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BREIMENの高木祥太、hamaibaが語る「山一」の歴史

Rolling Stone Japan / 2024年12月25日 15時0分

左からhamaiba、高木祥太(Photo by Goku Noguchi Hair and Make-up / Styling by Riku Murata)

BREIMENのベースボーカル・高木祥太が「今話をしたい人」を呼んで対話する連載企画「赤裸々SESSIONe FROM BREIMEN」。そもそもこの企画は、「山一」と呼んでいるBREIMENと仲間たちの拠点で日夜繰り広げられていた人間・社会にまつわる話や、高木の生き方が表れている楽曲の源泉を、活字・写真・映像という形にして山一に通う人以外にも届けようという試みだった。しかし、悲しい報せは突然訪れた。エリアの再開発によって、山一の取り壊しが決定してしまった。

引っ越しを迫る通知を受け取ったのは、BREIMENの全ミュージックビデオやジャケットを手掛けている映像作家のhamaiba(GROUPN)。彼は、人生が「詰んだ」状態だった頃から7年間、この家で暮らしながら映像作家としての活動を続けてきた。BREIMENの他にも星野源「生命体」、imase「ミッドナイトガール」、PEOPLE 1、Teleなどのミュージックビデオを手掛け、今や音楽業界でもっとも求められる映像監督の一人となったhamaiba。社会の狭い価値観から外れた人たちも許容した場所・山一の歴史と、アーティストたちから求められるクリエイティヴィティを培ったhamaibaの人生が交差した7年を、ここに残す。

※この記事は2024年6月25日に発売された「Rolling Stone Japan vol.27」に掲載されたものです。

取り壊しまでの経緯
「家」というコミュニティの価値

高木 まず、いつも「赤裸々SESSIOONe」を収録しているここ、「山一」がなくなります。山一はBREIMENの活動場所のひとつでもあったし、俺からすると山一とhamaibaはセットで。
hamaiba もともと2017年1月から祥太と弟の隆太がこの家に住んでいて、僕はその秋くらいに来て。

高木 俺は3年前くらいにこの家を出たから、実質今の家主はhamaibaで。なぜなくなることになったのかをhamaibaから教えてもらいましょうか。

hamaiba 今年の3月くらいに、知らないおじさんがうちへ来て、封筒を渡されて。「この土地一帯が再開発によってなくなることが決まりました」と。「え?」みたいな。もう決まってた。

高木 もう抗えない。

hamaiba そうそう。本当に急、寝耳に水。「8月末で取り壊しになるので出てください」という感じで言われちゃって。大家の判断だからどうしようもなくて。

高木 なのでこの場を借りて弔ってやろうじゃないかというのが今回の「赤裸々SESSIOONe」です。山一がBREIMENの拠点でもあると言ったのは――今年もアルバム『AVEANTIN』の制作が終わったあとにメンバーだけで話そうというタイミングがあって、その時はここで、それこそ赤裸々に話した。そもそも「棒人間」(BREIMENの1stシングル)のミュージックビデオはここで撮ったし、いろんな人が入れ替わり立ち替わり住んだり、居座ったり、遊びに来たり。コロナの時期に書いた「Play time isnt over」という曲の仮タイトルは「山一ハイツ」だったし、「赤裸々」という曲も、ここで人間関係の問題が起きて、それについてうちのお母さんも交えて夜通し話した時のことを書いたものだったり。2DKで2人で住むのが限界なはずなのに、マックスで4人プラス2人居候してる時期もあったくらい。言い出したらキリがないくらい、ここにいるメンツ(=BREIMENやhamaibaの周りにいる人)は山一を拠点に集まってました。だから「家がなくなる」という感覚ともちょっと違うかもしれない。手塚治虫とかが住んでいた「トキワ荘」は漫画に特化した人たちが同時代に切磋琢磨してた感じだけど、ここはもう少し入り乱れてる感じというか。俺は音楽だし、hamaibaは映像だし、何をやるのかまだ見つかってないやつらもいたし。しかも「切磋琢磨」というよりは「過ごしてた」。

hamaiba 「暮らしてた」。何かを作るためとか、上がっていくために、この場所が作られたわけでもなくて。

高木 そう、目的はなかったね。結果的に曲とかビデオに結びつくところもあったけど、ただ「生きていた」。それが山一です。暇だし、お金もなくて。お金がないってことは、工夫しないと楽しめないじゃん。だからいろんな遊びを作ってた。玄関から入ってきて、その場にあるいろんなものを装飾して名付ける遊びとか……これ、伝わらないよね(笑)。

