1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

3分で消えた2.8億円ロレックス、犯行グループに突かれた「警備員なし」の隙

産経ニュース / 2024年10月24日 20時52分

盗まれた配送車の経路

大阪市中央区の路上で5月、高級腕時計ロレックス172本(2億8千万円相当)を積んだ配送車が車ごと盗まれ、男らが逮捕された事件で、盗まれたロレックスが国内で数本しか押収されておらず、大半が見つかっていないことが24日、捜査関係者への取材で分かった。大半がすでに海外で売却されている可能性があるという。

新たに2人逮捕

大阪府警は同日、窃盗容疑で新たに盗品の処分役と実行役の男2人を逮捕。逮捕者は計7人となった。府警はさらに共犯者がいるとみて捜査を進めている。

捜査関係者によると、事件の数分前、現場付近の防犯カメラには配送車の白いライトバンの後方約10メートルを不審車が追尾する様子が写っていた。60代の女性ドライバーが荷物を運び出すため、配送車から離れた約3分間の隙に、車から男1人が出て配送車に乗り込んだという。

配送車のドアは無施錠でキーもついたまま。日本ロレックス社側が正規代理店への配達を大阪市の物流会社に依頼した「コスモグラフ デイトナ」や「サブマリーナー デイト」などがジュラルミンケース5つに積まれていた。

その後、配送車と車は大阪市浪速区塩草の路上に移動。周辺の防犯カメラには実行役の男らが配送車からジュラルミンケースを車に積み込む様子も写っていた。

配送車は外観からそれと分からない仕様で、府警は犯行グループが配送車の移動ルートなどの内部情報を何らかの形で事前に入手していた疑いもあるとみて、組織的なロレックス窃盗の実態解明を急ぐ。

府警はこれまでに指示役の住所・職業不詳、森北健二(55)と尾崎明彦(39)両容疑者や、実行役の暴力団組員ら3人を逮捕。24日には新たに盗品処分役の宝塚市逆瀬台の職業不詳、尾崎拓真(33)と実行役の住所・職業不詳で韓国籍の黄裕司(コウユウシ)(40)両容疑者を逮捕した。

「配送ルート複数確保し、ランダムに」と識者

2億8千万円分のロレックスがわずか3分で消えた。近年の高級腕時計ブームにより、ロレックスなど人気ブランドの需要は高まる一方で、窃盗・強盗事件の被害も後を絶たない。今回はロレックスを大量に積んだ配送車が白昼堂々、街中で乗り逃げされるという大胆かつ周到な手口。専門家は「店舗を狙うよりリスクが低く、警備の隙を突いた巧妙な犯行だ」と指摘する。

「犯行グループは、配送車が停車する時間やルート、さらには配送を行う人物まで、すべての情報を把握したうえで犯行に及んでいるのではないか」。犯罪ジャーナリストの石原行雄さん(55)はこう推測し、反社会的勢力の人脈が使われた可能性を指摘する。

府警は、盗まれたロレックスのシリアルナンバーを全国の貴金属買い取り店などに伝えて追跡している。ただ、これまでに確保できたのは、兵庫県宝塚市などの店から通報があった数本のみ。石原さんは「すでに海外に持ち出され、換金されているだろう。あれだけの本数をさばくとなればかなりの人員がいる。盗品処理担当、換金後の現金運び屋など組織的に動いているだろう」とみる。

事件ではドライバーが1人で配送を担当。警備員もつけておらず、高額な積み荷に対する安全管理態勢としては十分だったとは言い難い。

捜査関係者によると、配送は日本ロレックス社側が大阪市の物流会社に依頼。そこからさらに下請けの業者に再委託されていた。ロレックス側は配送状況について詳細に把握していなかったという。石原さんは「配送する側は普段は時間との闘い。エンジンをかけた状態で車を離れることも多い。今回はロレックスを運んでいたにもかかわらず『いつも通り』の方法をとってしまったところが狙われた」と話す。

防犯アドバイザーの京師(きょうし)美佳さん(53)は「今回の配送状況は億単位の荷物を運ぶ会社としてはずさんだ」と指摘する。数億円相当の荷物を扱う場合、配送に際しては警棒などを装備した警備員を同行させたり、警備計画を策定したりすることが一般的だといい、「配送ルートも複数用意し、ランダムに通るといった対策をとる必要がある」とした。

(鈴木源也、木下倫太朗)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください