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国内「パレスチナ反戦デモ」の裏でうごめく過激派 公安当局、新たな組織拡大活動に警戒

産経ニュース / 2024年6月18日 6時0分

イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ攻撃への抗議デモ。過激派が関与している可能性が指摘されている=5月26日午後、福岡市中央区(一部画像を処理しています)

パレスチナ自治区ガザで続くイスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘をめぐり、警察当局などが日本国内で散発するパレスチナ反戦デモに警戒を強めている。反原発デモなどを主導してきた過激派が関与しているとみているためだ。外国人を巻き込みつつ、組織拡大に向けた勧誘の場に利用している可能性があり、党派(セクト)を超えた緩やかな〝連帯〟に当局が神経をとがらせている。

5月26日、福岡市中央区の天神交差点近くで「ラファ反戦アクション」が開かれた。呼びかけ人は両親がガザ出身で福岡市内に住む中学3年生、エルジャマル・モハメド君。パレスチナ自治区に縁のある人やパキスタン人、エジプト人らのほか、差別や人権問題などに関心のある日本人ら約300人が参加した。

「大量虐殺をやめろ」「パレスチナに自由を」といったプラカードに交じって「改憲・戦争阻止!」といった集会の趣旨とは少しずれた主張が書かれた幟(のぼり)もなびいていた。一行が「フリー、フリー、フリー、ガザ!」「虐殺やめろ!」などとシュプレヒコールをあげながら、福岡市の繁華街・天神地区を40分ほどかけて練り歩いた。

その数日前にデモ参加を呼び掛ける記者会見を行ったモハメド君の狙い通り、抗議活動は盛況に終わったが、この日、彼の姿はなかった。会見に同席した福岡パレスチナの会の沖園理恵氏は「デモ当日は中学校の運動会だったようだ。彼のスケジュールを最優先したが、運動会のことが頭から飛んでしまっていたみたい」と説明した。

そもそも日本の過激派はパレスチナ問題を長く闘争テーマとし、テロやゲリラ事件を国内外で引き起こしてきた。政府関係者は「反イスラエルという受け入れやすいテーマを掲げ、デモや勉強会を開いて自らのセクトに若者を勧誘している」と指摘。警備当局者も「社会に対して素朴な反感を持つ学生や青年たちが左派政党や過激派の標的になっている」と話す。

平成23年の東電福島第1原発事故後、全国的に反原発デモが広がった際にも左派政党や過激派の関与が疑われ、関心を持った参加者らが取り込まれる事例が相次いだ。先の政府関係者は「今回も反原発デモのときと同じ手法で過激派や学生組織などがうごめき、新たなオルグ(勧誘)の機会に利用している」と警戒を強める。

過激派の元幹部はデモなどを通じたオルグに関し、「激しい運動を展開しながらシンパを増やす手法は中核派が最も得意とするところだ。デモを繰り返すことで社会に怒りを持つ人たちの心に火をつけ、組織拡大をもくろんでいるのだろう」と分析する。

この元幹部が指摘する通り、各地のデモでは過激派とみられる人物が参加しているケースが多く確認されているという。大阪では昨秋から月2、3回のペースでデモ行進が行われ、最大で500人規模が集まる。公安当局者は「激しく対立してきたセクトが同じデモに参加していた。正直、驚いている」と話す。

今月23日には福岡パレスチナの会などが中心となり、在福岡米国領事館(福岡市中央区)近くでのデモを計画しているが、このデモの事前告知のために5月中旬に同市内で開かれた集会には、日本赤軍の元メンバーで映画監督の足立正生氏がゲストに招かれていた。日本赤軍は武装闘争による日本を含めた世界革命を目指す国際テロ組織で、足立氏はスポークスマンとして元最高幹部の重信房子氏と行動をともにしてきた〝革命家〟だ。

デモへの参加を呼び掛ける際、主催者側が「くれぐれも火炎瓶とか持ってきてはダメですよ」などと注意すると、参加者から「ロケット砲はいいんですか」との声が飛び、会場は爆笑の渦に包まれた。主催者側もしゃれにならないと思ったのか、「くれぐれも武器は持ってこないでください」との念押しを忘れなかった。

警察庁幹部は「現時点ではデモは暴徒化していないが、水面下の動きについては強い関心を持っていく」としている。(千田恒弥)

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