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「女性版ゴーン」異名、女子医大・岩本絹子元理事長 ワンマン経営、大学私物化か

産経ニュース / 2025年1月13日 19時35分

警視庁捜査2課が13日、背任容疑で逮捕に踏み切った東京女子医大の元理事長、岩本絹子容疑者(78)は「1強体制」ともいわれる絶大な権力を背景に公私混同の経営を長年続けてきたとされる。名門医大を巡る混乱は元トップの刑事事件に発展したが、大学を巡る不透明な資金の流れはどこまで解明されるのか。捜査に注目が集まる。(外崎晃彦)

大学関係者などによると、岩本容疑者が同大の中で頭角を現したのは平成25年。同窓会組織「至誠会」の会長に就任したころからとされる。至誠会は、傘下に「至誠会第二病院」などの医療機関も擁し、女子医大の運営にも大きな影響力を持つ組織という。

プロポフォール事件後、副理事長就任

東京女子医大では26年に入院患者の2歳男児に鎮静剤プロポフォールを過剰に投与して死なせる医療事故が発生。信頼を大きく失い、患者離れが起きた中で、経営面の立て直しを一任される形で副理事長に就任したのが岩本容疑者だった。

岩本容疑者の経営手腕は際立っていた。経営責任を担う「経営統括理事」も担い、人材や医療設備の削減などコストカットを徹底。大学病院の赤字は黒字に転じた。「女性版カルロス・ゴーン」との異名を取り、職員から恐れられる存在になっていったという。

31年4月に理事長に就任すると、それまで「トロイカ体制」として、教育・研究、病院・臨床、法人経営の3役がそれぞれ独立していた分業・指示系統を廃止。岩本容疑者が一手に担うようになり、「事実上のワンマン経営者として君臨し、大学を私物化するようになった」(関係者)という。

3年で1000人、大量の人材流出

一方で、事業の統廃合など、医療現場の実情に見合わない過剰な削減も目立ったことから職員らが離反。大量の人材流出を招いた。大学や病院の教職員数は令和2年度の約6800人(研修医含む)から3年間で約千人減少。病床使用率も落ち込んだ。

大学が設けた第三者委員会は、岩本容疑者に権限が集中する「1強体制」に問題があり、大学がガバナンス(組織統治)不全だったと認定。抜本的な改革が必要だとした。

「宝塚ファン」「高級ブランド好き」…関係者の声

「職員にはコスト削減の徹底を求めるが、自身に近しい人物にはお金をつぎ込むことをいとわなかった」。岩本容疑者を知る関係者はそう批判する。

大学などによると、岩本容疑者は創立者、吉岡弥生の一族。昭和48年に東京女子医大医学部を卒業後、56年に江戸川区で産婦人科を開業した。

平成31年に理事長となった際には、経営する産婦人科から人材を抜擢し、幹部を自身に従う人物で固める一方、意に沿わない意見を持つ人物を徹底的に排除したという。

ある医師は「医療業務で使っていたパソコンを(岩本容疑者に)差し押さえられ、中身を確認された。反逆心がないか疑心暗鬼になっていたのだろう」と明かす。

宝塚歌劇団のファンで、高級ブランドの服やアクセサリーなどを好んで身に着けていたという。至誠会が業務委託した企業の中には、岩本容疑者がプライベートで入れ込む俳優の関係会社もあったとされる。

医療に興味なし、「とにかくお金第一」

別の医師は「とにかくお金が第一。医療や病院診療には興味はない。お金を稼ぐことにもっとも力を入れていた」とも指摘。その影響で人材流出につながったとし、「女子医大は給料は高くない。お金が欲しくて女子医大で仕事している医者はそもそも多くない。医療やサービスに欠かせない資源をコスト削減のもとに切ったため、多くの医師や看護師が女子医大を去ってしまった」と憤った。

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