拉致国連シンポで被害者家族「怒りの気持ちで譲歩せず被害者奪還を」 政府に奮起求める
産経ニュース / 2024年6月28日 14時2分
北朝鮮による拉致問題の解決に向け国際連携を強めようと、日本や米国、韓国などの共催で27日夜にオンライン形式で実施された国連シンポジウム。参加した日本の拉致被害者家族が終了後に取材に応じ、手応えを口にした一方、日本政府には「怒りの気持ちを持って被害者奪還に取り組んでほしい」と一層の奮起を求めた。
「世界に拉致解決、訴えられた」
拉致被害者、横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の弟で、家族会代表の拓也さん(55)はシンポで、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記に向け、「めぐみを返せ」と強い口調で求めた。シンポ後は、「北朝鮮と世界に人権問題である拉致問題の解決を訴えられた」などと手応えを語った。
ただ、政府による取り組みの成果は見えてこない。岸田文雄首相は昨年5月、日朝首脳会談の早期実現に向け、自身直轄の「ハイレベル協議を行う」と初めて表明したが、それから1年以上が経過している。
拓也さんは取材に、「情報が分からず家族の立場としては苦しい」とした上で、「政府は怒りの気持ちをもって、北朝鮮に対し譲歩せず、全拉致被害者を取り戻す決意を伝えてほしい」と求めた。
高齢家族思うと「冷静ではいられない」
同席した田口八重子さん(68)=同(22)=の長男、飯塚耕一郎さん(47)は、北朝鮮が今年はじめごろから拉致問題に関する談話を複数回、発表するなどしたことに触れ、「交渉が進んでいるのでは、という期待がある」。
一方、めぐみさんの母の早紀江さん(88)や、有本恵子さん(64)=同(23)=の父、明弘さん(95)の健康状態には懸念を募らせており、「いち早く解決しないといけないと思うと、冷静ではいられない。(政府は)最短で家族が帰ってこられるようにしてほしい」と訴えた。(橘川玲奈)
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