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眠らぬ首都の大動脈守る交通管制センター 最新技術と人の「目」組み合わせ 警視庁150年

産経ニュース / 2024年12月18日 8時0分

24時間態勢で都内道路の状況に対応する警視庁の交通管制センター

ラジオ放送などでもおなじみの警視庁交通管制センター。巨大モニターが都内の道路交通状況を映し出し、交通情報収集や提供、信号機の調整などを行う。災害時には交通規制の中枢にもなり、人の目と最新の技術を組み合わせ、首都の大動脈を円滑に機能させる役割を担っている。(橋本愛、写真も)

巨大な3面モニター

センターがあるのは、東京都港区の警視庁新橋庁舎。中に入ると目を引くのが、壁一面の巨大なモニターだ。縦約5メートル、横約25メートルの大きさで3面に分かれており、左には高速道路、正面には一般道路、右には事故の発生状況などをリアルタイムで表示している。

センターの主な役割は、交通情報の収集と分析▽交通情報の提供▽信号機の調整―だ。

道路に設置した超音波式の車両感知器やライブカメラ、110番通報などから情報を収集。LEDモニターには主要交差点や道路が表示されており、事故や渋滞の発生箇所が点灯する。集めた情報は、道路情報板やカーナビを通じて道路利用者に提供。センター内にあるラジオ放送室で、各局の放送も行われている。

また、都内の信号機約1万6千基のうち約8千基は回線で接続され、センターで制御を行っている。混雑する時間帯や交通状況に応じ、青信号の点灯時間などを調整。渋滞予測などに人工知能(AI)の活用も進められている。

災害時は緊急車確保

センターは、平時のスムーズな交通を支えるだけでなく、緊急時や災害時には最新技術を活用した車両誘導の「司令塔」にもなる。

都内で震度6弱以上の地震が発生した際には、交通管制システムで環状7号線から都心に向かう道の信号機を左折、右折のみに切り替えて、都心への車両流入を禁止。緊急車両の通行路を確保する。

東日本大震災での都心の震度は5強だったため規制は実施されなかったが、公共交通機関が止まり、帰宅時間と重なるなどして道路上で車両がほとんど動かなくなる超渋滞現象(グリッドロック)が発生した。「どの箇所の信号機を調整すればよいか、管制官らが対応に追われ、渋滞が解消されたのは翌朝だった」(センター担当者)。こうした非常時の混乱抑制にも、AIの活用などが期待されている。

その他、パトカーや救急車の緊急走行、バスの定時運行を支援する各種システムも整備されており、交通管制課の担当者は「毎日見る信号機も、実は奥が深い」と説明する。

事故リスク低減へ

交通管制センターは、事故が多発し「交通戦争」といわれた昭和30年代に前身が誕生し、49年に改称して警視庁の総合庁舎内に完成。平成7年に現在の新橋庁舎に移転した。団体客の見学も事前予約制で受け付けており、修学旅行や企業の研修などで毎年多くの人が訪れるという。

センターの佐野文彦所長は、「渋滞などが発生すると、ドライバーが焦ったり抜け道の生活道路に入るなどして事故のリスクも高まる。円滑な交通環境を推進し、交通安全の確保に今後も取り組んでいきたい」と話している。

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