hamaiba この家にいて面白かったこととか印象的なこと、めっちゃある。

高木 全部聞かせて。

hamaiba まず、家の玄関の鍵はずっと開いてた。

高木 鍵をなくしたんだよね。

hamaiba そう。鍵が開いてるから、本当にいろんな人が来て。今、いつでも来ていい場所とか居ていい場所って、世の中にないんだよ。

高木 起きたら知らんやつがいるとか全然あったし。

hamaiba 社会のどこにも居られない人がここにいる、そういう場所だった。そういった人たちが同じ空間に住んでいたら、楽しいこともあったけど、当然揉めることもあって。「許容」とはどういうことかを知った7年、みたいな感じだった。いろんな人が出たり入ったりして、それぞれ色々あるわけよ。俺も未熟だし、未熟同士が集まっていた感じだったから。でもそこを許したり、ちょっと言ったり、バランスを取りながら「楽しくいる」ということをやってた。

高木 良くも悪くもここで社会が形成されてたから、ここの空気とか価値観みたいなものがあったよね。「飲み屋でよく会う」とかでは作れない何かがあった。「良くも悪くも」って言ったのは、ここは居心地がよすぎたからで。社会に出ると、得意じゃないことも頑張ってどうにか適合しようとやっていくじゃん? この家の環境には多分「頑張らないスイッチ」みたいなものがあって。適合しようとしている状態では心を開き切れないけど、ここでは頑張らない分、心を開かざるを得ない状況になっていたところがあると思う。ここにいたことによって救われてる部分が、俺らにもあったよね。

hamaiba うん、あった。

高木 俺らが「受け入れてる」というわけでもなかったから。俺が最初契約はしたけど、もはや山一という概念に招かれてる側の感じがあった。

hamaiba 本当にいろんな人がここにいて――2DKの狭い空間で一緒に暮らしてると、みんなが何を思ってるのかがわかるんだよね。どういう習性があって、どういうふうに考えていて、ということがわかってくる。だから人の気持ちがわかるように――本当にわかってるのどうかはわからないけど――前よりわかるようになった気がしてる。

高木 俺はここで吐露してた。面と向かってやるコミュニケーションの極みみたいだったから。家だから、化粧して気を張って、という感じじゃないし。ここに呼んじゃえば、壁とかを一旦それなりに剥がせることがよかった。だから逆に、仲良くなりたいなと思う人はここに呼んでたし。人と行うコミュニケーションにおいて、上積みみたいなものを早い段階から取っ払って話せる場所だった。飲み屋で集まるとかじゃなくて、「家」というのが特殊な環境を生み出してたと思う。

hamaiba 居酒屋とかカフェでは話せないことも「家だから話せる」っていうのはあったかもしれないね。

高木 生活に侵食しているコミュニティであったことが、ここの特色なのかな。だからここでの思い出って、8割話してる記憶なんだよね。いや、5割・話、5割・『FIFA』(サッカーゲーム)だ(笑)。ここで話したことが、対人関係のスタンスとか、言語化できないレベルのものでそれぞれの血肉になってる感じがする。俺の曲の書き方を突き詰めると、自分のこともだけど、同じくらい人のことを書いている気がしていて。それはこの家にいたことによって、いろんな人のちょっと知れないところまで知ってる自負があるから。俺、古谷実の漫画が好きなんだけど、その理由は「現実の中にある非現実」を感じるからで、この家にはその要素がある気がする。ここの中では成り立ってるけど、俯瞰で見たらちょっと非現実的な遊びとか価値観があったと思うんだよ。普通に生活していて入り込むことのできない対人の領域に踏み込める瞬間もあった。


建物を壊すと
匂いや空気も消し去られる

高木 そんな山一がなくなるのは――近くには飲み屋があって、下は焼肉屋で、おそらくここ一帯をマンションとか住居にするんだと思うけど――しょうがないよね、とは思う。いいなとは思わないけど。そもそもこの街は俺の地元だから、お店や飲み屋がどんどん減っていって、いずれベッドタウンみたいになるのは寂しいけど、でも逆に「落ち着いていて住みやすい」という人もいると思うから。

hamaiba この建物がもはや生き残りだったというか。でもなくなることに関しては、寂しいなって思ったよね。しかも急に「出てください」という感じだったから、心の整理もできないままで。ただ、こういうタイミングじゃないと出られないと思うほど居心地がよかったから、「タイミングがきたな」という感じだった。渋谷とか横浜もそうだけど、いろんなところで都市開発がされてるわけじゃん。それを見て、「一回壊しちゃったら戻らないのに」とは思っちゃう。街って、不可逆なものだから。

