2025年グラミー賞を徹底予想、主要4部門は誰の手に?
Rolling Stone Japan / 2025年1月31日 15時0分
第67回グラミー賞授賞式は、ロサンゼルスで発生した山火事による煙がまだ漂うなかで開催される。しかし、ショーは続き、この夜に受賞者が決定する。今回、特に大混戦となっているのは最優秀アルバム賞だ。 データを分析し、専門家に話を伺い、何よりも膨大な量の音楽を聴き込んだうえで、アルバム、レコード、楽曲、新人賞のビッグ4受賞者を予想する。トレバー・ノアが司会を務める2025年のグラミー賞は、日本時間2月3日(月)午前9時よりWOWOWにて生中継放送&配信される。
ビヨンセ(Photo by BLAIR CALDWELL)
1. 最優秀アルバム賞
アンドレ3000『New Blue Sun』
ビヨンセ『Cowboy Carter』
サブリナ・カーペンター『Short n Sweet』
チャーリーxcx『Brat』
ジェイコブ・コリアー『Djesse Vol. 4』
ビリー・アイリッシュ『Hit Me Hard and Soft』
チャペル・ローン『The Rise and Fall of a Midwest Princess』
テイラー・スウィフト『The Tortured Poets Department』
◎概要
今年は1つ2つの楽曲をサポートするために作られた楽曲コレクションではない、アルバムの強固さが際立つ一年となった。ビヨンセとテイラー・スウィフトはその理想を体現しているが、主役は彼女たちだけではない。チャペル・ローンのデビューアルバムは活気に満ちており、心に響くポップスの宝庫だ。「『Good Luck, Babe!』は、ついに彼女を押し上げた曲でした」と、Spotifyのポップ担当シニアエディター、タリア・クレイネス氏は言う。「そのうえで、彼女のカタログ全体にみんな夢中になっている。これは実に興味深い傾向です。アルバムのほぼすべてがSpotifyのトップ200に入っています」。
また、ビリー・アイリッシュの鋭くも優しく描かれた『Hit Me Hard and Soft』は、クレイネス氏いわく、「ティーンエイジャーではなく20代である彼女そのものでした。世界最大の著名人のひとりであるにもかかわらず、信じられないほど共感できる作品です」とのこと。チャーリーxcxの『Brat』は、彼女のソロアーティストとしての新たなファン層を獲得しながらも、フューチャーポップの理想を貫いた。「私たちは、彼女ならそれができるとずっと前から知っていました」とクレイネス氏は言う。その一方で、グラミー賞の投票者が好んで選ぶような折衷的作品である、アンドレ3000のフルートによる冒険作『New Blue Sun』の奔放な芸術性を見逃してはならない。
◎受賞すべきは?
ビヨンセ『Cowboy Carter』
ビヨンセはグラミー史上最も受賞経験の多いアーティストだが、なぜか最優秀アルバム賞を獲得したことがない。『Cowboy Carter』はその流れを変えることができそうだ。このアルバムは、アメリカの音楽界における黒人の貢献について重要な歴史的教訓を伝えているだけでなく、黒人カントリーミュージックを次世代に紹介している。「他の黒人女性カントリーアーティストを鼓舞し、必要とされる重要な対話を生み出すことはとても重要です」と、クレイネス氏は言う。洗練された「Bodyguard」や、マイリー・サイラスとのデュエット曲「II Most Wanted」といった印象深い名曲が詰まっている点も、受賞候補として申し分ない。「文化的な作品と素晴らしいアルバムという2つの要素が並び立っています」とクレイネス氏は言う。
◎実際の受賞者は?
