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急いだ処分、守らなかった通報者 百条委で見えた告発者処分強行の構図 知事は何を語るか

産経ニュース / 2024年9月6日 7時0分

告発者の処分は正しかったのか-。兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)で5日、元県西播磨県民局長の男性(60)を公益通報の保護対象とせず、処分した斎藤元彦知事らの対応が審議された。「処分は適切だった」と主張する斎藤氏。だが、この日の百条委では、専門家が「公益通報者保護法に違反している」と指摘し、斎藤氏の主張を揺るがしかねない証言も出た。6日には斎藤氏のほか、片山安孝・元副知事の尋問が予定されており、何を語るのか注目される。

この日午前に始まった百条委。初めに、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭し、男性を処分した斎藤氏らの対応について見解を述べた。

男性が匿名で告発文書を作成、配布したのは3月中旬。斎藤氏は男性を告発者と特定し、同27日に県民局長を解任して内部調査を始めた。

男性は4月4日、県の公益通報窓口に文書とほぼ同じ内容を通報。しかし、県は5月7日に「文書の核心的な部分が事実ではない」として停職3カ月の懲戒処分とした。男性は7月に死亡、自殺とみられる。

同法では通報者の保護が定められているが、斎藤氏は、男性が告発文書を「噂話を集めて作成した」と話したと説明。告発文書には「信ずるに足る相当な理由(真実相当性)がなく、公益通報には当たらない」との主張を繰り返している。

だがこの日、奥山氏は告発文書には大筋で正しい内容も多々あり、公益通報が含まれていることは明らかだと評価。その上で、男性を早期に処分した斎藤氏らの対応について、「軽々に公益通報に該当しないと判断せず、公益通報に関する調査が終わるのを待つべきだった」と指摘した。

また3月27日の記者会見で、斎藤氏が「公務員失格」などと男性を非難したことに触れ「県の行政府のトップである権力者が、公の場で部下の一個人に対して、いわば公開パワーハラスメントに及ぶことは許されない」と言及。斎藤氏の主張を真っ向から否定した。

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午後に証人として出頭したのは、県の内部調査に協力した藤原正広弁護士。藤原氏は県の人事課から「内部通報に関わらず、処分できるか」と相談を受けた際、文書に真実相当性がなく「処分は可能」と回答したと証言した。

藤原氏のこうした回答や協力は、斎藤氏が内部調査について「第三者性が保たれており、客観性がある」と主張する根拠となっている。

藤原氏は尋問で「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で(調査には)客観性がある」と強調した。ただ一方で、自身が県から依頼された立場であることなどから、広く県民から納得されるという意味において「客観性はない」と認めた。

処分を巡っては、斎藤氏が「噂話を集めて作成した」との文言だけを男性の供述内容として公表していることに、「恣意(しい)的だ」などと批判が集まっている。

斎藤氏はこれまで、処分に至る詳しい経緯の開示を拒否。百条委で求められれば証言するとしている。6日の証人尋問の結果次第では、県議会が不信任決議に向かう可能性もあり、斎藤氏がどのように正当性を示せるのかが焦点となりそうだ。

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