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元管制官復職へ 国交省、来月にも羽田・福岡など 羽田事故半年

産経ニュース / 2024年7月2日 17時44分

羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した事故を受け、国土交通省が8月にも航空管制官の資格を持つ元管制官を復帰させる方向で検討に入ったことが2日、分かった。対象は羽田や福岡など一部空港になる見通しで、緊急措置として職員の配置転換や退職者の補充で対応する。事故は2日で発生から半年。各空港では事故後も滑走路への誤進入が相次いでおり、国交省は「空の安全」確保を急ぐ。

「欠員113人」

国交省によると、令和5年度の管制官の定員は2031人。過去10年は毎年2千人前後で推移しているが、近年は中途退職や育児休業などが増加し、今年6月時点で113人の欠員が出ている。

同省が示した再発防止策の骨子では「管制官の人的体制の強化・拡充」が柱の一つに盛り込まれ、新たに離着陸の調整を担当する補佐役を主要8空港に配置することが決まった。ただ、定員割れが続く現状を考慮し、当面は管制官資格を持つ内勤職員の配置転換や、退職者の復職で「増員」を図る計画だ。

航空管制官は国家公務員にあたり、空港の監視やパイロットとの交信業務などを担う。常に「マルチタスク」の状態にあるとも言われ、とりわけ発着回数が多い羽田空港では多忙を極める。

国交省の統計では、国内空港の管制塔で取り扱った航空機数は、平成21年は約494万機だったが、同31(令和元)年には約695万機まで急増。コロナ禍で大幅に減ったものの、令和5年はピーク時近くまで回復した。

将来の航空需要増大を見据え、同省は管制官を養成する航空保安大学校の採用枠拡大や中途採用などで「欠員解消と増員を図る」としているが、学科試験や英語力だけでなく、技能試験も必要な人材育成にはコストも時間もかかる。人材確保は未知数な部分も多い。

「根絶は困難」

1月2日に羽田空港で発生した事故は、滑走路への進入許可を受けていない海保機が、離陸順1番を表す「ナンバーワン」の管制交信を取り違えたことが原因の一つとされる。国内では今年6月末までの10年間で航空機が滑走路に誤進入したと判断された「重大インシデント」が26件発生。運輸安全委員会はこのうち24件の報告書を公表したが、いずれもヒューマンエラーに起因するトラブルだった。

有識者を交えた対策検討委員会は中間とりまとめで「事故後も誤進入事案が発生していることは、この問題の根深さを物語っている」と指摘。「ヒューマンエラーは人間の特性から生じるものであり、根絶は困難」と踏み込んだ。同委員を務める航空評論家の小林宏之氏は「事故原因を個人の問題に帰すのではなく、得られた教訓を社会全体で共有しない限り、真の意味で安全は実現しない」としている。

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