揺らぎインタビュー シューゲイザーの先に広がる未来、逃避ではなく「あなた」に寄り添う歌
Rolling Stone Japan / 2025年1月28日 17時0分
揺らぎの新作『In Your Languages』が素晴らしい。国内シューゲイザーバンドの次世代を担う存在として世界に発見された初期作から、エレクトロニクスの割合を強めた『For You, Adroit it but soft』(2021年)、USオルタナ的な乾いた質感を響かせた『Here I Stand』(2023年)によって、ジャンルではくくることのできないオリジナルな存在へと成長。
そして、通算3作目となるアルバム『In Your Languages』ではアンビエント、プログレ、フォーク、オールディーズなどの多彩な要素を内包しつつ、miracoの表情豊かな歌をより生かすことによって、また新たな揺らぎ像を提示してみせた。そんな音楽性の変化はタイトルに象徴される歌詞の変化ともリンクし、ここではないどこかへと逃避をするのではなく、今ここであなたに寄り添う、逞しさを増したバンドへと変貌を遂げている。2024年1月にサポートだったベースのUjiが正式加入し、今年で結成から10年目。輝かしい未来へ確かな歩みを進める4人の姿がここにある。
ニューアルバム全収録曲のリリックビデオ
フォークに通じる「歌のアルバム」
ー資料などに大々的に書かれてはいませんが、2025年は結成10周年にあたるわけですよね。
miraco:「10周年」っていうのはライブのMCとかで来てくれた人にさらっと言う感じなのかなと思ってたんですけど、歌詞を書くにあたってはすごく影響してます。「10周年」というよりも、私たちは大学生のときから一緒にやってて、みんな社会人になって、生活環境や家族構成が変わりながらもずっとやってきてるので、こうやって続けてることが単純にすごいなっていうのは思いますね。
Kntr:10年っていうのは意識せざるを得ない年数だとは思うんですよ。ただ「10周年だから作ろう」という気持ちで作ったわけではなく、制作は私が曲を作って、それを3人に流していくやり方をしてるんですけど、10年というのを何となく頭の片隅に置きながら、みんなそれぞれのアプローチで制作していったのかなと思ってます。
miraco(Vocal, Electric Guitar)
Kntr(Kantaro Kometani:Vocal, Acoustic Guitar, Electric Guitar, Pitchfork)
ー初期はmiracoさんが元ネタを作ることが多くて、徐々にKntrさんもネタを持ってくるようになり、前作はKntrさんの元ネタから作った曲が多かったと思うんですけど、新作もKntrさんの元ネタからスタートしてる曲が多いんですね。
Kntr:9曲目のインスト曲(「Sá Meditation」)はベースのUjiが作った曲で、それ以外は私です。曲作りに関しては今おっしゃったように、miracoから私に変わっていったのですが、それは『For You, Adroit it but soft』からなんですね。そこから俗に言うシューゲイザーバンドから少し離れていった自覚はあります。
ー新作はこれまでの流れも踏まえつつ、ゲストで鍵盤奏者を迎えたり、またさらに音楽性の幅を広げた意欲作だと感じて、それはビートの入っていないアンビエントナンバーである「You Have Been Calling Me」が1曲目に置かれていることが象徴的だなと。
Kntr:TikTokとか最近のSNSでシューゲイザーがブームになってるじゃないですか。でもその発信源というか、そういうプラットフォームはもう我々が触れてないものが多かったりする。我々はバンドとしてTikTokもやってないし、音楽的にもシューゲイザーからは離れて、でもその後にシューゲイザーがまた流行って、こういうのは何か不思議だなと感じたところもあり、miracoが元ネタを作っていたシューゲイザーの時代を少し思い出して、それとの整合性を取りたかったんです。『Still Dreaming, Still Deafening』(2018年のミニアルバム)は1曲目と最後の曲がボリューム奏法のアンビエントチューンなので、ある種初心に戻る感じで、最初と最後をアンビエントで締めるというのをやってみました。
ー「You Have Been Calling Me」は8分近い長尺でもあるので、インパクトはかなり大きかったです。
Kntr:確かに、ビートもない、ほぼギターと歌だけの8分の曲をなんで1曲目に持ってきたんやろうとは思うんですけど(笑)。
ーこの曲はシンセは使ってないんですよね?
Kntr:使ってないです。ギターのボリュームとかを操作したのを5本ぐらい重ねて、途中からUjiのベースが入る感じですね。全体的にリヴァーブはモリモリなので、余計アンビエントっぽさを加速させてると思います。
ーmiracoさんの歌に関してはどうアプローチをしましたか?
miraco:『nightlife』(2017年のEP)とか『Still Dreaming, Still Deafening』のときが一番そうだったと思うけど、言葉にならない言葉で歌うのがすごく好きというか、歌詞のないメロディを付けるのが好きというか……今回他の曲は歌詞やメロディに重きを置いたんですけど、「You Have Been Calling Me」はかなりメロディで遊んで、私的には「歌ってる」と「泳いでる」が同じような身体感覚なんですけど、この曲は今までのボーカル人生の中で一番泳いだなって感じでした。もちろんコーラスワークとかはいろいろ考えてやったんですけど、一番泳いだし、感情が溶けてる曲だと思います。
ー「他の曲は歌詞やメロディに重きを置いた」とおっしゃっていたように、本作はよりソングオリエンテッドな、歌のアルバムとしての側面もあるように思います。
miraco:シューゲイザーにちょっと回帰した部分がありつつ、でもメロディとかコードとか、ソングライティングに重きを置いてる部分は大きいですね。あと昔やってたシューゲイザーはドリーミーで、幻想的で、その世界にみんなそれぞれ浸ってもらう感じが私の中では強かったんですけど、今回はすごく外向きなアルバムだなと。『In Your Languages』というタイトルにもあるように、聴いてくれる人に寄り添ってるというか、ようやく人間らしくなったなっていうのが私の感想です。20代後半、10周年、大人になったなっていう感じですね。
Yusei:ドラムもよりボーカルを前に出そうと考えながらの制作になりましたね。ミキシングに関してもですけど、例えば、「For Your Eyes Only」は前までやったらギターが何本も重なって、轟音で、声があんまり聴こえない、みたいなことをやってたと思うんですけど、今回はシューゲイザーっぽさは残しつつ、よりボーカルが映えるように、引き算をしながら作った作品かなって。
miraco:ボーカルも感じてますよ、ドラマーが道を開けて横で手を振ってくれていることを。
Yusei:手振ってたらあかんやん(笑)。
Uji:僕も同じリズム隊として考えてることはほぼほぼ一緒です。もともと僕が制作に入ったのは『For you, Adroit it but soft』からなんですけど、その頃の揺らぎはそれまでシューゲイザーとして評価されてきた中で、ここからどう舵を取っていくのか、転換期に見えたんですよ。その中で電子音を入れてみたり、Big Animal Theoryを客演に迎えたりしたアルバムだった。あと揺らぎはもともとシューゲイザーバンドとして、ライブではいかに音量で存在感を出すかっていう側面があったと思うんですけど、自分はいかにマスターの音量を上げずに音圧を上げるかで関われたらなと思った節があって、帯域の棲み分けを個人的にずっと意識してたんです。そこから作品を重ねて、ライブの本数も重ねて、みんなが使う機材も変わってきて、今作は自分たちが出したい音像を適材適所で出せるようになったと思う。その結果として、ボーカルの存在感をより出すことができた。そこが過去作とは一線を画すところかなと思ってます。
Uji(Vocal, Electric Bass)
Yusei(Vocal, Footswitch, Drum)
ーKntrさんの曲作りの時点で「歌」は意識されていましたか?
Kntr:しましたね。私の日常で、生活スタイルの変化とか環境の変化が特にここ数年多くて、そういうときに音楽を作ろうとか、ギターを弾こうっていうのは、よほど強い精神がないとできないんです。たまに「この曲は落ち込んでるときに作った」みたいな話を聞きますけど、それは自分にはできない。そういうとき音楽は何を聴こうかとなったときに、自然と聴いてたのがオールディーズだったり、60年代・70年代前半のフォークとか、自然とそういう音楽になっていったんです。それらのジャンルは歌が真ん中にどんとあって、それを聴かせるためのオケであったり、楽器であったり、プロダクションだと思うので、ここ数年でそういう方向に行ったのは、私の生活環境を考えたら必然だったのかなと思います。
ー具体的に、誰をよく聴いていましたか?
