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神戸6歳児死亡事件から1年 一時保護に踏み切れず 児童虐待を防ぐための課題とは 

産経ニュース / 2024年6月22日 19時16分

神戸市西区の草むらで昨年6月、近くに住む穂坂修(なお)ちゃん=当時(6)=の遺体が見つかってから22日で1年。同居の母親や叔父ら4人が今年4月に傷害致死罪などで起訴され、真相解明の場は公判廷に移る。一方、事件では修ちゃんの一時保護を見送るなど行政側の対応も問題となった。神戸市は第三者委員会で経緯を検証しており、専門家は「問題点を今後に生かしていく必要がある」としている。

修ちゃんの遺体は昨年6月22日夕、スーツケースに入った状態で見つかった。兵庫県警は殺人容疑で、母親の沙喜被告(35)や叔父の大地被告(33)ら4人を逮捕。神戸地検は約8カ月間に及ぶ鑑定留置の結果、4人の刑事責任を問えると判断する一方、殺意の立証は困難とみて傷害致死罪と死体遺棄罪で起訴した。

地検は4人の認否を明らかにしていないが、事件を主導したとみられるのは大地被告だ。事件に至る過程にも、その存在が大きく影響している。

周囲から仲良し親子とみられていた修ちゃんと沙喜被告だが、令和4年末ごろに大地被告が同居するようになって以降状況は一変。修ちゃんは保育園を休みがちになり、5年4月には園の職員が修ちゃんの体にあざがあるのを見つけ、修ちゃんは「(誰かに)された」と話した。

園側から報告を受けた区の職員が家庭訪問したが、沙喜被告や祖母と面談し、「あざに心当たりはない」と聞き取っただけ。市の虐待対応マニュアルでは、通報から原則48時間以内に目視で安否確認することになっているが、修ちゃんに会えたのは7日後だった。

その後、沙喜被告などから一時保護の要望があり、検討したこともあったが、祖母や大地被告から「(修ちゃんが)外に出るとテンションがあがってしまうため、家族でみていく。一時保護は必要ない」などと断られ、保護には踏み切らなかった。

管轄する市の担当者は一時保護の相談のケースでは「親族が子育ての手伝いのため同居することも多く、大きなリスクであるとの認識に至らなかった」と説明する。

ただ、大地被告は修ちゃんらとの同居前、妻にドメスティックバイオレンス(DV)を繰り返していたとされる。その情報は区で把握していただけで市や児童相談所との情報共有などはされておらず、いくつもの兆候が見逃された結果、幼い命が奪われた形だ。

市は一連の対応が適切だったか、学識経験者や弁護士でつくる第三者委員会を設置し、調査を進めている。併せて、各区に入った情報をすべて県警と共有するなどの対応も始めた。

関西大の山縣文治教授(子ども家庭福祉学)は「DV歴などがあると虐待リスクも高まるため、家族一人ずつに聞き取るなどし、アセスメント(分析・評価)が適切かその都度確認していく必要があったのではないか」と指摘。第三者委による調査結果を再発防止に生かしていく必要があるとしている。(安田麻姫)

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