1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

腕時計強奪、中国人容疑者の「ヒット&アウェー」手口 狙われた日本市場、品質保証・信頼度高く

産経ニュース / 2024年8月14日 7時0分

事件のあった宝飾店「トキオカ」は臨時休業のままになっている=13日午後2時33分、大阪市中央区(鈴木源也撮影)

大阪・心斎橋の宝飾店で7日、男性店員(30)が刺殺され、高級腕時計が奪われた事件で、強盗殺人容疑で送検された中国籍の后馭波(ホウユボー)容疑者(27)は短期滞在の資格で入国してから包丁などを準備し、わずか3日後には店舗に押し入った。強奪後は即時出国を企てて空港に向かっており、当初から「ヒットアンドアウェー」の犯行計画だったとみられる。事件発生から14日で1週間。高騰の一途をたどる腕時計市場では、防犯対策の一層の強化を迫られそうだ。

お盆真っただ中の13日も、現場となった大阪・ミナミの心斎橋筋商店街は普段通り、ショッピングバッグを抱えた訪日外国人客(インバウンド)でごった返していた。

アーケード下の通路の両側だけで、高級腕時計やブランドバッグ、宝石を販売する数十店の宝飾店がひしめく。「タックス・フリー」(免税)を掲げ、中国のスマートフォン決済サービスを利用できるとPR。富裕層をターゲットにしつつも、歴史的円安を背景に総じてインバウンドの財布のひもは緩んでいるとみられ、活況を呈す店内では従業員がスマホの翻訳をアプリを使いながら、忙しそうに接客していた。

逮捕された后容疑者が来日したのは今月4日。そこから襲撃用の包丁などを準備し、7日午後に買い物客を装って宝飾店を訪れた。

商談スペースに案内された容疑者が「見たい」と所望したのが、スイスの時計メーカー「パテックフィリップ」の超高級腕時計。6280万円相当の逸品がショーケースから取り出されると、容疑者はすぐさま強奪し、立ちふさがる店員を包丁で刺して逃げた。

関西国際空港の国際線ターミナルに容疑者が姿を見せたのは午後4時過ぎ。警戒していた大阪府警の捜査員に身柄を確保された。

時計業界関係者によると、新型コロナウイルス禍以降、投資・転売の対象としての高級腕時計の取引が世界的に加熱。そんな中、日本の市場は海外の顧客からも人気が高い。正規品を保証書付きで販売している店舗が多く、扱う商品に対する信頼度の高さがその理由という。

東京都内で貴金属買い取り店などを展開する「宝石広場」広報、杉本恭平さん(37)は「日本ではメンテナンスが行き届き、中古品でも状態がいいと認識されている。円安のお得感もあり、人気がますます高まっている」と話す。

一方で高級腕時計を狙った強盗、窃盗事件は後を絶たない。偽物とのすり替えや、夜間に店へ侵入するなど手口はさまざま。昨年5月には、東京・銀座の高級腕時計ブランド「ロレックス」に仮面をつけた男が押し入る事件も発生、防犯対策の重要性がクローズアップされた。

「宝石広場」では、強盗対策として路面店は避け、2階以上に出店。防犯カメラや非常通報ボタンを設置し、夜間は防犯システムを作動するといったハード対策はもちろん、「事件を受け、今まで以上に防犯警戒意識を高めている。警備員の常駐化や、来店を予約制にするといった意見も出ており、検討中だ」(杉本さん)という。

もっとも、高額商品だけに、購入を決断してもらう上で、試着をさせないというわけにはいかないようだ。心斎橋筋商店街のある宝飾店は試着は1人3本までと決めて対応している。店員(52)は「うちが販売しているパテック社の腕時計は高くて約1千万円だが、接客時により緊張感を持つようになった」と明かす。「客を装って刃物で襲われるなんて本当に怖い。商店街の同種の店同士で、防犯対策を協議できたら」と話していた。(鈴木源也、木下倫太朗)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください