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Chevon第一章完結、第二章へのプロローグを示したZepp Shinjuku公演

Rolling Stone Japan / 2024年12月4日 18時0分

Chevon(Photo by タカギユウスケ(LiveYou))

Chevonの快進撃が止まらない。Chevonは、谷絹茉優(Vo)、Ktjm(G)、オオノタツヤ(B)から成る3ピースバンド。2021年6月の結成以降、札幌を拠点に、全国のライブハウスでライブを重ねていく過程で、次第にライブシーン・フェスシーンにその名が轟き始め、今年の夏に敢行した全国ツアー「1st ONE MAN TOUR LIVE 2024. 冥冥」は、LIQUIDROOM公演を含む計6公演が瞬く間にソールドアウト。すぐに、ツアー本編を上回る計7カ所の追加公演が発表されたが、同じく瞬く間にソールドアウトとなった。今回は、並々ならぬ注目と期待が寄せられる中、11月27日(水)にZepp Shinjukuで行われた追加公演ファイナルの模様を振り返っていく。

【写真を見る】Chevon、Zepp Shinjuku公演(全15枚)

今回のライブの熱き口火を切ったオープニングナンバーは、「ですとらくしょん!!」だ。まるで、荒廃した街並みを豪快に闊歩するように轟く重厚なバンドサウンド。混沌を切り裂くように鮮烈に響く谷絹の歌とシャウト。ステージ上から放たれるバンドの猛烈なエネルギーを受け、フロアからライブ幕開け直後とは思えない大きさの歓声が上がる。特筆すべきは、ステージ背景の巨大スクリーンを駆使した圧巻の映像演出。夏のツアーの追加公演ではありつつも、単なるツアー本編の再演ではなく、全く新しい総合芸術を見せつけんとするバンド&スタッフの熱き気概を感じた。さらにこの日は、いつものサポートドラム小林令に加え、サポートキーボード&ギターの宮田”レフティ”リョウを迎えた5人編成によるパフォーマンスだ。筆者は夏のLIQUIDROOM公演も観たが、その時と比べて、演出面においてもサウンド面においても明らかな進化を遂げていることを冒頭1曲目から確信した。また、Zepp Shinjukuは、Chevonのワンマンライブ史上最も大きな会場であるが、3人の佇まいは軽やかな余裕すら感じさせるものだった。大舞台に挑むというよりも、バンドが誇るスケール感にやっと会場の大きさが追いつき始めた、というほうが正しいのかもしれない。

続いて披露されたのは、「No.4」。谷絹が放つ超ロングトーンに呼応するように、Ktjmが渾身のギターソロを炸裂させ、それに負けじと観客が熱烈な歓声で応える。「冥冥」では、谷絹の「叫んでくれよ!」という呼びかけを受け、観客がサビ冒頭の〈冥冥〉を高らかに歌い上げ、続けて、地獄の底から轟くような熾烈なシンガロングを巻き起こし、並々ならぬ一体感と高揚感が会場全体を満たす中でラストのサビへ。サビを繰り返すたびに谷絹と観客の歌声に滲む熱量が際限なく高まっていき、ここでKtjmとオオノがステージ前方の台に上がり、観客と至近距離でコミュニケーションを重ねていく。あまりにも熱烈な展開だ。そしてそのまま、「休ませませんよ!」「いけんのかっつってんだろ!」という谷絹による容赦のないアジテーションから「革命的ステップの夜」へ。フロアから巻き起こる怒涛のコール。サビでは観客が一斉ジャンプを繰り返し、谷絹は、右手の人差し指を高く掲げ、しなやかに舞うように身体を揺らしながら、会場全体の熱狂を鮮やかに指揮していく。まだ4曲目にもかかわらず、まるでクライマックスのような盛り上がりだ。


谷絹茉優

最初のMCパートで、谷絹は、今回のライブ(および、年内に残されたライブ)をもって、Chevonは第一章を終了し、2025年から第二章に突入することを宣言した。そして、これまでの一つひとつのターニングポイントとなったライブにどのような意義があったかを振り返り始めた。2022年7月にSound Lab moleで開催した1stワンマンライブ「山羊ノ肉」は、最初の自己紹介のライブであり、2023年6月、PENNY LANE24で開催した結成2周年記念ワンマンライブ「Banquet」は、Chevonというバンドのコンセプトを示す場であったという。2023年12月に開催した対バンツアー「大行侵」は、楽曲「大行侵」の中に綴ったように、これから「大行侵」していきたいという野心と展望を示すツアーであり、そして今回のツアー「冥冥」は、「大行侵」していく中で、どのような人になりたくて、どういう人と一緒になりたいかを明確に示すツアーであったという。谷絹は続けて、来年から幕を開ける第二章では、Chevonの存在を一つのジャンルと呼べるレベルにまで高めていくために、さらにギアを上げて進んでいくことを宣言した。

