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北朝鮮IT技術者は外貨の「稼ぎ頭」 安い労働力、入手情報はサイバー攻撃に活用

産経ニュース / 2024年9月6日 19時5分

北朝鮮が核ミサイル開発の費用などを調達するため、経済制裁をかいくぐって外貨稼ぎを活発化させている。中でも〝稼ぎ頭〟といえるのがIT技術者たちだ。大阪府警は6日、北朝鮮に衣料品を不正輸出したとして外為法違反容疑で男(85)を書類送検したが、衣料品の購入費には北朝鮮のIT技術者らが稼いだ外貨が使われていた。

国連安全保障理事会によると、北朝鮮のIT技術者は北朝鮮国内だけでなく、中国やロシアなど海外に3千~1万人いる。IT技術者は身分証明書を偽造するなどし、企業が不特定多数に仕事を発注する「クラウドソーシングサイト」に登録。アプリやソフトウエア開発を相場より安価で請け負っているという。

その安さは業界内では魅力的だ。北朝鮮事情に詳しい韓国関係者によると、米国人のフリーランスのIT技術者に業務を委託すれば時給約100ドルかかるのに対し、北朝鮮のIT技術者は同20~80ドル。「睡眠時間以外はほぼ一日中働かされていることもある」という。

では、北朝鮮のIT技術者がどのように身分を偽装しているのか。国際問題アナリストで元国連専門家パネル委員の古川勝久さんは「協力者から名義貸しを受けるケースのほか、ビジネス向けSNSで他国の実在する人のアカウントを乗っ取るケースがある」と指摘。日本国内にも複数の協力者がいるという。

古川さんによると、北朝鮮は近年、IT技術者が得た内部情報をもとにハッカー部隊によるサイバー攻撃も展開。IT技術者との二本柱で「外貨獲得部隊」として活動しているとみられる。

国連安保理は今年3月、北朝鮮は外貨収入の約50%をサイバー攻撃によって獲得していると指摘。ハッカー集団が各地で暗躍し、暗号資産関連の企業にサイバー攻撃をしかけているとした。2017~23年、北朝鮮が関与したサイバー攻撃で30億ドル(約4500億円)を得た疑いがあるとして警鐘を鳴らす。

北朝鮮IT技術者の暗躍は、企業側にとって技術流出も懸念される。警察庁も今年3月、北朝鮮IT技術者の特徴をまとめ、日本国内の企業や団体向けの注意喚起文書を公表した。古川さんは「企業や行政側は北朝鮮のIT技術者が入り込んでいるケースも考えられる。さらなる啓発が必要だ」としている。(鈴木文也、有川真理)

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