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扉開いたままエレベーターが上昇し甲子園目指す男子高校生死亡 刑事責任問えず 警視庁150年 123/150

産経ニュース / 2024年11月29日 7時0分

警視庁庁舎=東京都千代田区

平成18年6月、東京都港区のマンションで、住人の男子高校生=当時(16)=がエレベーターに挟まれて死亡する事故が発生した。高校生は1階から自転車とともにエレベーターに乗車。自宅のある12階でエレベーターから自転車を運びながら降りようとしたところ、突然、ドアが開いたまま上昇。かごの床と12階の天井部分に体などが挟まれた。

通常、扉が完全に閉まらなければ上下しないエレベーターでの事故。警視庁捜査1課の捜査で、エレベーターの部品が他より数ミリ多く摩耗していたことやナットの締め付け具合に異常があったことなどが判明。製造元メーカー「シンドラーエレベータ」が過去のトラブル情報を保守点検業者に十分に引き継いでいなかったなどとして、捜査1課は21年、業務上過失致死の疑いで、シンドラー社と保守点検会社の幹部ら計6人を書類送検した。

公判では「事故は予測できなかった」と判断され、最終的に全員の無罪が確定。誰も刑事責任を負わない結果となった。

亡くなった高校生は甲子園を目指す高校球児だった。野球部の試合があるときは遺影がベンチとスタンドに置かれ、プレーする仲間を見守った。

安全と思われていたエレベーターでの事故を受け、国は法改正を行い、扉が開いたまま移動するのを防ぐ補助ブレーキの設置などが義務付けられた。港区では、事故発生日の6月3日を「港区安全の日」と制定。毎年、区有施設のエレベーター事故対処訓練を行うなど、遺族や友人らが再発防止を訴えている。(前島沙紀)

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