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神宮再開発巡る落書き事件で環境活動家を略式起訴 「エコテロリズム」エスカレートに警鐘

産経ニュース / 2024年7月16日 19時43分

昨年から始まった明治神宮外苑(東京都新宿区など)の再開発事業に抗議するため、伊藤忠商事東京本社の敷地内に落書きをしたとして米国籍の環境活動家ら5人が警視庁公安部に書類送検され、今月、略式起訴された。環境保護や動物愛護を旗印にした過激な活動は世界各国で問題化。テロ行為に走る「エコテロリズム」にエスカレートするケースも懸念され、関係者は警戒を強めている。

伊藤忠本社や工事現場に落書き

「木を切るな」「GRENWASHING」

昨年10月、伊藤忠商事東京本社敷地内のレストランなどがある伊藤忠ガーデンのモニュメントや壁側面4カ所に赤いスプレーなどによる落書きが見つかった。7月にも神宮第二球場の解体工事現場に設置されたパネル31カ所にスプレーを使って「皆の神宮外苑 守ろう」などとスプレーによる落書きが見つかった。

神宮外苑では再開発が進められ、敷地内にある743本の樹木を伐採し、新たに837本を植える計画だ。一部の周辺住民や環境団体などが敷地内の樹木の伐採による環境破壊や、景観の変化などを訴え、抗議活動を続けている。落書きは再開発事業に参画する企業の伊藤忠商事が標的にされたとみられる。

5人はノウハウ共有し犯行か

同社からの被害届を受け、警視庁公安部が捜査。今年6月に仏国籍の自動車メーカーの男、米国籍の大学准教授の男、英国籍の高校教諭の男、カナダ国籍の高校教諭の男、日本人の会社員の男の5人を暴力行為処罰法違反容疑で書類送検し、7月に略式起訴された。

捜査関係者によると、5人は、交流サイト(SNS)や抗議デモなどで知り合ったとみられ、中には海外の過激な環境団体とつながりのある者もいたという。落書きのやり方などのノウハウを共有しながら犯行に及んだとみられる。

伊藤忠商事は今月3日、ホームページで「このような悪質な行為は決して許されるものではなく、当社は今後も毅然(きぜん)とした姿勢で臨む所存」とコメントした。

過激化する環境保護団体

環境保護や動物愛護を訴える活動は、1980年ごろから米国で過激化したとされる。「動物解放戦線(ALF)」や「地球解放戦線(ELF)」など、爆破や放火などの過激な手法を用いる団体も現れ、米連邦捜査局(FBI)が国内テロ組織に認定するなど、取り締まりを強化した。

日本でもイルカ漁が行われている和歌山県太地町では、反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)が漁の妨害を組織し、外国人活動家らによる嫌がらせが加速した時期もあった。

近年ではグローバルな経済活動を批判し、徹底的な地球温暖化防止策を求める環境保護団体や、動物実験や毛皮など動物の殺害や搾取を一切認めない動物愛護団体なども出現している。

エコテロリズムに発展の可能性も

エコテロリズムに詳しい大和大学の佐々木正明教授によると、過激行動に走る活動家らは「良識は悪い慣習より勝る」との考えから、違法行為をしてでも抗議の意を示す「市民的不服従」といわれる手法で、道路封鎖や文化財の毀損(きそん)といった「直接行動」を起こす。原理主義的思想に染まるうちに徐々に直接行動がエスカレートし、暴力的な行為に走るエコテロリズムに発展するという。

警察の取り締まりを回避するため、交流サイト(SNS)などで呼びかけて集まり、メンバーはあだ名で呼び合うなど、匿名性が高いのも特徴だ。

佐々木氏は「神宮外苑の事件は日本でエコテロリズムに発展しかねない事案で警鐘といえる。最も危険なのは海外の団体に感化された人物がローンオフェンダー(単独の攻撃者)化して社会へのテロ行為を行うことだ。目を光らせる必要がある」と指摘する。(大渡美咲、橋本昌宗)

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