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海自機密漏洩、露武官は悠々帰国 日本の情報保全体制の脆弱さ浮き彫りに 警視庁150年 110/150

産経ニュース / 2024年11月16日 8時0分

「警視庁まで来てもらえますか」。平成12年9月7日夜、東京都港区の洋風居酒屋で語り合う日本人とロシア人の男性2人を突然、捜査員が取り囲んだ。観念したように応じた海上自衛隊の3佐。一方の在日ロシア大使館のボガチョンコフ駐在武官は「外交特権がある。応じる必要はない」と車で立ち去った。

警視庁公安部と神奈川県警は、武官に海自の機密情報を漏洩(ろうえい)したとして、自衛隊法違反容疑で3佐を逮捕した。外務省を通じて武官の聴取を要請したが、ロシア側は拒否。2日後、武官は報道陣の問いかけに無言のまま、成田空港からモスクワへ出国した。

3佐は11年1月、防衛研究所主催のシンポジウムで武官と知り合った。次第に親交を深め、防衛庁(当時)の持ち出し禁止情報を武官に渡す見返りに、現金や飲食接待を受けていた。武官はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の情報官も兼ねていたとみられ、在日米軍の潜水艦情報や自衛艦の建造計画に関心を寄せていたという。

3佐は武官を通じてロシア側の情報を得ようと考えていたが巧みに手玉に取られ、情報提供者にさせられていた。12年11月の初公判で、3佐は罪状認否に続く意見陳述で、「自分がロシア研究の第一人者になりたいと思って、秘密扱いの資料を貸与してしまった」と経緯を語った。

事件は日本の機密情報保護の脆(ぜい)弱(じゃく)性を浮き彫りにし、翌13年には機密保全体制を強化するため自衛隊法が改正された。(橋本昌宗)

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