wave to earthとHALLEYが語る、アジアン・ソウルの「本質」とバンドの「美学」
Rolling Stone Japan / 2025年2月12日 17時0分
1月21日に開催された来日公演も大盛況だった韓国のwave to earth。今回、Rolling Stone Japanでは彼らと日本の新世代R&Bバンド、HALLEYの対談インタビューを実施した。
【写真を見る】wave to earthとHALLEY
アメリカ、ヨーロッパ、アジアでのツアー経験があり、2024年の北米ツアーは全公演ソールドアウト。ソウルを拠点としながらグローバルな活動を続けるインディーバンドで、そのバンド名には、新たな波になること(become the new wave)、更にはバンドの世界観を世界に広げたいという願いが託されている。
一方、東京発のHALLEYは2024年、韓国のoff the menuと共演したり、アメリカで開催された「SXSW 2024」にも出演したり、海外にも視野を広げた活動をしている。さらにVoのてひょんはトリリンガルでもあるし、バンドの目標として「アジアを代表するR&Bバンドになる」というテーマもある。
インタビューには、wave to earthのVo・GtののDaniel Kim(キム・ダニエル)、DrのDong Kyu Shin(シン・ドンギュ)、BaのJohn Cha(チャ・スンジョン)、HALLEYのてひょん(Vo)、登山晴(Gt)が参加。
ダニエルの流暢な日本語に一同驚きつつ、お互いの音楽やライブ、バンドとしてのあり方について深く語り合うことができた。特に「対話」や「本質」の重要性、そして「完璧ではない人間」としての表現など、両バンドに共通する価値観が浮き彫りになった。
—昨日のwave to earthのライブ、HALLEYのお二人の感想を聞かせてください。
てひょん:音楽をやってる人が、音楽をやってる別の人のライブを観るときって、けん制するような雰囲気になりやすいんですけど、1曲目からそういうものが全部なくなって、ガードも全部取っ払って、単純に一緒に音楽を楽しめて。知ってる曲も多かったので一緒にシンガロングしたり、口ずさみつつ聴いてました。空間そのものが美しくて、すごい綺麗な海を見てるような気分になって、ちょうど僕ら前日まで沖縄にいたので、沖縄の海が凪いてる様子を思い出しました。音源もライブも、懐かしくなる感覚があって、それがすごく不思議で。いろんな感情が巻き起こる感じというか。あとはwave to earthの3人とバンドの他のメンバーも含めての関係性が見えたのがいいなと思いました。自分もプレイヤーとして刺激をもらったし、めちゃくちゃ素晴らしいショーでした。
登山:曲の後半にドラムの時間があって、そこからもう一回ビルドして最後みんなでトニック(主音)に行く感じが、バンドの熱量を感じて印象に残りました。セッションメンバーも含めて5人全員がライブの中で同じ感情を共有しているんだなって伝わってきて。ドラムは音程がない楽器だから制約があるって言われがちなんですけど、その中で一番感情的に爆発しているなって感じました。
—ダニエルさんはMCで日本でのライブに特別な思い入れがあると言っていましたが、どうでしたか?
ダニエル:やはり特別な感覚を持って舞台に上がってライブをしたんですけど、温かいなって思いました。ファンの皆さんも集中してくれるし、私たちを好きで来てくれてるんだなと。だからもう一度やりたいです。
スンジョン:音楽市場だけでなく、これまでいろんな日本の文化に触れていて。昔からマキシマム ザ ホルモンさんが好きだったり、日本のバンドが好きなロックキッズでした。最近は日本の車文化も大好きなんです。この前の撮影でもオールドカーが現場にあったんですけど。そういうのも含めて、日本に来ること自体が楽しいと思っています。
ドンギュ:アジア市場の中でバンドカルチャーが一番栄えているのが日本という認識が昔からあって。ダニエルの影響で日本の曲をよく聴いていたし、子どものときから音楽含めて触れてきた日本という国でライブができて、「やっとここに来れた」と実感が沸きました。それでまた少し近づけた感じがして、日本をもっと特別に感じました。
Photo by Yukitaka Amemiya
HALLEYが見たwave to earthのステージ
—HALLEYのお二人はwave to earthにもともとどんな印象をお持ちでしたか?
