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事故車両、完成時は原則非公開に 福知山線脱線でJR西が遺族らに説明 将来的には検討も

産経ニュース / 2024年11月9日 19時15分

震災遺構となった大川小学校(令和5年、宮城県石巻市)、阪神大震災を伝える「神戸の壁」(同2年、兵庫県淡路市)、一般にも公開されている墜落した日航機の後部圧力隔壁(平成18年、東京都大田区)=左から

JR西日本は9日、乗客ら107人が死亡した平成17年のJR福知山線脱線事故の遺族らへの説明会を開き、大阪府吹田市の社員研修センターの隣に整備する事故車両保存施設について、来年末を予定する完成段階では一般向けには原則非公開とすると説明した。

説明会は兵庫県宝塚市で非公開で行われ、長谷川一明社長らが出席。オンラインで中継した別会場も含めて遺族や負傷者ら計65人が出席した。

説明会後に記者会見した長谷川社長は、一般公開は社会に事故の事実を伝える意義があるとする一方、遺族や負傷者の「つらい思いや悲痛も重く受け止めている」と理由を述べた。例外として事故当時に救助に携わった警察や消防関係者、運輸事業者は要望があれば公開するとしている。

長谷川社長は施設について「哀悼や命の大切さを伝えていく場にしたい」と述べ、将来的な一般公開については引き続き検討したいとした。

大川小、神戸の壁、JALの機体・・・ 災害や事故の遺構保存 これまでも議論に

JR福知山線脱線事故の事故車両をはじめ、災害や事故の遺構の保存を巡っては、被害者遺族や負傷者の心情と教訓を後世に継承する意義、災害や事件事故に関する記憶の風化など、さまざまな観点から過去にも各地で議論となってきた。

平成23年の東日本大震災の津波で児童・教職員84人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小では、被災した校舎の保存を巡り、「つらい記憶を思い出したくない」「未来の子供たちを津波被害から守ることにつながる」など賛否両論があったが、最終的に教訓を伝える震災遺構として保存され、一般公開されている。

同じく津波で被災し、43人が犠牲となった同県南三陸町の防災対策庁舎も「見るのがつらい」という遺族感情を踏まえ、解体するか、伝承のため保存するかで揺れたが、今年3月に町長が「庁舎が未来の命を守る役割を担っている」として震災遺構として保存すると表明。恒久保存の結論に至った。

一方、7年の阪神大震災では、震災遺構の概念が現在ほど一般的でなく、多くの被災建物が取り壊され、保存されているのはごく一部だ。

震災で倒壊せず、その後震災の〝生き証人〟として神戸市長田区から兵庫県淡路市に移された市場の防火壁「神戸の壁」(幅約14メートル、高さ約7メートル)はその一つ。啓発にあたる団体は「物は世代を超えて残る。遺構があることで、より真実味をもって語り継ぐことができる」と重要性を語った。

JR福知山線脱線事故のように自然災害ではない重大事故でも、遺構保存の取り組みはある。520人が亡くなった昭和60年の日航ジャンボ機墜落事故では、現場となった「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)の墜落地点に「昇魂之碑」が設置され、麓にある「慰霊の園」とともに遺族らが毎年慰霊登山して黙禱(もくとう)をささげる。

同社はそのほか、航空安全を啓発するための教育研修施設「日本航空安全啓発センター」(東京都)を平成18年に開館し、残存機体や操縦士らの音声を記録したボイスレコーダーなどを展示。全グループ社員(約3万6500人)が新人研修や10年目研修などで同施設を見学するほか、一般の見学も受け入れており、年間平均で4千人を超える人が訪れるという。

同社は「安全の原点である御巣鷹での事故を風化させず、グループが持つ安全文化を継承するために継続して実施している。社員一人一人が事故の悲惨さを学ぶとともに、自身の業務と安全をどう結び付け行動していくか、考える場としていきたい」としている。

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