そして、谷絹は、Chevonの第一章を締め括る今回のツアー「冥冥」を続けていくにあたり、「私たちはどういう歌詞を書きたいのか」について語り始め、先ほど披露した「革命的ステップの夜」の2番サビの一節をアカペラで歌い上げた。〈ぐちゃぐちゃに泣いて 壊れてしまった音を 覚えて置いて 忘れないで それすらいつか 歌になる日が来るまで その歌はきっと誰かの事を 救っているよ 嘘じゃないよ 僕がそうだったから〉続けて谷絹は、自身の辛かった経験を歌にして、その歌によって救われたと言ってくれたリスナーがいることを語った上で、Chevonというバンドの存在、Chevonの音楽によって、「あなたの終着点が少しでもよくなればいい」と語った。そして、「薄明光線」へ。サビでは、眩いライトがフロアの一人ひとりの観客を照らし出し、逆光でメンバーの表情こそ見えないが、渾身のライブパフォーマンスを通して、〈あなたを救う歌詞が書きたいんだ〉〈私があなたに手を差し伸べることが出来たなら〉というバンドの想いが手に取るように伝わってきた。



続いて、ジャジーなキーボードの調べに導かれ、「愛の轍」へ。この曲の、ストレンジでありながら温かな親密さを帯びた歌のメロディは、他の何物でも埋められない心の穴を優しく満たしてくれるように響いていて、先ほどのMCと「薄明光線」からの流れと相まって、特に深く心に沁みた。「スピンアウト」では、谷絹がステージのフチのギリギリまで繰り出し、一人ひとりの観客の顔をしっかりと目に焼き付けるようにしながら歌い、続く「サクラループ」では、〈君と〉という歌詞に合わせて一人ひとりの観客を指差しながら渾身の想いを歌い上げていく。巨大スクリーンいっぱいに鮮やかに舞う桜の花びらも、言葉を失うほどに美しかった。また、宮田”レフティ”リョウのアコースティックギターとKtjmのエレキギターによる清廉なアンサンブルが光った「ハルゲニア(Acoustic ver)」も、まさにこの日だからこその素晴らしい名演だった。


Ktjm

続くMCパートで、谷絹は、ライブ当日の朝、今のChevonを取り巻く状況について、「全部、夢なんじゃねえかな」「起きたら、高校を辞めたいけど辞められない、音楽をやりたいけど、どうしようか迷っている、そんな高校生の自分として目が覚めるんじゃないか」と思ったことを振り返った。そして、改めて今の現実を前にして、「全部、本当なんだな。」「これからも、2人とChevonとしてやっていくんだな。」という実感が湧いてきたと告げた。谷絹は、「嬉しい、というか、変なの、と思った」と胸の内の心境をありのまま語り、本来このMCパートではくだけた話をするはずだったが、思わず真面目なMCをしてしまったと本音を漏らした。


オオノタツヤ

3人の親密な関係性が伝わるカジュアルなMCを挟み、そして、「今年もすごかったけど、来年、今以上にギアを上げて第二章始めますので」「来年、再来年、やばいですよ、本当に」「これからも、一緒に『大行侵』してくれますか」という谷絹の言葉の後、「大行侵」を披露する。時おり、足を大きく上げては地鳴りを起こすように下ろすアクションを交えつつ、爆裂的なエモーションを余すことなく歌に込めていく谷絹。それぞれのプレイに前半戦を凌ぐほどの強烈なエネルギーを迸らせていくKtjmとオオノ。ステージ上の5人が、まるで一つの巨大な生命体となって蠢いているように感じられるほどの圧巻の気迫で、曲のラストで巨大スクリーンが真紅に染まった時は、その鮮烈な音と光景によって思わず鳥肌が立った。