てひょん:彼らの有名な曲でもある「seasons」が、バンドを知るきっかけになった曲だったんですけど、その曲を知った同時期ぐらいに、アメリカツアーが軒並みソールドアウトしてるのを知って。韓国のインディーズバンドが成長していく中で、こういうバンドがアジアを越えて世界で共感を得てるんだって思いながら見てましたね。いろいろ形容される言葉がありますけど、「癒しのバンド」って言われていたりもするので、そういうイメージが先行していて。人を癒すためには、癒す側の人間に深い感情や経験がないといけないと思うんですけど、ライブを観ると、それを想起させるような深い愛を感じて。ライブを観に来てくれてる方々への献身みたいなものを爆発させるような瞬間がいっぱいあって、そこにロックを感じました。単純なロックバンドではないなって。
ダニエル:ありがとうございます。感動です。
登山:今日もアルバムを3周くらい聞いてきたんですけど、結構好きになっちゃって。聴いていて思うのは「感情」がテーマにあるのかなと。それはwave to earthのバンド自体が経験したことだったり、メンバー間のことだったり、そのときに思ったことをそのままレコーディングしているように感じて、エモーショナルなバンドだなって思いました。あと、いろんなルーツを感じます。昨日のライブもギターがブルージーで、自分は高校生のときにUKロックのバンドをやってたので、ストーン・ローゼズっぽさを感じたり、ザ・ヴァーヴってバンドを思い出したり、懐かしいなって。ライブやアルバムにいろんなエッセンスが入ってることも、韓国を代表するバンドだなって感じました。
スンジョン:ディテールについてここまで褒めていただくのって、日本の皆さんならではだなと思います。優しい方が多いです。
一同:(笑)。
てひょん:ディープリスナーなので。
登山:聴いてると考えすぎちゃう。
ダニエル:正確に私たちを見てくれていて、本当にありがたいです。一番大事にしているのが、感情をそのままアルバムに書き込むことなので。それをわかってくれて、本当にありがとうございます。
ドンギュ:私が感じることをそのまま理解して共感してくれていて、感動しました。私が感じるままに相手も感じてくれるって難しいことだと思いますが、それができていてすごく嬉しい。
てひょん:あの日集まってた日本の皆さんも同じことを思ってたんじゃないかな。こういうスタイルのバンドって日本にあまり多くないんですよ。最近は増えてきてるかもしれないですけど、本当に少なくて。僕が想像したのは、アメリカツアーではセッションしてる瞬間やドラムだけになる場面で熱狂してるようなイメージで、日本の皆さんは静かにめちゃめちゃ感動して、ボロボロ泣きながら観るんだろうなってイメージがあった。僕は2階席にいたんですけど、2階の人たちは少なくとも、カップルで来た人たちが相手の肩に頭をつけたりしてたから、本当にそうだったんじゃないかなと思いました。
登山:昨日のライブを観て思ったのは、ステージから出るいい音のシャワーをお客さんがワァーって浴びてる感じ。
一同:(笑)。
ダニエル:面白い表現ですね(笑)。
—wave to earthが、ライブにおいて大事にしていることはなんですか?
ダニエル:最近一番気にしているのは、ダイナミックさ。昨年はダイナミックさが足りないなと思って、それをもっとかっこよく作ろうと一番気にしてました。全体の流れを自然に作って、海みたいにいろんな形の波のように表現したいなと意識していました。
ドンギュ:これもダイナミックさの一環ですが、5人が1人ずつ目立つシーンがあるように演出したかった。一人ひとりが大事だし、1人が目立つために残りの4人がサポートしていく。その瞬間のための演出に気を使いました。ファンの皆さんがその場で各メンバーを覚えられるように演出した方がみんなで盛り上がれるし、みんなで作ってる感じが出るのかな、と思います。
スンジョン:世界でツアーを回っていると、同じ公演を繰り返すようになってマンネリ化しやすいのですが、一つひとつの公演を楽しもうというモチベーションを高くして、その瞬間を楽しもうという気持ちを忘れないようにしました。自分はコンディションを大事にしているので、調整のために早く寝てます。
一同:(笑)。
ダニエル:それが一番大事ですね。
wave to earth:左から、BaのJohn Cha(チャ・スンジョン)、Vo・GtのDaniel Kim(キム・ダニエル)、DrのDong Kyu Shin(シン・ドンギュ)(Photo by Yukitaka Amemiya)
バンドのアイデンティティと「志」
—wave to earthの3人は、HALLEYの音楽を聴いて、どんな印象を持ちましたか?
