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indigo la End「トウヤノマジック vol.1」総括 結成15周年に向けて新たなモードへ

Rolling Stone Japan / 2024年12月4日 11時20分

Photo by 鳥居洋介、三浦大輝

12月1日、indigo la End(以下、インディゴ)が横浜アリーナでのワンマンライブ「トウヤノマジック vol.1」を開催した。インディゴが横浜アリーナでワンマンライブを行うのはこれが初めてで、彼らにとっては過去最大キャパ。2022年11月の日本武道館公演、2023年から2024年にかけて行われたロングツアー「藍衆」、数々のフェスやイベント出演を経て、ライブバンドとしてたくましさを増した4人の現在地が感じられる一夜となった。

【写真ギャラリー】「トウヤノマジック vol.1」ライブ写真(全20点)

開演時間を過ぎて照明が暗くなると、オーディエンスがつけているアクリルライトブレスレットの青い光が場内にゆらめく中、スクリーンにはフランス映画のような女性の映像が流れ始める。インディゴの映像というとアートワークとも連動する日本人女性のイメージが強いこともあり、このオープニングからしてインディゴがまた新たなタームに入ったことを感じさせる。10カウントを経て、ステージに向かうメンバーの姿がリアルタイムで映し出されると、ライブは「瞳のアドリブ」からスタート。スクリーンにはメンバー一人ひとりの姿が映し出され、「この4人がindigo la Endである」という、バンドとしてのアイデンティティを感じさせた。

この日は初のアリーナワンマンということもあって、過去のライブに比べて演出は視覚的に魅せる要素が強まっていて、「想いきり」や「砂に紛れて」では曲とシンクロしたイメージビジュアルが映し出されたのもインディゴのライブとしては新鮮。一方、後鳥亮介がリードして場内がクラップに包まれた「名前は片想い」ではバンドとオーディエンスのコミュニケーションが一体感を作り出していき、この曲がすっかりアンセム化したことも改めて伝わってくる。さらに、佐藤栄太郎のドラムソロから始まったロックナンバー「悲しくなる前に」ではアウトロで印象的なリフを何度も転調させるライブアレンジを聴かせ、そこからデザインされたライティングによる「不思議なまんま」へと繋げていく。音源では聴くことのできない曲間のアレンジは、やはりライブバンドとしてのインディゴの真骨頂だ。


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝

この日のライブは前半から中盤にかけてほぼノーMCで曲を演奏していったが、ノスタルジックな粗い画質の映像とともに演奏された「見せかけのラブソング」、歌詞とリンクする赤と白の対比を新たな映像で表現した「チューリップ」、サビでの青い照明が文字通り糸のようにステージとフロアを結んだ「蒼糸」、雨の降る窓に歌詞を映し出した「ラムネ」と、楽曲や演奏の素晴らしさはもちろん、視覚的にも記憶に残る場面が続き、没入感の強いステージを作り出す。「ひさしぶりの曲をやります」と言って披露された『藍色ミュージック』収録の「忘れて花束」から、「夜の恋は」でブロックを締めくくるまで14曲が一気に披露されたのは、バンドのライブに対する自信の裏返しだと言ってもいいかもしれない。

川谷絵音はMCで「個人的には、横浜アリーナでワンマンライブをやるのが9年ぶり」と語ったが、これは2015年10月に開催されたゲスの極み乙女。(当時)のワンマン「ゲスチック乙女~アリーナ編~」のこと。この年は4月にゲスの極み乙女。が「私以外私じゃないの」をリリースして、社会現象化していく真っ只中だったのに対して、インディゴは3月に佐藤栄太郎の正式加入が発表され、6月に「悲しくなる前に」で現体制での再スタートを切ったタイミング。それまで出入りの多かったインディゴの正式メンバーがついに固まったときであり、当時のゲスの極み乙女。ほどの派手さはないものの、着実な歩みで横浜アリーナまでたどり着いたその歴史は改めて感慨深いものがある。

結成15周年イヤーに向けての「脱皮」

ライブ後半は「冬夜のマジック」からスタートして、ミラーボールが場内を輝かせると、「初めての横浜アリーナのライブなので、僕らにとって今日はX Dayということで」と話して「X Day」へ。インディーズ時代の2013年にリリースされた1stアルバム『夜に魔法をかけられて』に収録のレア曲で、一部のコアファンからは地響きのような歓声が上がり、”今日は特別なんだよね”という歌詞がこの日ならではの意味を持つ。「夜明けの街でサヨナラを」でさらにステージの温度を上げ、オルタナバンドとしての側面を解放する「実験前」でフィードバックノイズを垂れ流すと、「Aメロがあって、Bメロがあって、Cがあって、Dがあって、Cがある曲が一番かっこいいよね」という一言を挟んで、「ABCDC」をライブで初披露。8月にリリースされたクリープハイプのトリビュートアルバム『もしも生まれ変わったならそっとこんな声になって』に収録のカバー曲だが、えつことささみおによるコーラスもハマり、インディゴのオリジナル曲のような相性の良さを感じさせ、この日最大級の拍手と歓声が起こっていた。