テイラー・スウィフト『The Tortured Poets Department』
昨年のグラミー賞で『TTPD』のリリースを公にしたことを思えば、スウィフトの勢いが止まることなどありうるのだろうか?「Eras Tourの影響は無視できませんし、『TTPD』も明らかに大成功を収めています」とクレイネス氏は言う。「彼女の全カタログは今でも尋常でないほどストリーミングされ続けていますし、最新アルバムのセクションをライブに追加したことで、さらに勢いづきました」。『TTPD』は、現在3年連続で年間最優秀プロデューサー賞(ノン・クラシカル)を受賞しているジャック・アントノフがプロデュースしており、これもスウィフトにとって有利に働くはず。12月に終了したEras Tourを通じて、彼女が巻き起こした熱狂も同様である。
ビリー・アイリッシュ(Photo by Arturo Holmes/Getty Images)
2. 最優秀レコード賞
ザ・ビートルズ「Now and Then」
ビヨンセ「Texas Hold Em」
サブリナ・カーペンター「Espresso」
チャーリーXCX「360」
ビリー・アイリッシュ「Birds of a Feather」
ケンドリック・ラマー「Not Like Us」
チャペル・ローン「Good Luck, Babe!」
テイラー・スウィフト feat. ポスト・マローン「Fortnight」
◎概要
今回のノミネートは、ポップ界において近年最も活気のある年となった。新たな現象、大ヒット曲、スーパースターの萌芽がプレイリストやチャートでの順位を争い、かなり幅広い候補が名を連ねた。スターの存在感(ビヨンセ! ビリー! テイラーとポスティー!)と驚き(ビートルズ!?)がバランスよく揃っている。ケンドリック・ラマーの「Not Like Us」がこの部門の番狂わせとなる可能性もある。サプライズリリース直後から紛れもないセンセーションを巻き起こしたDJマスタード制作のヒット曲は、その後も人気が高まり、秋のフットボール・シーズンにはマーチングバンドがこの曲を演奏するようになった。
◎受賞すべきは?
チャペル・ローン 「Good Luck, Babe!」
この1年で「Good Luck, Babe!」ほど、あらゆる層から受け入れられた曲はない。サブリナ・カーペンター、フランツ・フェルディナンド、ミランダ・ランバートからケリー・クラークソンまで、この曲をカバーしている。ルーツ・ロック・バンドのJosiah and the Bonnevillesもまた、昨年夏にアコースティック・カバーをリリースした。ローンが本誌に語ったところによると、この曲は「運命を否定する誰かに幸運を祈る」という内容だ。まさに時代の流れを象徴する曲である。また、彼女にとって最もストリーミングされた曲でもある。
◎実際の受賞者は?
ビリー・アイリッシュ「Birds of a Feather」
「Birds of a Feather」は、多才なアーティストのボーカル解釈が10年代後半のブレイク以来、どのように成熟したかを示した珠玉のポップスだ。リスナーも自然とこの曲に引き寄せられ、昨年の夏、『Hit Me Hard and Soft』からのヒット曲として予想外の人気を博した。「アルバムがリリースされると、注目すべき収録曲が1曲は決まっているものですが、その後すぐにSpotifyでさまざまな曲がトレンドになり始めるのがわかります」とクレイネス氏は言う。「私たちの誰もがすぐに『Birds of a Feather』を好きになりました」。
【独占インタビュー】ビリー・アイリッシュが語る、再出発への決意
サブリナ・カーペンター(Photo by Christopher Polk/Rolling Stone/Getty Images)
3. 最優秀楽曲賞
シャブージー「A Bar Song (Tipsy)」
ビリー・アイリッシュ「Birds of a Feather」
レディー・ガガ&ブルーノ・マーズ「Die With a Smile」
テイラー・スウィフト feat. ポスト・マローン「Fortnight」
チャペル・ローン「Good Luck, Babe!」
ケンドリック・ラマー「Not Like Us」
サブリナ・カーペンター「Please Please Please」
ビヨンセ「Texas Hold Em」
◎概要
ビヨンセの「Texas Hold Em」とシャブージーの「A Bar Song (Tipsy)」により、今年の最優秀楽曲賞の候補は少しカントリー色が強くなったが、音楽ファンはそれを受け入れている。「大衆は、カントリー調の曲を聴くことにまったく抵抗がありません」と、SiriusXMの音楽番組担当副社長アレックス・ティア氏は言う。「Hits 1では、多くのクロスオーバーアーティストがいたため、これを『イーハー[カントリーでお馴染みのシャウト])の夏』と呼んでいました」と彼は言う。 また、ビヨンセは昨年、CMAアワードのノミネートから締め出されたが、グラミー賞では優秀楽曲賞の受賞のチャンスがある。 「ビヨンセは、このジャンルで偽りの姿を装っているわけではありません」とティア氏は言う。「彼女のDNAには、カントリーミュージックの原点が流れているのですから」。 ただ、「Good Luck, Babe!」と「Please Please Please」が有力候補であることは否定できない。
◎受賞すべきは?