ここから、怒涛のクライマックスパートへ突入。「Banquet」では、谷絹の「歌え!」という号令を受けて、フロアからこれまでで一番の大きさの歌声が轟き、「こっから一回も休ませねえから」という谷絹の予告から、「antlion」「ダンス・デカダンス」の二連打が放たれる。「新宿、こんなもんで終わるつもりないですよね」「踊れますか!」という谷絹の呼びかけに応えるように、観客が何度も一斉ジャンプを繰り返し、それに負けじと、3人はそれぞれ台に上がり、残されたエネルギーを全て出し尽くすような全身全霊の歌と音をぶつけていく。ミラーボールの光が乱反射する中で迎えた超絶怒涛のフィナーレ。ラストの〈ああ、踊ってくれ 来世でも僕の歌で〉という言葉がもたらす熱烈な余韻が、いつまでも胸の中で消えない。



鳴り止まぬ拍手を受け、アンコールへ。谷絹は、これから先の歩みについて、「どれだけバンドがでっかくなっても、今いる人たちはこれからもい続けてくれる人たちだと思っているので」と、目の前の一人ひとりの観客への信頼をまっすぐに伝え、今回のライブ当日にリリースされたばかりの最新曲「銃電中」を披露した。過激なサウンドデザインでありながら、ポップな中毒性を併せ持つ一曲で、その中毒性故か、既に新しいライブアンセムとして機能していることに驚かされた。「第一章最後にして、第二章のプロローグ」。谷絹がそう語った後、誰もが待ち望んでいたであろう「光ってろ正義」へ。この日のピークを再び更新してしまうかのような観客の歓声、コール、ジャンプは、バンドの熱量に負けないほどのエネルギーを放っていて、そして3人は、それを自らのエネルギーに換えるかのようにして怒涛のラストスパートを駆け抜けていく。この日、および、今回の長きにわたるツアーを締め括ったのは、「大きくなっていく私たちを、もっと近くで見ていてください」という言葉を添えて届けられた「セメテモノダンス」だった。最後に谷絹は、「ずっと歌おうって、それだけは決めてるんですよ。」と決意を伝えた上で、「最後、一緒に歌ってくれたら嬉しいなって思います」と語る。そして、再びこの日の一番を更新するような特大シンガロングが巻き起こり、今回のライブは熱烈にして感動的な大団円を迎えた。

これにて、Chevon第一章、完結。総じて、ここから新しく幕を開ける第二章への期待が、さらに際限なく高まるような一夜だった。この日の最後には、2025年5月から6月にかけて、「Zepp ONE MAN TOUR 2025」を開催することがアナウンスされた。今回のツアーをさらに大きく上回るスケールのツアーであるが、それすらもChevonにとっては一つの通過点に過ぎないのだろう。この日、熱きライブコミュニケーションを通して、一人ひとりのリスナーとの揺るぎない連帯を確かめた3人は、ここからさらにギアを上げて、来年、再来年以降に向けて突き進んでいくはず。高まり続ける期待を胸に、これからも、第二章以降のChevonの歩みを追いかけ続けていきたい。



撮影:タカギユウスケ(LiveYou)

セットリスト
1. ですとらくしょん!!
2. No.4
3. 冥冥
4. 革命的ステップの夜
5. 薄明光線
6. 愛の轍
7. スピンアウト
8. サクラループ
9. ハルキゲニア(Acoustic ver)
10. 大行侵
11. Banquet
12. antlion
13. ダンス・デカダンス
EN1. 銃電中
EN2. 光ってろ正義
EN3. セメテモノダンス


<ライブ情報>

『Chevon Zepp ONE MAN TOUR 2025』
2025年5月31日(土)Zepp Fukuoka
OPEN 17:00/START 18:00

2025年6月8日(日)Zepp Sapporo
OPEN 16:00/START 17:00

2025年6月15日(日)Zepp OsakaBayside
OPEN 16:00/START 17:00

2025年6月21日(土)Zepp Nagoya
OPEN 17:00/START 18:00

2025年6月22日(日)Zepp DiverCity
OPEN 17:00/START 18:00

前売 ¥5800
▼FC先行
受付期間|11⽉27⽇(水)21:00 〜 12⽉7⽇(土)23:59
受付URL|https://fanicon.net/ticket/5077
入会はこちらから→https://fanicon.net/fancommunities/5894

▼オフィシャル先⾏
受付期間|12/8(日)12:00〜12/15(日)23:59
受付URL|https://l-tike.com/st1/chevon2025

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