スンジョン:ネオソウル含めたソウル音楽や70年代のモータウンの曲は、オタク並みに好きなので、そういうニュアンスを自分たちなりに解釈して、作り直してるところが面白くて独特だなという印象を持ちました。あとは歌詞が英語で、英語が堪能で素晴らしいなと思いました。
てひょん:(wave to earthにも)全く同じことを思いました。
一同:(笑)。
ダニエル:私は聴いた瞬間、「これはディアンジェロ? すごくかっこいいな」って思いました。このサウンドをアジア人がつくれるんだなって。かっこいいですよ。
ドンギュ:最近はR&Bやバンド音楽を聴いていなかったんですけど、久しぶりに聴いて、同じく懐かしさを感じました。かつ新しく、こういう風に表現できるんだ、こういう風に変えられるんだというところが、評価とかなしで純粋に楽しく聴けました。
ダニエル:それと、ドラムがすごく硬いなって思って、かっこいいポイントだと思いましたね。
てひょん:そうなんです。意識してる。嬉しいです。
ダニエル:R&Bっぽいポイントですね。ドラムセットすごいなって。
てひょん:僕らがレコーディングの後、ポストプロダクションで一番時間かけたところなのですごく嬉しい。僕から、せっかくだから聞きたいことがあって。wave to earthは、ミックスとマスタリングをバンドのメンバー内で完結させてるじゃないですか。そこにこだわりを感じたんですけど、外のエンジニアにお願いしたりすることも、考えたフェーズがあったんですか?
ダニエル:ライブを一緒にやっているサウンドエンジニアさんがいて、ライブの映像はその人がやってくれるんですけど、アルバムは自分でやる方が望むままに表現できるから楽しくて。その作業を楽しみにしてます。他のエンジニアさんに(アルバムを)頼んだこともあるんですけど、合わなかったので、自分でやろうと考えました。でも最近、レコーディングのときにはライブのエンジニアさんと一緒に作業しているので、それが一番大きい変化です。(HALLEYは)チームでやっていますか?
てひょん:レコーディングエンジニアとミックスマスタリングの人が1人いて、アルバムも最近のシングルも、RECの段階からマスタリングまで全部彼と一緒にやっています。メンバー合わせて6人で実験しながら作り上げた1stアルバムだし、シングル2枚もそうなので。
ダニエル:それがバンドのアイデンティティをつくる、一番いい方法ですよね。
てひょん:今、共感しすぎて大きな声を出したい。
一同:(笑)。
ダニエル:バンドのアイデンティティって本当に大事。
てひょん:今はドラム以外のパートは僕の家で録ってるんですけど。
ダニエル:じゃあ、ギターのレコーディングはどうしてますか?
登山:アンプは、プリアンプとパワーアンプからラインアウトするっていう変わったアンプを使ってて。キャビネットはIRっていうシステムでやっていて。でもアンプからでもやってます。
ダニエル:アンプは何を使ってますか?
登山:Fenderの「Hot Rod」。
ダニエル:いいですね。
登山:何を使っていますか?
ダニエル:私は4つあります。Tone Kingの「IMPERIAL MK II」と「Royalist MKII」、それとFenderの「Pro Reverb Silver Face」。
登山:珍しい。
ダニエル:最後はRolandの「Jazz Chorus」ですね。
登山:あ、ジャズコも使うんだ。最近、Revvっていうブランドの「D20」っていうちっちゃいアンプでレコーディングしてます。
ダニエル:それもいいですよね。
てひょん:やっぱ知ってるんだね。日本ではあまり有名じゃなくて。
ダニエル:私、アンプ好きです。
登山:一緒です。機材オタク。
ダニエル:こちら(ドンギュ)もドラムをいっぱい持ってて。5個くらい。私たちのスタジオに全部置いてあって、この曲には何使おうかなみたいな感じですね。
ドンギュ:スタジオの通路が本当に狭いです。
てひょん:僕の家も、廊下がすごい狭い。ワンルームなんですけど、僕のアンプとか彼のアンプとか……。
ダニエル:それがバンドです(笑)。
一同:(笑)。
ダニエル:私もツアーするたびにギター買ったりして、24個ある。
一同:えー!
てひょん:いくらくらい?
ダニエル:最近高いギター買ったのでノーコメントにします(笑)。でもチープなギターも好きです。最後に買ったのが、ジャパンオフィシャルで「Starcaster」を買いました。
—以前インタビューでてひょんさんが、「アジアの音楽であることを伝えるには、言語を混ぜた方が効果的」というようなことをおっしゃっていましたが、それは今も意識的に取り組んでいますか?
