房総で脱線のいすみ鉄道、枕木の腐食原因か 安全確認急ピッチ 月末の運転再開目指す
産経ニュース / 2024年10月10日 20時28分
千葉県のいすみ市内で4日、2両編成の列車が脱線し、全線運休中の「いすみ鉄道」(同県大多喜町)は、全線(約27キロ)で線路の安全確認を急ピッチで進めている。レールを支える木製の枕木の腐食などが脱線の原因とみられる。安全を確認した上で、今月末の運転再開を目指すが、ずれ込む可能性もある。
脱線は4日午前、国吉駅-上総中川駅で発生した。通学中の高校生ら乗客約100人と運転士1人にけがはなかった。全線運休となり、バスによる代行輸送を実施。9日には脱線車両を現場から移動させた。同社は「現場付近の枕木の劣化と、水はけが悪い周辺の地盤という複合的な原因が考えられる」と話す。現在、国の運輸安全委員会の鉄道事故調査官が原因を調べている。
同社によると、車両が通るレール2本の下に敷設している枕木が腐食すると、並行するレール2本の間隔が広がり、脱線する危険性がある。同社は脱線を受け、レール2本の間隔が広がっているような場所がないか全線の線路の確認を急ぐ。危険な状態が確認されれば、全線運休が長引く可能性がある。
房総半島はこれから行楽客が見込める紅葉シーズンを迎えるだけに、同社にとって全線運休のダメージは大きい。昨年9月も台風13号の接近に伴う豪雨で一部区間が被災し、3カ月半も運休した。
同社の主要株主である千葉県の熊谷俊人知事は10日の記者会見で、脱線事故について「人的被害はなかったものの、重大な事故につながる可能性があった。いすみ鉄道には安全確保と利用者に不便が生じないよう伝えている」と述べた。
同社への財政支援については「とにかく全線の安全確保を行い、その全容がみえていく中で、どういうサポートができるかを考える」と述べるにとどめた。(岡田浩明)
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