Kntr:言うのもちょっと恥ずかしいですけど、ボブ・ディランとか。あとはジャクソン・C・フランクとか、フォークの中でも私的にスタイリッシュに聴こえるような、そういうアーティストを聴いてたような気がします。
miraco:以前の私のボーカルは主旋律がダブルで、コーラスも録ったら最終的に4本ぐらい声がいることが結構あったんですけど、今回は「You Have Been Calling Me」以外はシングルで、ニュアンスをもっと伝わりやすいようにするために、ダブルで録らなくなりました。『Here I Stand』も結構シングルで録ってる曲が多かったんですけど、今回はレコーディングの手法も声の出し方も全部変わった感じがします。
プログレ研究委員会の集大成
ー先行で配信された2曲目の「Oppressed」も素晴らしいですね。
Kntr:昔の音楽を聴く機会がより増えた中で最初期の、1969年くらいのプログレッシヴ・ロックもすごく聴いてたんです。プログレは信念がちゃんとあるから説得力が増すと感じていて、揺らぎでもそういうことができないかなと思ったのが、この曲をやろうと思ったきっかけです。もともと私がアコースティックギターで弾いてたフレーズなんですけど、ずっと家で1人で弾いてたんですよね。すごく暗い気持ちになって、これはどうしたものかと思ってたんですけど、揺らぎでやってみたらいいんじゃないかと思って、みんなに提出した感じです。でも、この曲をライブで最初にお披露目したときに、ポーティスヘッドとか……ああいうのなんていうんでしたっけ?
ートリップホップ?
Kntr:そう、トリップホップっぽいよねって、打ち上げの場ですごく言われたんですよ。でも我々の誰もポーティスヘッドやトリップホップを知らなかったんです。なのでそう言われたときに、なんで?と思って。我々はプログレを真似した感覚ではあったんですけど、それをトリップホップという謎の言葉に形容され、混乱したっていうのがこの曲のエピソードです(笑)。
miraco:今回かんちゃん(Kntr)が主導になって、プログレ研究委員会を結成しまして、それぞれ研究アーティストの担当を決めたんです。「Oppressed」には4人の研究の集大成が出てるはずだったのに……ポーティスヘッドって言われちゃった(笑)。
ーちなみに、それぞれの研究テーマは?
Kntr:まず私がキング・クリムゾンがすごく好きなんです。
ー「Oppressed」は「Epitaph」っぽいですよね。
Kntr:そうですね。特に好きな期間が1969年から1974年、1stから『Red』までなんですけど、中学の頃から死ぬほど聴いてて。でもこれはすごくパーソナルというか、どこにも活かすことはないだろうなと思ってたんです。大体のプログレリスナーはそうだと思うんですよ、1人でじっくり楽しみたい。でもとうとうここで出すときが来たかと思って、私はキング・クリムゾン担当にして、miracoがピンク・フロイド、Ujiくんがエマーソン・レイク&パーマー、Yuseiさんがイエスっていう割り振りを僕が勝手にしたんです。「次のスタジオまでにめちゃめちゃ聴いてきてください」と言って、この曲の制作に臨みました。
miraco:これもかんちゃんに借りた本(『1970年代のプログレ - 5大バンドの素晴らしき世界』を見せる)なんですけど、あなた去年こういう本を死ぬほど買ってましたよね。
Kntr:なんなら私が買ってメンバーにプレゼントしました(笑)。
ーちなみにそれぞれの研究の成果を、可能であれば短めにお伺いすると(笑)。
Uji:現代プログレは中高ぐらいで通ってたんです。ドリーム・シアターとか、そのメンバーがやってるリキッド・テンション・エクスペリメントとかはすごい聴いてたんですけど、なかなか源流にさかのぼる機会がなくて、今回Kntrから指令が出たことで聴いたんですけど、結局イエスとキング・クリムゾンばっかり聴いてましたね(笑)。でももちろん、エマーソン・レイク&パーマーの曲も聴いて、彼らはライブできれいなコード進行のアコギの弾き語りをやるんですよね。他の曲がすごくテクニカルな分、そういう曲がストレートに入ってくる印象で、ライブに関してはそっちに照準を当てた聴き方をしていて。で、Kntrが持ってきた「Oppressed」のイントロを聴いたときに、僕がエマーソン・レイク&パーマーを聴いて、すごくストレートに入ってくるなと思ったアコギのサウンドのイメージと親和性があったので、そこが僕の中で一番生きたポイントというか、結局アコースティックに帰着したっていうのが僕の研究成果ですね(笑)。
