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伊丹十三監督襲撃 暴排へ威信かけ捜査 警視庁150年 90/150

産経ニュース / 2024年10月15日 7時0分

後藤組本部に200人を超す捜査員が大規模な家宅捜索を行った=平成4年12月4日、静岡県富士宮市

平成4年5月22日夜、映画監督の伊丹十三さんが自宅に帰宅した際、待ち伏せていた暴力団組員らに襲われ、刃物で首や顔などを切りつけられた。緊急手術で一命は取り留めたが、全治3カ月の重傷を負った。背後から羽交い絞めにされ、刃物で顔や首などをゆっくり切りつけ、恐怖心をあおるという凄惨な方法だった。

暴力団がはびこる日本社会の病巣をコミカルに表現した新作「ミンボーの女」が6日前に公開されたばかり。暴力団から人気監督に向けられた理不尽な凶刃に世間の耳目が集まった。

「民暴(みんぼう)」とは暴力団が民事的紛争に介入し、不当な利益を得る「民事介入暴力」の略語。映画ではホテルにゆすり行為をする組員らを、ミンボー専門の女性弁護士とホテルマンらが毅然(きぜん)と撃退する様子が描かれた。映画の公開は、暴力団対策法の施行と時期が重なったことから、犯人検挙は暴力団排除を掲げる警視庁にとって威信をかけたものとなった。

数百台に及ぶ犯行車両のリストアップや、現場周辺数キロにわたるローラー作戦など捜査を徹底。半年後、傷害容疑で指定暴力団山口組の2次団体「後藤組」幹部ら5人を逮捕した。捜査関係者によれば、後藤組は際立った暴力性で知られ、襲撃の際に小ぶりだが厚みのある「アジ切り包丁」を使い、恐怖心をあおる手口が特徴。事件後、同年12月に警視庁や静岡県警が後藤組事務所を捜索した際も、建物内では乱闘のような状況も起こったという。逮捕直後の記者会見で伊丹さんは、「信念は変わらない」(12月4日付本紙)と述べ、暴力団に対抗する姿勢をより鮮明にした。

後藤組はその後解散したが、流れをくむ団体は今も活動を続ける。一方で、警察の取り締まりなどで暴力団排除は進んだ。暴対法が施行された平成4年に約9万人いた暴力団の構成員、準構成員は令和5年には約2万人にまで減少。「暴力団の介入を許さない」という社会の機運は不動のものとなった。

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