てひょん:今シングルを2曲出していて、これからもシングルを出す予定なんですけど、その中で実験的にやってみようってことの一環で、言語を3つ混ぜたりしていて。「Chicken Crisp」っていう曲は、いい曲だし僕らを宣伝できるような曲かなと思って、そういう手法を選んだ部分もあります。でもwave to earthさんの音源を聴いたりする中で感じたのは、もちろんアジアならではのものを宣伝するのもいいんだけど、音楽って人と共感したり、メディアとなって繋がれるのが一番の目的だなってこと。それで、言語がありすぎるのも考えものだなと思ったんです。
僕はもともと言語を統一する方が好みだったから、今後は英語は英語、日本語は日本語、韓国語は韓国語ってやっていくのもいいのかなって思いました。wave to earthさんの「love.」って曲の、韓国語の歌詞がすごく詩的で。僕はちっちゃい頃からK-POPを聴いて韓国の文化で育ってきたから、いろんな韓国語の曲を聴きますけど、この曲は韓国の詩人が書いたような「詩」っぽい歌詞だなって思いました。歌詞と詩って全然違うんですけど、詩のような印象を受けたんです。僕も日本語を書くときに歌じゃなくて「詩」から入ったので、文学的な美しさを損なわないような歌詞の作り方をされているのが印象的だったこともあって。今後はもう少し、もともと自分が持っていたものにフォーカスを置いてもいいかもって思えてきました。勇気をもらった感じがします。
ダニエル:いい志です。
てひょん:音楽の先輩です。
ダニエル:やめてください(笑)。音楽に先輩・後輩はないですよ。
—wave to earthさんはグローバルに活動されてますけど、その中でアジア人としてのアイデンティティと、世界に向けてどうやって自分たちのメッセージを伝えたらいいか、というものの間で悩んだこともありますか?
ダニエル:「私の声を一番よく表現できる音楽って何だろう」と悩んで作ったのがwave to earthなんです。それはアジア人かどうかが大事だったんじゃなくて、私の声と私自身をよく伝えられる表現を見つけるのが一番重要だったんですね。それを見つけて音楽を作ったときに、パワーを持つようになったんじゃないかなと思います。その中で歌詞の意味も、真剣に悩んで作りました。自分を一番よく表現したいっていう音楽に対する想いと、各メンバーの魅力でハーモニーが生まれることを今でも大事だと思って追求しています。
ドンギュ:「売れよう」って考えよりは、そういうものに流されないようにしようと心がけています。
ダニエル:本質を失っちゃダメ、という志です。
てひょん:……それにしても、日本語がすごく上手ですよね。
ダニエル:ありがとうございます。アニメのおかげですよ。勉強しようと思って見たアニメってないんですよね。ただアニメが面白いから見続けたらこうなりました、的な。
てひょん:一番好きなのは?
ダニエル:「鋼の錬金術師」。
てひょん:「鋼の錬金術師」! 懐かしい〜!
ダニエル:小学生のときから今まで毎日のように見てるから。
—最近は何を見てるんですか?
ダニエル:最近は「アオのハコ」とか。「SAKAMOTO DAYS」「盾の勇者の成り上がり」「リゼロ(Re:ゼロから始める異世界生活)」とか、いっぱい見てます。ドラマも好きだし。
てひょん:すごいな。
ダニエル:なんかオタクっぽいね。
登山:みんなオタクだから大丈夫。
てひょん:さっきお話しされた、「アジア人っていうアイデンティティの前に自分の声が大事」っていうところ、すごいハッとさせられました。戻ってくるべきところはそこかなと思います。全部クリアできると一番いいと思うんですけど、自分が一番輝ける曲と伝えたいもの、それがアジアのものとして認識されることはいいのかなって思うのと、世界全体の中の一つとして認識されるまでの一歩として、あっていいのかなって感じました。
登山:ちょうど、この間遠征に行ってたときもバンドのテーマについて話し合っていたので、今、バンドにとって大事なメッセージをいただいたような気がします。
HALLEY:左から、登山晴(Gt)、てひょん(Vo)(Photo by Yukitaka Amemiya)
「対話が一番重要だった」
—冒頭でてひょんさんが、「ライブを観に来てくれてる方々への献身みたいなものを爆発させるような瞬間がいっぱいあって、そこにロックを感じた」と話してくれましたが、確かにwave to earthのライブを観ているとアドレナリンは出るけど、それは怒りというよりも、喜びや感謝といったポジティブなところから来るものだなって、てひょんさんの話を聞いていて思ったんですね。実際、怒りや苦しみといったネガティブな感情よりも日々のささやかな喜びみたいなものを大事にされているんですか?