Yusei:僕もイエスめっちゃ聴いたんですけど、それと同時にキング・クリムゾンも一緒に聴いて、共通することは……さっきmiracoが見せてた本に「長い」「難しい」と書いてあったように、確かにとっつきにくいジャンルではあるけど、でも曲をちゃんと聴くと技術を見せるだけじゃなくて、かなり歌が映えてるんですよね。イエスの1stにも5分の曲とかいっぱいあるので、その感じを消化できたのかなと思います。
miraco:今回CDの中のイラストをYusei画伯が描いておりまして。最初にイエスを聴くようになったのは見た目というか、ロゴから入ったって言ってたような。
Yusei:イエスの「Roundabout」しか知らないときにレコード屋に行って、ジャケのイラストがかっこいいと思って、「Roundabout」の入ってるアルバム(『Fragile』)を買って帰ったことがあって、そこからイエスにはまり始めたんです。僕は小さい頃からめっちゃ絵を描くのが好きやって。
miraco:ワンピースのルフィとか描かせたらマジで上手いんですよ。
Yusei:音楽以外でも自分を表現できたらいいなっていうのはあって、プログレの影響が今回のアルバムのイラストにも出てると思います(笑)。
『In Your Languages』ジャケット写真は、今作のリリックビデオも手がけた室谷惠が撮影
CDブックレット等でYuseiのイラストをフィーチャー
ーピンク・フロイド担当のmiracoさんはいかがですか?
miraco:私のルーツにはハードロックとかがあって、プログレも聴いてはいたんですけど、ボーカルに重きを置いた聴き方は全然してこなかったんです。なので今回はボーカルを意識して聴いてみようと思って、気怠いけど伸びやかっていう、よくわからないプログレの歌の感じを自分の中で消化しようっていうので、研究してましたね。
ーその気だるさがポーティスヘッドとかトリップホップとも通じる部分かもですね。
miraco:「Oppressed」は歌をつけるのにすごく苦労したというか、単純にメロディが出てこないというよりは、自分の実態が客観的に見えないところに最初苦しんで、でもいろいろ研究したことによって、新たな姿を自分に与えられたかなっていう、私的にはそういう感想でした。歌詞も自分の内面を思ってる以上に出したというか、歌詞と歌ってる自分の意識統合にすごく苦しんだ記憶があります。
聴き手に寄り添い、一緒に歩んでいく
ー「Oppressed」の歌詞は『Here I Stand』にも通じる内省的な感覚がありますが、『In Your Languages』というタイトル通り、作品全体の歌詞はただ内省的ではなく、他者に開かれているような印象を受けました。
miraco:少し前に自分の気持ちを閉じ込めて、暗くなってたというか、自責の念がすごい時期があって、それによって自分で自分が感じてることとか、自分が決断したことが信じられなかったんですよね。もともと周りに支えてくれる友達や理解のある友達には恵まれてたんですけど、自分が信じられない状況になった上で、自分の周りにいてくれる友達とか、大事な人と関わったときに、その人の目に映ってる自分、人から聞く自分の像が肯定的なものに感じられる瞬間がすごく増えて、人間として自分が愛されてることにようやく気づいたというか、はっきり自覚できたんです。
で、自分も同じように周りの大事な人をそういう目で見守ってることがあるなっていうことに気づいて、それで「For Your Eyes Only」を書きました。そういう時間を周りの人と過ごしたことで、今までより支え合って生きてるイメージが自分の中でどんどん強くなって、愛を感じて生きられるようになったというか。
「Our」に関しても支え合いながら生きていくイメージがあって、その中にはやっぱりメンバーもいるし、周りの大事な誰かをちょっと思い浮かべてほしいなっていう気持ちで書いてますね。
ー聴き手それぞれのいろんな「Our」を重ねられる曲ではあると思うんですけど、やはりバンドの歌だなと感じました。
miraco:歌詞は後からできたんですけど、途中には変拍子があって、でも最後リズム的にはメンバーみんな一緒に集合できるっていう、歌詞もそこから着想を得たところがあって。私的には10周年を象徴する曲ですね。
