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苦肉の全会一致、兵庫知事不信任 維新、迷走の末に賛成

産経ニュース / 2024年9月19日 21時20分

不信任決議案が可決され、議場を後にする斎藤元彦兵庫県知事=19日、神戸市中央区の兵庫県公館(渡辺恭晃撮影)

兵庫県議会は19日、斎藤元彦知事に対する不信任決議案を全会一致で可決した。内部告発文書に端を発した「県政の混乱」を理由に、辞職をかたくなに拒む斎藤氏に、議会がなしうる最後の一手を繰り出した。もっとも、ここに至るまで各党の思惑は入り乱れ、文書で指摘された斎藤氏の疑惑の解明を脇に置いて、結論だけを先取りした感が否めない。議会のかりそめの大同団結は、停滞打破の一歩となるのか。

「退く口実」

「知事が何を考えているか、まったく分からない。おかげで候補者も定まらないまま知事選に突入しなければならない」

県議会最大会派の自民党のあるベテラン県議が嘆息する。前回県議選からまだ1年半しかたっていないが、斎藤氏が議会解散に踏み切る可能性も否定できない。選挙費用の負担を考えれば、不信任は取りたい手段ではなかった。

議会開会に先立ち、全議員86人による辞職申し入れというステップを挟んだのも斎藤氏に退く口実を与えたかったから。だが法的拘束力のない示威行為でしかないことは明白。粘る斎藤氏に、それだけ議会も追い詰められていたといえる。

前回知事選では、日本維新の会とともに斎藤氏を推薦した自民。もっとも井戸敏三前知事の後継に当たる対立候補の支持を主張した議員も多数いた。3月に浮上した文書問題への対応では、県議会の「伝家の宝刀」といわれる調査特別委員会(百条委員会)の設置に賛成するなど、斎藤氏の疑惑を追及する姿勢を早々に打ち出してはいた。

遠のく真相解明

だが斎藤氏の辞職を求める世論が、調査のスピードをはるかに上回って燃え上がり、疑惑解明よりも〝クビ切り〟のタイミングを計らざるを得なくなった。斎藤氏の2回目の証人尋問が予定されていた6日は、自民県議らの間で「政局」と位置付けられ、斎藤氏の答弁を受け、一気に「不信任やむなし」に傾いた。

一方、自民と相乗りで斎藤氏を推した維新は迷走した。6月の百条委の設置には反対し、第三者機関の調査を優先すべきだと訴えた。吉村洋文共同代表(大阪府知事)は7月下旬の時点で「何が事実で、何が事実でないか、うやむやにしたまま終わりにするのは違う」と調査優先の考えを強調していた。

潮目が変わったのは、8月25日の大阪府箕面市長選。大阪維新の会公認の現職が敗北し、党内に衝撃が走った。兵庫県政における斎藤氏擁護ともとれる姿勢が、拠点の大阪に影響したと深刻な受け止めが広がった。

吉村氏の当初の発言とは裏腹に、維新は百条委の調査を待つことなく不信任にかじを切る。「結果が出てから判断すると申し上げてきたが方針転換する。批判は真正面から受けたい」。維新の藤田文武幹事長はこう釈明したが、議会での真相解明は遠のいた。

「ポスト斎藤氏」見えず

不信任を突き付けられた斎藤氏は、議会解散か身を引くか、19日の段階では態度を留保した。もっとも議会解散を選んでも、改選後の再度の不信任決議は確実といえ、知事選は避けられない。

自民内部では次の候補者として「県政の混乱を収束させるには、県庁内部の人材が適切」との意見も上がる。一方、県政改革を訴えてきた維新は外部人材の登用が大前提だが、候補者選びは難航しそうだ。〝ポスト斎藤〟の青写真は、いずれの党も明確とはいえない。

「どの事実が歪曲(わいきょく)された事実なのかを整理してパネルにし、会見やSNS、ブログで発信したらいい。放っておいても誰もやってくれません」

大阪維新の横山英幸幹事長(大阪市長)は、斎藤氏の発信力について自身のブログでこう苦言を呈した。そして元総務官僚の斎藤氏を担いだことを自戒するようにこう記した。「首長は政治家です。役人じゃない」

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