanta)」という架空の場所だ。彼らの故郷であるジョージア州アトランタと、世界で最も未来的な都市の一つとして称される東京を融合させている。実際に彼らは「U Gotta」のミュージック・ビデオを東京で撮影している。レジェンド・プロデューサーであるファレル・ウィリアムスは、スヌープ・ドッグ、リトル・ドラゴン、ゴリラズ、Cochiseと並び、『PERFECT FANTASY』の注目すべきフィーチャリング・アーティストの一員として参加している。
アースギャングは最新アルバムの制作過程、現代のテクノロジー、そして東京でのMV撮影について語ってくれた。
アルゴリズムとの闘い、東京でのMV撮影
―”Earthgang vs. the Algorithm”というアイデアは、そもそもどのように思いついたのですか? またそのアイデアを複数のプロジェクトに分けて展開する事にした理由について教えてください。
WowGr8:このプロジェクトを分解してリリースした理由は、ファンに普通とは違った形で届けたかった、そして自分たちの音楽を消化する時間を与えたかったからだ。いきなり大きなプロジェクトをドロップして「じゃあ、さようなら」って感じにしたくなかったんだよ。今のストリーミング・サービスってシングルにより重きを置いているから、もし大きなプロジェクトとしてアルバムをリリースしたとしても、全ての曲を聴いてもらえなかったり、アースギャングをそんなに熱心に追いかけてない人にはちゃんと評価される機会すら得ることなく終わってしまう可能性があると思ったんだ。
プロジェクトを分解して少しずつリリースし、その後で全体像を見せるという方法を取ったのは自分たちにとってリスクだった。みんなが「おい、今回のアルバムは手抜きだったな、自分たちに何も与えてくれなかったじゃん」って言われるんじゃないかと怖かったんだ。でも今はみんな「なるほど、やっと分かったよ。前は「Blacklight」をちゃんと聴いてなかったけど、今は全体を通して一つのプロジェクトとして聴いている」って感じさ。そうやって、人々に違った形で音楽を吸収するチャンスを与えられているんだ。
―それぞれのEPの主となるテーマは何ですか?
Olu:最初のEP『RIP Human Art』はみんなが当時感じていた空気感を表している。人々は「どうなるんだろう? ロボットが来る。人間はロボットに置き換えられてしまう。プロデューサーも立場を奪われてしまう」と思っていた。前に黒人のAIアーティストが、黒人の子供の声とスタイルを使った作品を作っていたんだけど、あるレーベルが「これは自分たちは使えない、文化の略奪(Culture vultures)になってしまうから」と言ったんだ。そこから、アーティストは置き換えられるのか?という問いが浮かび上がってきたんだよ。
そして2作目の『ROBOPHOBIA』では、「AIやロボットは現実に存在している。じゃあ、どうやってそれらと共存し、クリエイティビティを駆使してテクノロジーと戦うのではなく上手く活用して自分たちに有利に使っていけるか?」というテーマが込められているんだ。
そして最後の『PERFECT FANTASY』では、コンピューターやテクノロジーとの共生が描かれている。理想とする世界では、テクノロジーは人間の体験をより良くするためのものであり、決して人間の体験を置き換えるものとして使ってはいけないんだ。ロボットを人間の生活をより良くするためではなく、人間がやるべき事をロボットにやらせるために作った時に問題は起こってしまう。
つまり、特にこの『PERFECT FANTASY』で音楽を通してやりたかったことはクリエイティビティがどうあるべきかという厳格なルールに縛られず、また創造性の本質を無理に合わせることなく、自由に表現できる世界を作りたかったんだ。そしてとても良い反応を得られたと思う。サウンド的にも特別なものになったし、プロジェクト全体をまとめて、それを新しい形で届けるというアイデアがリスナーに評価されていると感じているよ。そしてこれが俺たちの「ロボットのようにただルールに従って並ぶのではなく、一度は常識に逆らってみようぜ」って考え方なんだ。
―「U Gotta」のミュージックビデオの撮影はいかがでしたか? 東京のダウンタウン(街中)で楽しんでいるように見えましたが、どんなバイブスでしたか?