ーシューゲイザーというジャンルはいわゆるエスケーピズム、「ここではないどこかに逃避する」という感覚がセットで語られると思うんですけど、音楽性の変化とともに歌詞も変化していって、前作では『Here I Stand』というタイトル通り、「今、ここ」を歌っていた。最初にmiracoさんが「ようやく人間らしくなった」とおっしゃってましたけど、今作では今ここにある日常や生活をベースにしながら、他者へと目線を広げたような、そんな印象を受けました。
miraco:他者と関わる中で、自分の自己認識がつかめないがゆえに、社会学とか自己認知に関わる心理学を勉強したのも大きかったかもしれないです。
ー「Whenever, Whatever」は自己認知がテーマなのかなって。
miraco:そうですね。私的には「立ち上がれた」っていう曲です。
ーKntrさんも生活環境が変わることで聴く音楽も変わって、作る音楽も変わってきたという話をしてくださったように、より揺らぎの音楽が生活に根付いた音楽になってきていると言えますか?
Kntr:そうですね。今20代後半、もうすぐ30歳で、もう自分にとっての音楽のあり方が大きく変わるとは思えなくて、さっきのシューゲイザー、ジャンルについての話みたいに、どこか別の場所に行ったりではなく、我々の音楽は生活に根付くことを優先しているのかなと思います。今回のアルバムはジャンル的に言うと、ブルース、オールディーズ、フォーク、プログレとかいろいろありますけど、そういう音楽は実際に自分にあったことを歌にする場合が多いと思うんですよ。その感じがmiracoの表現をより助長したのかなとも思いますね。
ー「Farewell Speech」は揺らぎ流のフォークソングの決定版になった印象です。
Kntr:揺らぎがただトラディショナルなフォークソングをやってもなっていう感じがしたので、最後にオルガンを入れたり、新たな試みでやりましたけど、この曲は私が歌詞を書きました。この歌詞も私の実際の経験に基づいたものなので、miracoだけではなく、揺らぎとしてそういう表現の方向だったのかなと思います。
ーここ数年は生活環境の変化が多かったというお話でしたが、その中には「Farewell Speach」で歌われているような別れも実際にあったと。
Kntr:そうですね。私の経験や思ったことを言うだけでいいのかなっていうのは思ったんですけど、昔のフォークやブルースの歌詞に共感したのはすごく不思議なことだなと思ったんです。当時の人たちは自分のために曲を書いてる人たちが多かったと思うんですよ。誰かのためにというよりは、自分の気持ちを晴らすために書いてたりして、でもその感情が現代の日本人である私にリンクするのって、すごく面白いなって。そういう経験があったから、私のエピソードをそのまま書いても、聴く人によって自分のことのように感じて、何かを受け取ってくれるんじゃないかなと思いました。
miraco:ライブに来てくれる人とか、曲を聴いてくれる人と、繋がりたいとまではいかないんですけど、小指で握手するぐらいの感覚で、一緒にいる空気とか感情を交換できたらなって。それは昔よりかなり思うようになりました。
Kntr:揺らぎは自分達のためだけのものではないと最近思ったんですよね。揺らぎのリスナーは外国の方がすごく多くて、毎日のように海外からメッセージが来るんです。そういう人の存在を知ったから、我々がただ勝手にやるだけじゃなくて、そういう人のための我々の存在でもあるのかなっていうのは思いました。
ーアルバムのラストの曲「To Know You As You Are With No Ends」の最後の一節、”今、私達はあの懐かしい未来に向かって走っているのではなく/明るい未来を見るために、一歩ずつ歩いている”(和訳)という歌詞も、バンドのことを歌っているようにも受け取れるし、リスナーも含めたより広い対象へのメッセージだと感じました。
Kntr:我々の音楽は聴いてくれる人の踏み台になればいいなっていう意識はすごくあって。なので、この曲を聴いて、将来の何かに繋がってくれればいいなっていう思いを込めて、最後の一文を書きました。
miraco:今の解釈を聞いて、このメンバーでよかったなって、しみじみとなりました。
ーちなみに、この部分にうっすら男の人の声も入ってますよね?
