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警察当局で高まる大阪・関西万博の警備 喫緊のローンオフェンダー対策、安全神話継続を

産経ニュース / 2024年8月18日 12時0分

来年春に開催される大阪・関西万博に向けて、警察当局の緊張感が高まりつつある。事業費が当初の予定より膨らむなど批判もある中、開会式の日程も正式に決まった。半年間にわたって行われる国際イベントなだけに、警備の成功には関西の府県警にとどまらない、日本警察を挙げた対応が欠かせない。

2800万人来場か

「国際的注目が集まる中、ローンオフェンダー(単独の攻撃者)やサイバー攻撃をはじめとするテロ対策を徹底する必要がある」

今年7月24日、警察庁の露木康浩長官は、同日設置された大阪・関西万博警備対策推進室会議の席でこう述べ、改めて現場に覚悟を促した。

日本では過去5回、万博が開催されている。

警察庁などによると、来場者数が最多だったのは1970(昭和45)年の大阪万博で、実に6421万人。次いで1990(平成2)年の大阪花博2312万人▽2005(平成17)年の愛知万博(愛・地球博)2204万人▽1985(昭和60)年のつくば科学万博2033万人▽1975(昭和50)年の沖縄海洋博349万人-と続く。

今回の大阪・関西万博では、来年4月13~10月13日の184日間に2800万人の来場者が見込まれている。半世紀前の大阪万博に次ぐ、規模の雑踏警備となる。

万博には、テーマが2つ以上の「登録博(条約改正前は一般博)」と、特定のテーマに絞られた「認定博(条約改正前は特別博)」がある。過去5回の日本開催の万博は大阪万博が一般博、愛知万博が登録博(認定博とする説もあり)、残る3つが特別博だった。

今回の大阪・関西万博は大規模博覧会に当たる登録博だが、警察関係者は「治安当局の力量が国際的に問われる点で、両者は全く変わりがない。大阪府警は3回目(の万博警備)で、高い経験値という優位性がある」と指摘する。

日韓W杯でテロ計画

一方、別の警察関係者は、昨今の要人警護とテロ対策について「これまでは右翼や左翼といった思想や、宗教を背景とする政治犯が主流だったが、動機が不透明なローンオフェンダーの台頭でフェーズ(局面)が大きく変わっている」と解説する。

大規模イベントの機会をとらえてテロが計画されるケースは少なくない。2010年のサッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の開催中にはウガンダで決勝戦をテレビ観戦していた客らを狙った爆弾テロが発生し76人が死亡。13年には米国のボストンマラソンで爆弾テロがあり、3人が死亡した。

02年のサッカーW杯日韓大会を巡っても、イスラム過激派組織アルカーイダの元ナンバー3で前年の01年に起きた米中枢同時テロの主犯格とされるハリド・シェイク・モハメドが「日本でスタジアム爆破テロを計画していた」と米捜査当局に証言。「日本には組織がなく、断念した」と供述していたことも明らかになっている。

「安全神話」の真価

不特定多数を狙ったものだけでなく、各国の首脳や王室が訪れる万博での要人警護は、雑踏警備と並んで警察当局の最重要課題だ。

今年7月には大統領選の集会でドナルド・トランプ前米大統領が銃撃され負傷し、その2カ月前には中欧スロバキアでロベルト・フィツォ首相が銃撃され重傷を負うなど要人を狙ったテロは世界各地で相次いでいる。

警察幹部は「前回の大阪万博経験者はさすがにいないが、20年前の愛・地球博の経験者や、そこで得られた教訓は残っている」と胸を張るが、日本でも2022(令和4)年の安倍晋三元首相銃撃事件、昨年の岸田文雄首相襲撃事件が相次いで発生しており、決して失敗は許されない任務といえる。

昨年の広島サミットで警察当局は全国から計2万4千人を投入し警備に当たり、戦時下のゼレンスキー・ウクライナ大統領の電撃訪問にも対応。主会場だった宇品(うじな)島(広島市南区)の警戒では、海上保安庁とタッグを組んだ。大阪・関西万博の会場は人工島の夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)。やはり海保との連携は不可欠といえそうだ。

「日本の治安を巡る『安全神話』は単なる神話ではないことを全世界に示してほしい」。ある警察OBは「現役」たちの奮闘に期待を寄せた。

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