サブリナ・カーペンター「Please Please Please」
『Short n' Sweet』からの衝撃的なニューディスコ楽曲は、彼女に遅ればせながらメインストリームでの認知をもたらした。チャペル・ローンが最優秀新人賞を獲得することはほぼ間違いないが、この部門でサブリナ・カーペンターが受賞するのも喜ばしいことだろう(何しろ彼女は遅れてきたシンガーなのだから)。「サブリナが正当に評価されるのを見て、とても嬉しいです」とティア氏は言う。「今こそがその時です。彼女は10年近くもこの業界で活躍しているのですから、今こそ彼女に花束が贈られるべきです」
【独占インタビュー】サブリナ・カーペンターが語る、2024年を代表する曲「Espresso」制作秘話とさらなる決意
◎実際の受賞者は?
チャペル・ローン「Good Luck, Babe!」
今年はチャペル・ローンの年であり、すべては「Good Luck, Babe!」から始まった。Spotifyでの再生回数は10億回を超えた。この爆発的なトラックはトム・モレロにまで愛されているが、彼女の成功は一夜にして成し遂げられたと考える人も多い。「腹立たしいのは、今になってみんなが私のことを真剣に受け止め始めたこと」と、彼女は本誌のカバーストーリーで語っている。「私はずっと前からこういう音楽をやり続けてきたのに、今頃になって追いついたのねって感じ」 。「Good Luck, Babe!」は、ビリー・アイリッシュが今年最も気に入っている曲である。この曲でグラミー賞が納得いかないなら、何だったら納得するのか?
チャペル・ローン(Photo by Sacha Lecca for Rolling Stone)
4. 最優秀新人賞
ベンソン・ブーン
サブリナ・カーペンター
ドーチ(Doechii)
クルアンビン
レイ(RAYE)
チャペル・ローアン
シャブージー
テディ・スイムス
◎概要
最優秀新人賞は、最優秀アルバム賞、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞と並ぶビッグ4カテゴリーのひとつで、新たなスターの到来を告げる究極の賞である。今年のレースは、サブリナ・カーペンターとチャペル・ローンに絞られそうだ。しかし、現在勢いに乗っているドーチ、シャブージー、ベンソン・ブーン、テディ・スイムズのいずれも受賞の可能性を秘めている。「『Bratイヤー』の真っ只中で、ブーンは大衆とのつながりを巧みに生かしつつ素晴らしい仕事を見せました」と、SiriusXMの音楽番組担当副社長アレックス・ティア氏は言う。また、同氏はスイムスについても絶賛している。「彼は素晴らしい。記憶に残る声を持っていますし、独自のスタイルもある。『The Door』は何度でも聴きたくなる曲です」
◎受賞すべきは?
チャペル・ローン
ローンはよく「あなたの好きなアーティストの好きなアーティスト」と自らを表現しているが、それは彼女がInstagramで600万人ものフォロワーを獲得し、ホワイトハウスへの招待状を受け取る(彼女は招待を断った)前のことだった。そして、彼女が業界で成功を収めるためにほぼ10年を費やしてきたことを考えると、彼女が受賞に最もふさわしいと言えるだろう。「これは私にとって夢の仕事です」と彼女は本誌に語った。「もう二度とこのようなことはないかもしれないと思うと、少し怖いくらい」。
◎実際の受賞者は?
チャペル・ローン
ローンは今年の大成功により、主要部門を総なめにしそうな勢いだ。なかでも最優秀新人賞は確実だろう。「2023年リリースの『The Rise and Fall of a Midwest Princess』が、彼女の成功を準備させました。そこからチャペルの話題性は高まっていったんです」とティア氏は言う「『ああ、彼女がこれでシーンを制するだろう』と思ったのを覚えています」。
【独占インタビュー】チャペル・ローンが語る、ポップの超新星が歩んできた「茨の道」
From Rolling Stone US.
「生中継!第67回グラミー賞授賞式(R)」 ※二カ国語版(同時通訳)
2月3日(月)午前9:00~[WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]
案内役:ジョン・カビラ、ホラン千秋スタジオゲスト:小瀧望(WEST.)、ヒコロヒー、大和田俊之
「第67回グラミー賞授賞式(R)」 ※字幕版
2月3日(月)午後10:00~[WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]
※生中継終了後~90日間WOWOWオンデマンドにてアーカイブ配信
番組サイト:https://www.wowow.co.jp/music/grammy/
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