miraco:これはかんちゃんの揺らぎ初ボーカルRECです(笑)。私たちのリスナーがこの曲を聴きながら河原を歩いていて、いろんな思いで聴いてくれるであろうシーンを想像したので、「この曲を聴きながら河原を歩いてる人の気持ちになって、誰も聴いてないつもりでハミングしてくれ」って頼んで、歌ってもらいました。
Kntr:それが我々から見たリスナーの姿みたいな、そういう感じではあるよね。
揺らぎ
3rdアルバム『In Your Languages』
発売中
再生・購入:https://friendship.lnk.to/IYL_yuragi
『In Your Languages』Release Tour 2025
2025年2月15日(土)東京・渋谷WWW
w/ THE NOVEMBERS
2025年2月22日(土)香港 MOM Livehouse
ONE MAN SHOW(O.A.あり)
2025年3月8日(土)名古屋・新栄Shangri-La
w/ uri gagarn
2025年3月9日(日)大阪・心斎橋ANIMA
w/ さらさ(Trio Set)
チケット
スタンディング:4,500円(税込)
スタンディング・学割:3,000円(税込)※入場時に学生証の提示必須
公演詳細:https://smash-jpn.com/live/?id=4338
チケット購入:https://w.pia.jp/t/yuragi
揺らぎ オフィシャルサイト
https://yuragi.org
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
鈴木実貴子ズが語る、「排泄」として生み出した強烈な楽曲、大人になることへの渇望
Rolling Stone Japan / 2025年1月27日 19時0分
-
Hakubiが語る、シューゲイザー的アプローチへの接近、バンドサウンドの再構築
Rolling Stone Japan / 2025年1月21日 20時0分
-
川谷絵音が振り返る2024年の音楽シーン
Rolling Stone Japan / 2025年1月20日 20時0分
-
EIGHT-JAM、プロが選ぶ「2024年の年間マイベスト10曲」発表 藤井 風・Creepy Nuts・ミセスなど 新鋭アーティストも1位に【トップ10一覧】
モデルプレス / 2025年1月20日 15時24分
-
yutoriが語る「純粋無垢」、目標が叶った年を経て全てを爆発させる2025年の展望
Rolling Stone Japan / 2025年1月11日 20時0分
ランキング
-
1「毎年フェラーリ買えんじゃん!」友人も驚く“貯金100億円説”の中居正広(52) “違約金貧乏”になる可能性は《弁護士がケース解説》
NEWSポストセブン / 2025年1月29日 18時30分
-
2「週刊文春」編集長が声明 一部訂正の経緯改めて説明 橋下氏から「しれっと上書きするのは不誠実」と指摘
スポニチアネックス / 2025年1月29日 22時20分
-
3「被害の内容の酷さに戦慄」渡邊渚のエッセー本に受ける衝撃、心の弱い人への“注意書き”も
週刊女性PRIME / 2025年1月29日 12時4分
-
4大竹しのぶ「金スマ」打ち切りに思い「訳の分からないまま気持ち良くない終わり方、…それが本当に悲しい」
スポニチアネックス / 2025年1月29日 22時42分
-
5木村拓哉、“中居正広の危うさ”を警告していた 女性への横柄な接し方を「改めた方がいい」と忠告するも中居は激高、2人の間の溝は決定的に
NEWSポストセブン / 2025年1月30日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください