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薬物や偽物「水際で食い止める」 クリスマス前に厳格検査 横浜税関川崎外郵出張所

産経ニュース / 2024年11月7日 16時35分

国際郵便物を検査する麻薬探知犬とハンドラー(横浜税関提供)

本格的な冬の訪れを前に、日本への国際郵便物の約8割を扱う横浜税関川崎外郵出張所(川崎市川崎区)が検査体制を強化する。この時期はクリスマスプレゼント用に、海外のネット通販業者や個人から届く小包が増加。その中に潜む違法薬物や偽ブランド品などを水際で食い止めるため、総務部門などの職員も動員して検査を徹底する。

〝二人六脚〟で

「OK、ナイス、グッドボーイ!」

まるでパーティーのように陽気な声が、広大な検査フロアの一角で響いた。麻薬探知犬による検査の様子だ。「探知犬のモチベーションを高めるため、大げさなくらいにほめている」と、ハンドラー役の職員が説明してくれた。

集中力を保つため、複数の犬でローテーションを組み、作業は1回10分間。疑わしい郵便物が見つからなくても、最後には薬物臭を付けたダミーの郵便物をわざと仕込み、発見させている。「探知させ、ほめてやる。成功体験によってやる気を引き出す工夫」だ。

クリスマスの季節は、薬物使用のハードルが低い国から、日本滞在中の友人へ「これで羽目を外して」とばかりに薬物を送ってくるケースが見られるという。

また「荷物を受け取り、転送する仕事」として闇バイトに応募し、薬物密輸に加担して逮捕される例も近年相次いでおり、税関などが注意を呼び掛けている。

偽造品は中国発が圧倒

税関は財務省の機関で、全国を9地域に区切って管轄。横浜税関に属する川崎外郵出張所は川崎東郵便局の局舎内にあり、海外から船で届くすべての郵便物、西日本への小包などを除くすべての航空郵便物を24時間体制で検査している。

令和5年に摘発した覚醒剤、大麻などの薬物密輸は206件で、発送元の国はタイ、米国、オランダなどが目立っている。

一方、偽ブランド品やコピー品といった「知的財産侵害物品」の発送元は、中国が圧倒的に多い。今年上半期(1~6月)輸入を差し止めた約8千件のうち90%近くを中国が占め、2位(マレーシア、約7%)以下を引き離している。

メーカーと協力

「どちらが本物か見分けられますか?」

目の前に置かれた2つの高級化粧品。同じに見えるが、片方は偽物という。一体どこで判別できるのか。「詳しくは言えないが、メーカーと密に情報交換を行っている」と、知的財産部門の調査官は明かす。

市場価値や人気が高い商品ほど偽物を作られるリスクが高く、メーカー側はネット通販での出品などを注視している。自社の利益を守るため、偽物を発見したら正規品と異なる判別ポイントを探し、税関側に情報を寄せてくるという。

偽物にも季節性があり、夏はTシャツ、冬はプレゼント用なのかブランド品や宝飾品が多い。今月、米大リーグで活躍する大谷翔平選手の所属するドジャースがワールドシリーズを制覇したことで、偽物のユニホームやグッズが持ち込まれることも一層増えそうだ。

川崎外郵の金子憲一所長は「大量の郵便物を効率的に検査するため、人工知能(AI)も活用して精度を高めていきたい」と話す。(山沢義徳)

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