WowGr8:とても楽しかったよ。
Olu:うん、まさにそれに尽きるね。外で撮影していたシーンで、ブラック系の女の子たちが登場するシーンがあるんだけど、その子たちはたまたまゲームセンターで会ったアトランタから来ている俺たちのファンだったんだ。俺がエレベーターから降りた時に、彼女たちが「アースギャングじゃん! やばい、何してるの?」って言ってきて、「今ビデオ撮影してるんだよ」って言ったら、彼女たちもエレベーターから降りて友達を連れて撮影に参加してくれたんだ。まさに偶然の出来事で、アトランタのファンと日本で一緒にビデオを撮影するなんて最高だよね。
―撮影中は周りにたくさん人が集まっていましたか?
WowGr8:うん。
Olu:間違いなくね。
WowGr8:かなり目立っていたから、たくさんの人が見ていたよ。一度警察が来て何をしているのか聞かれたんだけど、おそらく、そのまま続けて良いって言われてさ。街中で撮影してるのをずっと見てる人が沢山いたよ。おそらく14、15時間は撮影していて、一日中いろんな場所で撮っていたんだ。タイムズスクエアみたいな場所が5、6箇所あったからそれをいくつも回って、ゴーカートもやって、最後にはパーティーもしたよ。長い1日だったね。
『PERFECT FANTASY』の制作過程
―このアルバム、そしてこの一連のプロジェクトは、主にどこでレコーディングされましたか?
WowGr8:このプロジェクト? そうだな、ほとんどはアトランタでレコーディングしたかな。大部分はパンデミック中に録ったんだ。「Red Flag」や、それに似た曲達はまさにパンデミック中の深い思考の中で出来た曲だよ。みんなが腰を下ろして、じっくりと考える時間ができた時期にね。
―隔離期間中にあなたが経験した最も大きな気づき(ブレイクスルー)は何ですか?
WowGr8:そうだな、俺は人間関係についてすごく深く考えたよ。ロマンチックな関係、友情、一般的な尊敬の気持ち、人に対するリスペクト、人間としての礼儀とかね。それについて沢山考えた。そして俺たちが日本で経験したとても大事なことでもある。日本では人々がお互いに対してとても礼儀正しく接することが一般的なんだ。アメリカ、特にパンデミック中のアメリカにいると、今までずっと一緒にいた人たちとの関係について、なぜ自分がその人達と関わっているのか、すごく考える時間ができた。「なんでこの人と友達なんだろう? 自分たちは本当に友達なのか? この期間中に連絡をくれたことがあったか? お互いを大切に思っているか、そうじゃなければこの関係は一体何なんだ?」って。今の時代、友達になる理由って色々あるよね。SNSがあるし、みんな名声やビジネスの成功のために行動する、そんな感じだよね。だから、そういった事も全部考えないといけなかった。俺がデートしている女の子も「俺は何でこの子を連れているんだろう? 俺はこの子が好きなのか? それとも、ただみんなに”おお、綺麗な子と一緒にいるんだな”って言わせたいためだけなのか? 俺は彼女を人として大切にしているのか? 彼女は俺を人として大切にしているか?」って思ったんだ。そして、それが全部このプロジェクトにも反映されているんだ。さっきも言ったけど、「Red Flag」って曲はまさにそういう事を取り上げた曲なんだ。
Olu:人間関係というのは間違いないね。そしてさっき言っていたように、それが自分の意図かっていうことが重要なんだ。どうして俺たちは繋がりたいと思うのか? 孤独から繋がろうとしているのか? パンデミック中はたくさんの人が孤独感から人と繋がろうとしていたと思う。それが自然な事だったんだろうね。「うわ、俺は今一人でこの家にいる。君はこのパンデミックが起こる前に一番身近な人だったから、一緒に住んでこの状況を乗り越えようよ」って感じでね。で、この3〜4年の間に、みんながようやく人との繋がりや本当に意味のある健全な人間関係を築く意図について気づき始めたと思う。その関係は別にクレイジーなものやモニュメンタルなものじゃなくて良いんだ。1日の終わりに、この関係はあなたの人生をより良くしているか? この関係はあなたをより良い人間にしてくれているか? それともこの関係はあなたの人生に価値を加えてくれているのか?って感じれるかって事だよね。
―パンデミックを抜けて外の世界に戻ってきてから、そこまでに感じた事を基に、自分がどんな人間関係を築くべきかを見極められるようになりましたか?