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝

「夏夜のマジック」では恒例となっているアウトロの引き伸ばしを過去最長レベルで行う場面がありつつ、来年が結成15周年であることが語られて、本編最後に披露されたのは「スウェル」。「X day」と同じく『夜に魔法をかけられて』の収録曲であり、スクリーンには映画のようにスタッフロールが流れ、1曲目と同様にメンバー一人ひとりの姿が映し出されると、”雪の降る街で 消えたあなたを”という歌詞とリンクするように、上空から雪のようにメッセージ入りの紙が舞い降りてくる。冬夜の魔法にかけられたような、とても幻想的で、美しい光景だった。

「ダビングシーン」から始まったアンコールでは、11月にリリースされたばかりの「盲目だった」で煌びやかなシューゲイズサウンドが横浜アリーナの広い場内を包み込む。そして最後に演奏されたのは、この日が初披露となる新曲。2022年の日本武道館でも最後に新曲として「名前は片想い」が演奏され、そこからの2年のインディゴの歩みにおけるポップな側面を象徴していたわけだが、この日演奏された新曲は長田カーティスがアルペジオを弾くアップテンポなナンバーで、ロックバンドとしての側面が強かった初期のインディゴを想起させるものだった。


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝

今年は11月にUNISON SQUARE GARDENとの2マンがあり、年明けの1月にはクリープハイプとの2マン、3月には川谷が以前からファンを公言しているTHE NOVEMBERSの小林祐介が参加するTHE SPELLBOUNDとの2マンも決まっていたりと、インディゴはこの2年のさらなる認知の拡大によって、彼らが背中を見てきた上の世代の日本のロックバンドとも肩を並べるポジションを獲得。さらには若い世代で初期のインディゴに近い、エモやポストロック的な感覚を持ったオルタナティヴなバンドが増えている状況もあり、こうした背景がインディゴを再びロックバンドのモードへと導いているように感じる。終演後に発表されたニューアルバムのタイトルは、「脱皮」を意味する「MOLTING」という言葉を用いた『MOLTING AND DANCING』。結成15周年イヤーの2025年は、脱皮を果たし、さらに躍動感を増したロックバンドとしてのインディゴを目撃できるのかもしれない。

【写真ギャラリー】「トウヤノマジック vol.1」ライブ写真(全20点:記事未掲載カット多数)


Photo by 鳥居洋介、三浦大輝


「トウヤノマジック Vol.1 」セットリスト
1.瞳のアドリブ
2.想いきり
3.砂に紛れて
4.名前は片想い
5.悲しくなる前に
6.不思議なまんま
7.夜風とハヤブサ
8.魅せ者
9.見せかけのラブソング
10.チューリップ
11.蒼糸
12.ラムネ
13.忘れて花束
14.夜の恋は
15.冬夜のマジック
16.X day
17.夜明けの街であなたにサヨナラを
18.実験前
19.ABCDC
20.夏夜のマジック
21.スウェル

ENCORE
22.ダビングシーン
23.盲目だった
24.新曲

セトリプレイリスト:https://indigolaend.lnk.to/touya24

ニューアルバム『MOLTING AND DANCING』
2025年1月29日(水)リリース
予約購入:https://indigolaend.lnk.to/MAD


indigo la End 15th Anniversary Special Series #2 ONEMAN TOUR 2025「藍のすべて」
2025年4月5日(土)千葉県 市川市文化会館 大ホール
2025年4月12日(土)香川県 サンポートホール高松 大ホール
2025年4月18日(金)栃木県 栃木県総合文化センター
2025年4月20日(日)静岡県 静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール
2025年4月23日(水)大阪府 フェスティバルホール
2025年4月24日(木)大阪府 フェスティバルホール
2025年5月2日(金)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2025年5月10日(土)京都府 ロームシアター京都 メインホール
2025年5月11日(日)広島県 上野学園ホール
2025年5月17日(土)石川県 本多の森 北電ホール
2025年5月20日(火)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2025年5月23日(金)岡山県 岡山芸術創造劇場ハレノワ 大劇場
2025年5月24日(土)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
2025年5月31日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
2025年6月1日(日)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
2025年6月8日(日)茨城県 ザ・ヒロサワ・シティ会館(茨城県立県民文化センター)
2025年6月20日(金)東京都 東京国際フォーラム ホールA
2025年6月21日(土)東京都 東京国際フォーラム ホールA

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