高木 新しいものを作ることは簡単だけど、昔からの匂いとかいろんなものが染みついてるものって再現できないからね。だからヴィンテージギターとかヴィンテージベースってめっちゃ高いし。この家もそれなりにヴィンテージになってきてたから、ちょっともったいないなとは思うね。

hamaiba そうは思いつつ、平安時代とかの建物が残ってるかと言われると残ってないから、今までの先人たちも毎回「寂しい」って思いながら発展と進化が行われてきたのかなと思うと……諸行無常というか。

高木 さっき話したようなこの家のスタンス自体はどこでもできるしね。

hamaiba そうね。新居に移ったけど。

高木 でもなんかなあ……やっぱりこの家は普通じゃなかった気がする。引っ越し先を俺は「山二」って呼んでるけど、やっぱりちょっと違うというか。

hamaiba うん、思ってる。

高木 形を変えて続いていく部分もあるけど、この家での状況というのは、悲しいけどもう「思い出」になっちゃうね。多分、同じ形でそのままは続かないと思う。あと悲しいけど、年齢もあるよね。この年齢になっても変な遊びとかをまだやってる方だとは思うけど、やっぱり体力も落ちてきてるし。あとやっぱり暇だった。

hamaiba そうだね、時間だよね。

高木 だからいろんなこと込みで「山一時代」だったんだなって感じる。あんまり認めたくはなかったけどね。


Photo by Goku Noguchi Hair and Make-up / Styling by Riku Murata



生活から生まれる作品
山一で深めた映像アプローチ

高木 hamaibaのことを話すと――社会からあぶれて地元に帰ったところを俺が引き戻して、家がなかったからここに住んだところからリスタートしたんだよね。

hamaiba そう。20歳くらいから映像の仕事を始めて、祥太がやってた別のバンド(エドガー・サリヴァン)の撮影で、21、2歳くらいの時に出会ったのかな。でもその時はそんなに仲良くなくて。23歳くらいの時、俺が精神と身体を壊して実家に帰ったんだよね。「もう無理だ」「人生終わった」「これからどうしよう」と思って、誰からの連絡も返せない状態の時に祥太から「ビデオ撮ってほしいんだけど」という連絡があって。

高木 いろんな映像監督がいた中でも俺はやっぱりhamaibaの映像がよかったなと思って。「ビデオを撮ろう」ってなった時に、他のメンバーにhamaibaを推したのは俺なのよ。その時は別にそこまで仲良くもなかったけど、絶対にいいなと思って。

hamaiba だから俺の人生のレールを思いっきり変えてくれた。

高木 この回は「俺のおかげで星野源さんのMVを撮るに至った」というところを目指したいから、あえて言わせてもらいましたけど(笑)。

hamaiba (笑)そういう連絡が来て、俺は悩んだわけ。当時は心も粉々で、もう映像なんてできないと思ってたから。でもとりあえず1本撮ってみて、そこから帰ってもいいかもしれないし、みたいな気持ちで行って。その時にこっちに家がなかったから、祥太が「うちに来れば?」って言ってくれて……そこから7年住んでる(笑)。だから本当に、ここからもう一回スタートした。周りの人に不義理をしたところもあったから、当時は「映像でもう一回」というふうに強く思っていたというよりは、とりあえず自分のやれることはこれしかなくて、求められていることを1個1個やろうという感じだったけど。それがここまでただただ繋がっていった感じ。結局自分がダメになっちゃったのって、自分が自分に対してすごく高く見積もっていたからで。「もっと自分はできるはずなのに」という理想が高くて、そこに追いつかないギャップに苦しめられてた。

高木 そのタイミングで予算0円のBREIMENをやってもらったんだよね。hamaibaの特色って、工夫とアイデアに振り切ってたと思う。予算がない中での見せ方が得意だったところから、いろんな案件が増えて、BREIMENも予算が増えていったりしたけど。

hamaiba それもそうなんだけど、祥太とここに住んで作っていたから、「祥太は何を思ってこの曲を書いたんだろう」とか、そういうことをすごく考えたわけ。祥太がここに住んでた時、祥太がデモを作って「こういう曲ができたんだよ」って最速で聴いて、「どういうジャケットがいいんだろう」「どういうビデオがいいんだろう」とか、そういう話をして。だから日々遊んでもいたし、日々打ち合わせみたいだったなと思って。

高木 そもそもそれを打ち合わせとも思ってないしね。曲とかMVに関係ないことも含めてここで話したことが反映されてるから、理解度がめちゃくちゃあったと思う。「実はこういうことがあって」とか裏テーマみたいなことも全部知ってたりするから、ものによってはメンバーより(hamaibaが)理解してる曲もあるくらい。BREIMENのMVは、この家があったからできたことだなとは思うね。

hamaiba 祥太が作る曲は詞と音が繋がっていて、全部にちゃんと意図があるから、「祥太はこういうふうに思ったからここでこういう音なんだ」とか、そういうことまで考えるようになって、その作業がめちゃくちゃ今にいきているなと思う。それが自分にとって武器というか、誰でもできることじゃない領域までいけてるなって。

高木 俺的にはね、hamaibaのMVは机の上で企画会議してない感じなんだよね。生活の中でクリエイティブを作ってたから、必然的にそういう感じじゃなくなるというか。

hamaiba 前提として、MVは「俺の作品だ」というふうに強くは思ってなくて、アーティストのものだと思ってる。まず曲があって、その魅力を増長させるビデオを作ることが仕事だと思っていて。だから話を聞いた上で「こういうものを求めてるんだな」「こういうことがこのアーティストには合う」とかをビジュアル的に考えるというより、人と対峙しながら作ってるというか。あとは祥太といて、詞の読解力が増したと思う。実際合ってるか合ってないかはわからないけど、様々な曲の詞を読解していく中で作り手の感情や真意が少しはわかるようになった気がする。究極、人の気持ちなんてわかんないとは思ってるけどね。

高木 hamaibaのMVの特徴として、友達出しがちだね。

hamaiba 友達めっちゃ出てるよ。

高木 GReeeeNとかPEOPLE 1のMVにも出てるでしょ?

hamaiba そうそう。PEOPLE 1のMVにそうちゃん(BREIMENのKanno So。以前、山一に住んでいた)出てるから(笑)。それこそBREIMENのMVじゃなくても、予算がない時にゴン(山一に集う仲間)に車を出してもらったりして。作ってきたMVの思い出の中にみんながいるなあと思う。

高木 まさにこの環境じゃん。メンバーもアイデアを出したり身体を動かしたり、メンバーの友達が動いたり、みんなで作る感じってすごくワクワクがあるというか、バンドのロマンの原型だと思う。BREIMENって、そのままの方法で進んでいるというか。意図してそうなったわけじゃないけど、この家だったからそうなったんだと思うし、そのワクワクをみんなで共有してる感じは BREIMENの特徴でありhamaibaの特徴でもあると思う。

hamaiba その方が面白いんだよね。

高木 そうなんだよね。それを周りも楽しんでくれればいいなと思ってる。音楽業界、クリエイティブ業界って、普通ではない面白さがあるじゃん。それこそMVのセットも「現実にある非現実」だし。それをみんなで楽しむ感じになってる。

hamaiba そうやって作ったものがまた、めちゃくちゃ光ったりするっていうね。


Photo by Goku Noguchi Hair and Make-up / Styling by Riku Murata



これまでも、これからも
「現実の中の非現実」を求めて

hamaiba BREIMENになってからずっとMVを撮り続けていて、もう20本くらい撮ってるんだけど、そんなことって実はなかなかなくて。同じディレクターが撮り続けることもあるにはあるけど、「20本」って、結構な数だなと思う。やってる体感としても、同じアーティストでMVを20本撮るってムズイことだなと思うわけ。毎回企画がかぶらないように作ってるし、今でも「BREIMENを撮るんだったらこういうことをやりたいな」という思考になるし。それをずっと続けていったらどうなるんだろうということに興味があるから、これからもやっていきたいなと思う。

高木 BREIMENとしては5人で作っていく中で、音像に対して同じ感覚なんだよね。俺らは飽きちゃうから、音像とかいろんな部分で進化していきたくて。しかも俺はメンバーに対しても、上手さとかではなく、その人がどれだけワクワクしているか、進化しているかを求めるタイプで。そもそも映像監督って外注で仕事を受けてバンドや曲ごとにアプローチしていくことが多いから、映像監督がバンドと同じ感覚になっているのはあまりないような気がする。それはいいことでもある。hamaibaは毎回進化してるから楽しいし、「第6のメンバー」感があるね。

hamaiba 今、俺、いろんな仕事してるじゃん? それは、祥太に「つまんないな」と思われたくない、みたいな意識が実はあったからで。だからいろんなところでいろんな人とやろうというふうに思ってたんだよ。