Olu:もちろんさ。この1、2カ月で沢山の人と話をしたんだけど、今年はここ2〜3年の間に築いてきた人間関係に拡大鏡を当てたかのような感覚なんだ。「俺たちは何をしているのか」ってな感じにね。特に自分たちの行動範囲や職業柄、沢山の人と出会い、様々な人々と交流する機会がある中で、自分を大切にしてくれる、そして自分が大切にしたいと思える人たちを周りに持つということが重要だと思う。見えるものだけに寄ってくる人が多いと気づくのは簡単だよ。
―プロデューサーやインストゥルメンタリストとは、どれくらいコラボレーションしているんですか?
WowGr8:かなり積極的にやってるよ。Oluはハンズオンでのプロデュースも沢山手掛けている。でも、ビートを送られてきてそれにただラップを乗せるだけってわけにはいかない。自分の声が輝くスペースを作らなきゃいけないし、自分自身にスポットライトを当てなきゃいけないんだ。音楽をアレンジするのは楽しいよ。俺たちは音楽オタクだから、ステムとかいじったりして、曲をもっと没入感のある体験にするのが好きなんだ。
―レコーディングする場所の雰囲気や環境が、曲へのアプローチにどのような影響を与えると思いますか?
WowGr8:影響しないとは言えないね。色んな場所でレコーディングしてきたけど、以前ロンドンで作った曲のように、他の場所では作り得ないような曲を作った事がある。でも自分にとって最も大きな部分を占めるのは、場所よりもそこに一緒にいる人たちかな。ビートが流れ出す前にどんな会話をしていた?曲を作っていたのか? サンプルを探していたのか?みんなで何を話していたのか?何が面白かったか?何が面白くなかったか? その日はどんなムードだったか?
例えば俺たちのプロデューサーNatraの場合、俺は悲しい日も楽しい日も一緒に作業してきた。彼は「Electric」も「Red Flag」も手掛けていて、どちらも全く違うサウンドだけどその2曲を同じ日に作ったんだ。「Electric」はアシッドでキマッている時に作ったんだけど、ビデオゲームで遊びながら、クレイジーなアシッドビデオゲームソングが出来たんだ。そして「Red Flag」は俺の家でチルしている時に作ったんだ、雨が降っている日だったな。シラフで制作していた。Natraが雨の雰囲気に合うビートを流して、そこからこの曲を作っていった。つまり、環境と同じく一緒に制作している人たちとの会話も曲に影響を与えるってことさ。
ファレル、T・ペイン、スヌープ・ドッグとのコラボ
―「U Gotta」はどのようにして作られたのですか?
WowGr8:この曲は、パンデミックが徐々に収束し始めていたけどまだ世の中が不安を抱えていた頃に作ったんだ。2022年ぐらいだね。俺たちはマイアミを訪れた。その時に初めてファレルに会ったんだ。ぶっちゃけ、俺たちは彼に会いたかったんだよね。その時彼がレコーディングをしているって知らなかったんだけど、それを知って嬉しかったね。沢山制作をして、沢山のアイデアを彼と出し合った。本当に素晴らしいセッションだったよ。ファレルが作っていた、テキーラ・パープルレモネードってカクテルがあってそれが本当に美味しかった。俺たちはそれを飲みながら水辺を眺めていた。みんなでくつろいで、色々話をしたりしてさ。そしてビタミンB12も摂りながら、ヘルシーにちょっと酔っ払っていた。そんな感じであの曲を作ったんだ。
―ファレルは多くの面で刺激的でモチベーションを与えてくれる存在だと思いますが、彼からのアドバイスで何か心に残っているものはありますか?
WowGr8:経験そのものが心に残っている感じで、具体的な言葉は分からないな。みんな「彼はなんて言っていたの?」って聞いてくるんだけど、正直分からない。夢が叶った感覚で、お菓子屋さんにいる子供みたいな感じだよ。
Olu:彼らが空間を作り上げたんだよ。彼とチャド(・ヒューゴ)がね。チャドはほとんど話さなかったけど、いつもそこにいて、アイデアやバイブスを提供してくれた。
WowGr8:チャドがアイデアに対して「イエス」か「ノー」以上の言葉を発することはなかったけど、彼は音楽に完璧に集中していたんだ。
―「Love You More」はどのようにして作られたのですか?
WowGr8:T・ペインさ。ペインは俺たちがこれまで一緒に仕事をさせてもらった人たちの中でも最もプロフェッショナルな人物の一人だ。彼は俺たちのフィーチャリングの依頼を毎回受けてくれて、制作時間も適切だ。この曲に関して言えば、一緒に曲を制作をした後、彼がこの曲を俺たちに譲ってくれたんだ。彼は「この曲の居場所が見つからない」と言ったから「ちょうどアルバムを出す予定だから、そこに入れるよ」って言ったんだ。それだけじゃなくて、最後ギリギリのタイミングで曲を少し変える必要があったんだけど、彼はすぐに対応してくれたんだ。この曲を作り始めたこと、俺たちに譲ってくれたこと、そしてプロフェッショナルな姿勢に本当に感謝している。
―「Flavors of Karma」を作った時はどんな気持ちでしたか?
WowGr8:「リック・アンド・モーティ」を見ていたんだ。あの番組には沢山のエピソードがあって、色んな”別の可能性”を描いているよね。それで、別の可能性というものについて考え始めて「こんな人生だったらどうだろう?」って感じで言葉が一行ずつ浮かんできた。それと同時に「フレンチ・ディスパッチ」をよく見ていたんだ、2021年のことだね。俺はあの映画を何度も見ていて、その世界観がビートと混ざり合った感じだね。Amarahに感謝。俺はこの曲が大好きなんだ。この曲は俺をある”場所”から抜け出させてくれたんだ……うまく言えないけど。俺はそんなに考えすぎるタイプじゃないんだけど、一度考え始めるととことん深いところまでいってしまうんだ。その深い穴から抜け出すために、あえて考える必要があったのかもしれない。
―「Flavors of Karma」の曲中に”俺はとても賢い。でもバカで幸せだったほうが良かったかもしれない。”という歌詞がありますが、どれくらいの頻度でそのように感じ、そしてその気持ちとどう向き合っていますか?
WowGr8:たぶん、小学校2年生の頃から2週間に一回くらいかな、まじで。ずっとだよ。「無知は幸せ」って言うけれど、それは嘘じゃない、紛れもない真実だよ。時々、知識や情報って重荷になるんだよね。そして俺たちやこの社会は、これまでの人類の歴史で一番多くの知識と情報を持っている。全部あるんだ。
Olu:ありすぎる。
WowGr8:その中には自分から選んで得た情報、求めた情報、全く知りたくない情報もあるけど、それでも全部手に入ってしまうんだ。時には自分より無知な人を羨ましく思うこともあると思う。それは悪い事じゃないし、その人がどれだけ無知かなんて分からない。でも、誰かが自分より無知で幸せそうに見えたら、そういう風に思ってしまうのは人間として自然な感情だと思う。そして、俺たちが生きている今この時代だからこそ、その感情をより多くの人々の間で見かけるようになったと思うよ。
―スヌープとの「PERFECT FANTASY」はどのようにして作られたのですか?
WowGr8:たぶんアルバムの中で一番古い曲だと思う。俺がDishと一緒に作っていたデモだったんだ。Dishは「Blacklight」もプロデュースしているんだけど、俺たちは2019年と2020年にすごく仲良くなったんだ。だからパンデミック中はずっと一緒に音楽を作っていたよ。この曲の原型となるアイデアを作って、そこからいくつものバージョンを作った。ホーンが入っているバージョンもね。ホーンはSplice(*音楽制作のためのオンラインプラットフォーム)から、ベースラインはどこか他のところから取ってきたものだったかな、でもとりあえず俺たちは”時代を感じさせる曲”を作ろうとしていた。時代をテーマにした曲を作るのにすごくハマってたんだ。Dishと俺で集まって、80年代風の曲を作ろうとか、60年代風の曲を作ろうとか、色んな時代の曲を試していたね。それを1ヶ月続けて、後から聴き返した時にその中で良かった曲がこの曲だったんだ。それで、この曲をスヌープに送ることになったんだけど、彼がめちゃくちゃ良いラップをしてくれてさ。スヌープから戻しがあった時に、『Ghetto Gods』のアルバムに入れる予定だったくらいだいぶ前に作った曲だよ。そしてKP(*音楽プロデューサーのKawan Prather)が「いやぁ、スヌープが最高の仕事をしてるな。彼は完全にやり切ったね」って言ってたのを覚えてる。それで俺も「そうだね、この曲は残しておこう」ってなった。スヌープが本気を出してくれているのがとても嬉しかったよ。素晴らしい体験だったね。スヌープには何年か前に会ったんだけど、彼はいつだってクールで、俺たちのアイドルだよ。俺たちは彼の音楽を聴いて育った。本当に最高の体験だったな。
インディペンデントであり続ける意味
―インディペンデントとしてこのプロジェクトを制作するのはどうでしたか? 創作過程や他の面で、これまでの作品と比べて大きな違いはありましたか?
WowGr8:いい質問だね。一つ言えることは、このプロジェクトは本当に自分たちの自由にやらせてもらったということだね。誰にも邪魔をされることがなかった。
Olu:その通り。あと、やりたかったアイデアの中には「よし、今すぐこれをやろう」って物もあった。そういう時に沢山の面倒な手続きをする必要がなかったから、その部分は良かったな。
WowGr8:かなり自由に流れるようなプロセスだったよ。
―今の自分たちのキャリアについてどう感じていますか?
Olu:そうだな、過去を振り返ったり、もしもこうだったらとかは考えたくないかな。自分たちはファンのみんなのために良い基盤を作れたと思っているし、Dreamvilleと俺たちがやってきたことがアースギャングの新しいチャプターを開いたんだ。たくさんの音楽を作ってきたし、膨大なカタログもある。俺たちのファンは、アースギャングが質の高い音楽と体験を提供するって知ってくれているんだ。
WowGr8:俺たちの多才さをキャリアの早い段階で発揮することができたおかげで、どんな変化にも適応し続けられたと思う。みんなが今までにないくらい枠というものに縛られている時代に、自分たちがその狭い枠にとらわれなければ”長続きする力”を手に入れることが出来るんだ。
―Olu、あなたが取り組んでいるCompxssについて教えてくれますか?
Olu:もちろん。Compxssは健康とウェルネスに関するプラットフォームなんだ。俺たちのスローガンは”自分の道を見つける(Find your Way)”で、人々がそれぞれの旅を進む手助けをする事を目的としている。俺たちはインナー・コンパス、もしくは道徳的な(モラル)コンパスを使って人々の旅をサポートしているんだ。それをヨガ、呼吸法、瞑想、アクティベーション、コミュニティとの交流、プロダクトなどを通して行っている。これらは俺が人生を生きていくために、そして自由に楽しむために必要だと気づいた事たちだよ。もし、あなたが気軽に電話をしたり、「こんな事があってさ」と話せるような親友がいない時、結局頼れるのは自分だけという状況もある。だからこそ、自分の旅を楽しみ続けて、好きなことを続けられるポジションに身を置くべきだと思うんだ。
アーティストとして俺たちはスポットライトの元、リアルタイムで常に成長していく事ができて、自分たちの旅はとても美しいものになっている。自分自身をケアする時間や、世間をシャットダウンする時間を取れない時もある。このアルバムのリリースやプロジェクトが進行中の時も、人々がどんな事を抱えているかは分からない。
それでも、自分が愛していることに全力で取り組むこと、そしてプライベートの生活に全力で向き合うこと、バランスをとりながらその両方を最高のレベルでやること。そして、その二つの間に存在する美しさを見出すことが大切なんだ。
From Rolling Stone US.
アースギャング来日公演
2024年12月5日(木)東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE
開場 18:00 / 開演 19:00
チケット料金:スタンディング8,000円
主催・招聘・企画制作: KYODO TOKYO / EVENTIM LIVE ASIA
詳細:https://kyodotokyo.com/pr/earthgang2024.html
『PERFECT FANTASY』
再生・購入:https://earthgang.lnk.to/perfectfantasy
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