ダニエル:『0.1 Flaws and All』というアルバムを作るときに、「完璧な人間はいないんじゃないか」ってメンバーと話して、「じゃあ自分の弱い部分に向き合って、それを重要視して初めて自分を愛せるようになるんじゃないか」って思ったんです。自分への愛が溢れて、愛する人に愛が伝わって、そうやって繋がっていって、観客の皆さんにまで届くように努力しようって考えていますね。だから、自分を愛することが一番大事なことだと思っています。
てひょん:それがサウンドになっているのがすごいです。
ドンギュ:ポジティブな感情に集中しようという意図があるわけではなくて、ダニエルが言ったように完璧な人間じゃないけど正直に生きようと考えてきたし、その正直な心を表現しようと思って、バンドの活動を続けています。それがそのまま音楽やライブで出てしまっているという、自然な流れでそうなっているんだと思います。意図的にポジティブな感情だけに集中しようとしているわけではないです。
スンジョン:それぞれ生きてきた環境が違ったり、各自ステージマンとして積み重ねてきた経験も違う。それが合わさったときに倍になって、効果的に積み重なっていくところが、良い結果になってるんじゃないかと思っていて。そういったお互いのよさを重ねていくことを心掛けて、これからもやっていこうと思っています。
ダニエル:異なる背景をお互いに認めて、一緒に成長することも大事にしてますね。
—そういうヴァイブスが自然に生まれるのは、今の3人の繋がりがスペシャルだからなんだなって。この3人じゃなきゃあのサウンドにならないし、あのライブのムードにならないんだと思いました。
ダニエル:その繋がりを強くするまで3年かかりました。各自思ってることが違うんですよね。結局、対話が一番重要だったし、一緒の方向を見て歩くようになるまで時間がかかった。でも今はそれができたと思います。対話をしないといつの間にかメンバーが違う方向を向いてしまって、そうやってバンドがなくなったりしてきたのをよく見てきたので。会話をいっぱいしようって思いました。
てひょん:日本語、ほんと上手ですね。言語の初心者って語彙に思考がとらわれて言葉が出てこないんですけど、語彙にとらわれてないのがすごいです。自分の中にあるボキャブラリーで自分のことを表現している。
ドンギュ:異なる言語を習得するときって、自分の母国語で一回考えて、それに当てはまる言語は何か考えて、見つからなかったら諦めたりしますが、ダニエルは自分が知ってる日本語の中でそれを組み合わせて考えを表現できるところがすごいと思います。
てひょん:あと先ほどおっしゃってた通り、ダニエルさんって本質をかなり重要視される方だなと思って。演奏を聴いていると、3人が同じ空間で、同じ空気を吸っているのが見えるというか。そういうところからも対話がしっかりとあったんだなって分かるし、バンドのサウンド以前に人間として3人が一致する部分が多い。3人がそこまで到達しているからできるアルバムだし、ライブなのかなと思いました。学ばないといけない。
スンジョン:仲がいい友達として見えるところもあると思うんですけれど、それだけじゃなくて、お互いを先生として考えている部分があって、お互いに学べるところがまだまだたくさんあると思っているんです。お互いに尊敬して、いいところは盗もうという風に思っています。
登山:自分たちも対話だったり愛だったりがバンドのキーワードとしてあって。数年後、こういうバンドになれたらいいなってイメージが、wave to earthさんです。普通のチームとかミュージシャン達と違って、パーソナリティがそのまま音になるフォーマットがバンドだと思うので、それをちゃんと体現しているのがすごいです。
てひょん:さっき「先輩・後輩はない」っておっしゃってたんですけど、でもどうしても……。
登山:いや、そうそう。
てひょん:音楽じゃなくて、人生の……。
一同:(笑)。
てひょん:同じ道の前にいる感じがする。
登山:それはでも、3年という時間がかかって実ったものだから、それを僕たちもこれから積み重ねていくべきだなってシンプルに思います。HALLEYで音楽をやるのは楽しいんですけど、それ以上に感情を共有することがどれほど重要なのかってことと、それを表面的に分かってても、落とし込めるのが大事だなって感じました。
てひょん:wave to earthさんのことを調べる中で、ライブ前に必ずお祈りするっておっしゃってて、実は僕らも同じことをしてて。
ダニエル:そうなんですか!
てひょん:僕がクリスチャンで、ベースの子もクリスチャンで、牧師の息子なんですよ。だから先輩って思ってるのは、元から親密感があることもあって。メッセージの背景にあるものがなんとなく僕にも伝わってきたから、伝えたいコアの部分が似てるなというか。先輩っぽいなっていうのは、そこからも来てる気がしてます。
登山:音楽が違うようでスタイルは同じな感じがする。
—将来、2組の共演を楽しみにしています。
てひょん:頑張らなきゃ。いつか一緒にスタジオこもったりしてみたいです。
Edited by Haruka Iwasawa
Photo by Yukitaka Amemiya
wave to earth
EP『play with earth! 0.03 (extended)』配信中
https://orcd.co/wavetoearth_playwithearth
HALLEY
最新曲「Billet-Doux」配信中
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