高木 それはなんとなく察してたし、それがあるべき形だなと思ってた。

hamaiba 祥太の周りにいる人は、きっとみんなそう思ってると思う。

高木 俺もそう思ってるしね。

hamaiba 実はちょっと前まで、「(MVを作ること全般に)ちょっと飽きたかも」ってなってて。

高木 去年とか、量がすごかったもんね。何本撮った?

hamaiba いや、わかんない。月に3、4本撮ってたから。全部全力でやってるんだけど、ルーティン化してきちゃったりとかさ……あるじゃん? そう思ってたんだけど、実は3日前くらいに新たな目標が決まった。

高木 お、はい。

hamaiba まあ生きてたらさ、色々あるじゃん?

高木 あるね。

hamaiba 急にしんどいことが起きたと思ったら、隣ですんごい明るいことが起きてたり。そうやって色々ある中で、たとえばグランドキャニオンとかピラミッドみたいな世界遺産を見た時って、そんなことが吹っ飛ぶくらい「すげえ!」ってなるじゃん。「なんかわかんないけど、壮大で感動するなあ」とか。あれかも、と思って(笑)。

高木 グランドキャニオンを作るということ?

hamaiba 映像でグランドキャニオンとかピラミッドを作ろうと思った。

高木 めちゃいいじゃん。

hamaiba そういう、全部吹き飛んじゃうくらい面白かったり感動したりするものを作る人になりたいなと思った。

高木 俺もちょっと同じようなこと考えた時があった。音楽って、強いメッセージを発信するとか、アジテートするとか、いろんなやり方がある中で、俺は色々やりたいはやりたいんだけど、詞だけ聞くとか字を読むだけではできない、音楽の根源的なところを突き詰めたいというか。現実で起きている嫌なこととかに対していろんな対処法がある中で、逃避とも違う、それを全部超えてくる感動やパワーみたいなものを作りたいし、作れるなと思った。そういうことを考えたことがある。

hamaiba ただ壮大なことをやりたいというわけじゃなくて。本当に陳腐なたとえだけど「砂漠の中に花が咲いてる」とか、そういう小さなものでもいいというか。「現実の中の非現実を作る」じゃないけど、そういう光ってる瞬間を自分の視点によって作ることが「グランドキャニオンを作る」ということでもあるのかな。それを自覚的にやることに、今興味が出てきた。

高木 今話していて思ったけど、「現実の中の非現実」みたいなところも近いよね。hamaibaの他の作品を見ても、全く見たことないものがあるわけじゃなくて、すでに見たことあったり馴染みがあるものが違う使い方をされてたり違うサイズになってたり、そういうふうなものが多いなと思って。今の時代だったらCGを使って無から作ることもできるけど、意外とそれはやらないじゃん。

hamaiba そういう映像も素晴らしいと思ってるけど、見たことないものに対してはあまり共感できない瞬間がある。これは自分がどこに面白いと思うかっていうだけの話だけどね。

高木 やっぱり、そうやってhamaibaとリンクしてることが多いんだよな。だから今後もやっていくんでしょうね。山一はなくなるし、いつ死ぬかもわからないけど、生きてるうちは作品を作っていきましょう。

hamaiba いやあ、でもね……寂しいね。


Photo by Goku Noguchi Hair and Make-up / Styling by Riku Murata

BREIMEN
常軌を逸した演奏とジャンルにとらわれないスタイルで注目を浴びる5人組オルタナティブファンクバンド。高木祥太がベースボーカルを務める。岡野昭仁×井口理「MELODY(prod.by BREIMEN)」では高木祥太が作詞・作曲、BREIMENメンバーが編曲・演奏に参加。2024年4月、メジャー1stアルバム『AVEANTIN』をリリース。2025年1月より放送スタートするTVアニメ『Dr.STONE』第4期第1クールのエンディングテーマを担当。

hamaiba(GROUPN)
1993年生まれ。愛知県豊橋市出身 /横浜市在住。映像作家。オルタナコレクティブ「GROUPN」を立ち上げ、Music VideoやArt Direction、舞台空間演出、アパレル制作などを中心に多岐に渡る活動を行う。

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