狙われる太陽光発電の送電ケーブル 盗難被害は昨年上回るペース、摘発最多はカンボジア人
産経ニュース / 2024年9月30日 21時35分
今年に入り、関東を中心に、太陽光発電設備の送電ケーブルなど金属製品を狙った窃盗被害が多発している。送電ケーブルに使われている銅などが目的とみられる。今年上半期の被害は4161件と、昨年1年間の5361件を上回るペースで推移している。摘発されているのはカンボジア人が最多となっており、警察当局は外国人を含む「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」が暗躍しているとみて、全国の警察に対策強化を指示している。
背景に銅の価格上昇
警視庁捜査3課は8月、群馬県の太陽光発電施設に金網を切って侵入し、銅のケーブル約160メートル分(時価約7万円相当)を盗んだとして、タイ国籍の男らを摘発。男らは1回5万円の報酬を受け取って犯行を繰り返しており、指示役などの上位者がいるとみられている。
金属盗全体に占めるケーブル盗の割合は、令和5年には32・9%だったが、6年上半期には38・7%と上昇。約9割が関東地方で発生し、6年上半期は中部地方の被害が増えている。
太陽光発電施設は山中など人目の少ない場所にあることが多く、犯行が気付かれにくい上、まとまった量のケーブルを盗めるという特徴がある。また、被害急増の背景には、銅の国際価格が上昇していることがあるとみられる。警察幹部は「夜間でも感電の恐れがあるのに、被害が後を絶たない」と話す。
摘発の6割以上が外国人
ケーブル盗に関与したとして摘発を受けた犯人グループのうち、6割以上を外国人が占める。6年上半期では60人が摘発され、うちカンボジア国籍が28人と最多。日本21人、タイ5人、ベトナム4人、ラオス2人と続いている。
警察幹部は「ケーブル盗は金銭的損害だけでなく、送電ができなくなるという社会インフラに与えるダメージも大きく、看過できない。規制の在り方を検討するとともに、摘発を強化していく」と話している。(橋本昌宗、内田優作)
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