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G-DRAGON「復活の一年」を総括 K-POP史を塗り替えた歩み、カムバックとこの先の未来

Rolling Stone Japan / 2024年12月20日 17時0分

G-DRAGON

2024年10月31日、ついにG-DRAGONの新曲「POWER」がリリースされた。ソロ作品としては2017年の2枚目のミニアルバム『KWON JI YONG』以来7年ぶりで、現在準備中の3枚目のアルバムの先行公開曲とされている。


G-DRAGONのキャリアを振り返る

言わずと知れたBIGBANGのリーダーであるG-DRAGONの芸能界デビューは5歳の頃だ。韓国のキッズ向けプログラム「キスポポ」に出演したり、90年代に絶大な人気を誇ったグループRoo'Raと一緒に「ちびっこRoo'Ra」として活動していた。ちびっこRoo'Ra解散後に偶然出たダンス大会で1位になったことでSMエンタテインメントの創始者イ・スマンの目に留まり、8歳から約5年間SMエンタテインメントで練習生としてトレーニングを受けたという。やがてウータン・クランを聴いたことをきっかけに、YGエンターテインメント所属のアーティストJinuseanのヒップホップアカデミーでラップを本格的に学び始めた。後にBIGBANGとしてデビューすることになるYGエンターテインメントへの移籍のきっかけになったのは、「2001大韓民国Hip Hop Flex」というコンピレーションに参加した事だという。「13歳のラッパー」という事で大きな注目を受け、アルバムのタイトル曲「Realize Yourself」の参加だけでなく、「G-DRAGON」というタイトルのソロ曲が収録された。企画の主催だったX–Teenのイ・ヒソンがG-DRAGONにYGエンターテインメントの練習生オーディションを提案し、2002年にSMエンターテインメントから出た後、YGエンターテイメントで6年間の練習生生活をおくることとなり、作曲を学び始めた。

当初は同じく練習生だったTAEYANGと2人のヒップホップユニットでデビューする予定だったものの、時世の変化によって5人組ボーイズグループBIGBANGとして2006年にデビュー。G-DRAGONが単独で作詞作曲した「LIES」が大ヒットし、2007年のMAMAでSong Of The Yearを受賞した。韓国ではカラオケでBIGBANGやG-DRAGONの曲を歌えば「ファンダム」とは関係がなく世代を超えて老若男女が盛り上がれるという意味で、21世紀の韓国大衆文化に最も大きな影響を与えてきたアーティストの1人と言えるだろう。



2009年にソロとしてリリースした最初のアルバム『Heartbreaker』のタイトル曲は韓国の主要音源チャート1位になり、音盤売上を表すハントチャートの2009年度の年間1位を獲得。2012年にリリースしたEP『One Of A Kind』には紫雨林のキム・ユナ、NELLのキム・ジョンワン、ラッパーのTabloとDOK2といった韓国の実力派人気アーティストが参加。当時まだ練習生だったBLACKPINKのJENNIEがMVに出演。ROSÉはボーカルとして参加しており、韓国大衆音楽賞の最優秀ラップ&ヒップホップ(歌)部門を受賞するなど、音楽評論家からも高い評価を得た。また、今作はアメリカBillboardチャートのアルバムチャートであるHot 200に161位でチャートイン、以降3作連続で同チャートにチャートインすることになる。「アイドルグループメンバーのソロ」という大衆的な枠を超えてG-DRAGONがソロ/ヒップホップアーティストとしての評価を受けるようになったのは、このEP以降と言えるだろう。







2013年にリリースした「CROOKED」で知られる2枚目のソロアルバム『COUP D'ETAT』にはディプロやミッシー・エリオット、スカイ・フェレイラと言った欧米圏の有名アーティストが参加。現BLACKPINKのJENNIEは今作にもボーカルフィーチャリングで参加していた。このアルバムは2013年のMAMAでArtist Of The Yearを含む4冠を達成という、グループ出身のソロアーティストとしては現状でも唯一の記録を打ち立てた。




自らの本名である『KWON JI YONG』をアルバム名にし、2017年にリリースした2枚目のEPに収録された「Untitled, 2014」は大衆が考えるG-DRAGONの華麗な人生ではなく、その裏に隠された人間クォン・ジヨンの寂しさを表現した曲。それまでのアッパーな印象を覆すようなエモーショナルバラードソングだったにも関わらず、韓国の総合音楽チャートCIRCLEチャート(当時はガオンチャート)で6月の月間総合チャート1位を獲得した。また、今作は韓国で初めてUSBというCD以外の形態のアルバムとしてもリリースされ、韓国のチャートの集計基準を変える事態となった。




カムバックで示した圧倒的な存在感

このように、リリースのたびに大衆とアジアの音楽業界から大きな反響を得てきたのがG-DRAGONのソロワークだが、兵役の期間を挟んで7年もの空白期が開くこととなった。ここ数年は毎年のようにアルバムの噂が聞こえてきていた中でようやくリリースされたのが、新曲「POWER」だった。2017年の6月から数えると、約88カ月ぶりのカムバックということになるらしい。「88」は1988年8月18日生まれのG-DRAGONを象徴するシグネチャーナンバーだ。

パワフルなビートにウィットに富んだGDらしいリリックが乗るという「らしさ」は健在だが、トラックはかなり削ぎ落とされた印象だ。今作は今年韓国で音源配信サービスとしては2位という、劇的な増加を見せているYouTube Musicで数時間で急上昇1位にあがり、Melonでは即日リアルタイムチャート1位、デイリーで2位と現役で大衆から注目を集め、聴かれるアーティストであるということを証明して見せた。



勢いのままに11月21・22・23日の三日間行われたアジア最大の音楽授賞式MAMAでは、全身ピンクの衣装に身を包んだソロと合わせて現BIGBANGメンバー3人でのステージを披露し、「KING OF KPOP」の冠の通り観客だけでなく出演者のプレゼンターやアーティスト達も魅了するようなパフォーマンスで、フィナーレをこの上なく盛り上げた(TAEYANGの衣装は全身黒、D-LITEの衣装はピンクと黒で何故かBLACKPINK)。




MAMAとG-DRAGONといえば、有名なのは2014年のステージだろう。ラップのリリックで「ここは馬鹿どものための年末の祭り」「大きな賞が用意されてる/喧嘩しないように分けてくれる」「俺はもうBIGになって腹一杯だから/弟たちに分け前を」と、暗にMAMAという授賞式のあり方自体をdisしたのだ。今年の受賞スピーチでも、「子どもたちが喧嘩しないように直接賞を分けてくださるおかげで、このような特別な賞がもらえた」と当時のリリックを引用していた。ともすれば炎上しかねない行為だが、大衆的にはむしろ今でも「流石」という目線で見られている節があるのは、G-DRAGONというアーティストが音楽表現を通して築いてきたイメージやパフォーマンスへの信頼度があってこそだろうし、MAMAの側も許容できているということなのだろう。



先行シングルやMAMAでのステージ披露により、長期間のブランクに関わらず現在も韓国内での絶大な支持と存在感を証明したG-DRAGONだが、こうなると続く新譜への期待も自然と膨らまざるを得ないだろう。古巣のYGエンターテインメントから離れた現在、個人としてはSAMSUNGが所有するGalaxyコーポレーションに所属しており、最近ではアメリカ西部最大のヒップホップ・R&B専門レーベルとして知られる独立系レコード会社EMPIREとパートナーシップを締結するなど、今後はよりグローバルな活動も期待できそうだ。



G-DRAGON
「POWER」
配信・購入:https://music.empi.re/gdragonpower


G-DRAGON,TAEYANG,DAESUNG
「HOME SWEET HOME」
配信・購入:https://music.empi.re/homesweethome

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