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急増の外国人観光客に人気の公道カート 事故や苦情が増加 安全対策強化求める声も

産経ニュース / 2024年7月20日 20時30分

JR渋谷駅前のスクランブル交差点付近で信号待ちをする公道カート=20日午後、東京都渋谷区(酒井真大撮影)

新型コロナウイルス禍による入国規制が緩和されて以降、自身の運転で東京の名所を巡ることができる「公道レンタルカート」が外国人観光客に人気を博している。今年上半期の訪日客は過去最多を記録。カートはインバウンド需要が見込める一方、交通ルールを十分に理解していない外国人の悪質運転による事故も発生している。警視庁には昨年、100件以上の苦情が寄せられており、事業者に安全対策を求めている。

マナー講習は30分

6月、渋谷区のスクランブル交差点近くでは、着ぐるみを着た外国人が赤い公道カートを走らせていた。「ブーン」と大きな音を出して発車させると、興奮した様子で運転中に片手を振り上げたり、信号待ち中にスマートフォンで写真撮影をしたりしていた。

公道カートは従業員が客の車列を先導し、渋谷スクランブル交差点や東京タワー、浅草といった有名観光地などを巡るツアーがある。価格は店舗や季節によるが、渋谷区の店舗では約40分~1時間のコースが1万2千~1万4千円ほど。国際免許があれば乗車できる。

渋谷区のカート事業者は乗車前の講習について、「ビデオと口頭で交通ルールや運転操作を教える」と説明する。ただ、受け付けから乗車まではわずか30分ほどという。

背景には、急激な円安によって訪日外国人客が急増していることがあるとみられる。今年1~6月の外国人客は、コロナ禍前の令和元年上半期に記録した過去最多の1663万人を上回り、約1778万人。このままいけば、年間でも最多となる見通しだ。

事故も発生

一方、6月上旬には東京都港区の交差点で、左折しようとしたカートと直進のタクシーが衝突する事故が発生した。都内のタクシー会社関係者は「運転手はみんな邪魔だと思っている。事故を起こされたらたまったもんじゃない」と怒りを口にする。

一般社団法人「国際免許情報センター」の松島隆太郎代表理事によると、都内の事業者のうち、国が定めた基準を満たしているのは6割ほどだといい、「残りの事業者はまともな講習を行っていない」と指摘する。

同センターの「訪日外国人安全運転支援機構」によると、公道カートは平成24年から本格的な運用を開始した。ミニバイクと同じ扱いだったが、外国人客による事故多発を受け国土交通省が保安基準を改正。令和2年4月以降は、レンタル業者などにカートのシートベルト装備を義務化した。

だが、交通ルールの整備や利用者の安全確保が行き届いているとはいえないのが現状だ。松島理事は「今の法律にはズレがある。基準を明確にすべきだ」と訴える。

警視庁交通総務課によると、5年には公道カートに関する通報や苦情が100件以上寄せられた。5年の都内の事故件数は12件だったが、今年は1~5月だけで14件。同課によると、利用者が先導車からはぐれるのを嫌がって信号無視をしたり、誤って高速道路に進入しようとしたりした事例もあるという。

同課は2月、都内の11の事業者に、信号待ちの際に道路上に降りて記念撮影をしないなどの安全対策の協力要請を行っている。(橋本愛、塚脇亮太)

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