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亡き岡江久美子さんが後押し 大和田獏・美帆父娘ユニット「ばくみほ」難病の子らに音楽会

産経ニュース / 2024年12月29日 14時0分

「ばくみほ」として活動する大和田獏さん(手前)と美帆さん(安元雄太撮影)

難病や障害とともに生きる子供、お年寄りといった劇場に足を運びにくい人のもとに出向き、歌や物語を届ける父娘ユニットがある。俳優の大和田獏さん(74)と美帆さん(41)で、ユニット名は2人の名前を取って「ばくみほ」。その真ん中にいる「くみ」は、コロナ禍で亡くなった岡江久美子さんで、夫と娘の活動を後押しする。

大興奮のXマス音楽会

「♪私が獏で」

「♪私が美帆で」

22日午後、東京都目黒区役所内の会議室で催された「ばくみほ音楽会」。知的障害のある子供の親らでつくる「目黒区手をつなぐ親の会」主催のクリスマス会に、2人は登場した。

電子ピアノに合わせ、自己紹介ソング「バクミホのテーマ」や、ミュージカルの出演経験も豊富な美帆さんが、鈴を振りながら「ジングルベル」などクリスマスメドレーを獏さんと歌い始めると、約120人の親子らの笑顔が一気に咲いた。

思い思いに体を揺らす参加者は、続く「ばくちゃんタイム」で獏さんの手品や、キツネと人間の交流を描く紙芝居「手袋を買いに」の読み聞かせなど40分間、楽しんだ。

最前列中央に座り、4歳と8歳の息子と参加した40代女性は、「子供たちと、一足早い大興奮のクリスマスでした!」と笑顔を見せた。

「何事も意味がある」

「ばくみほ」は昨年6月に結成。「僕がデビュー50周年、娘が20周年の節目でした。娘は以前から障害のある子供向けの活動を続けていて、誘われたんです」と獏さん。

一人娘の美帆さんは、令和2年4月に母の久美子さんが新型コロナウイルスによる肺炎で63歳で亡くなった後、娘と実家に戻り、獏さんと同居を始めた。美帆さんは「私たちも悲しい思いをして、人の温かさが身に染みた。だからこそ母の死を無駄にせず、何かできないかと思った」と話す。

ネーミングは、獏さん久美子さん夫妻がなじみの飲食店に入れるボトルに「BAKUMI」「BAKUMIKO」と書いていたことから考案した。「実は生前の母が、すでにBAKUMIHOと書いていたことが最近分かった。仲良し家族だったので、母の死は今もつらい。でも『何事にも意味がある』と言っていたから、今も、私たちの活動を見守ってくれているはず」と美帆さん。

広がる活動の輪

「ばくみほ」は、美帆さんが代表を務める「子どもが笑えば世界が笑う」プロジェクトの一環で、全国のこどもホスピスや特別支援学校などに出向き、すでに約20回の活動を行った。獏さんは「参加者の笑顔で、むしろ僕らが喜びをいただいている。営利目的ではなく、日程が合えばご相談の上、どこでも行きます」と話す。同プロジェクトは来年、一般社団法人になる見通しで、「ばくみほ」の活動の輪は一層、広がりそうだ。(飯塚友子)

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