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「夢のマイホーム」全国で建て替えの憂き目に 1級建築士による耐震偽装 警視庁150年 122/150

産経ニュース / 2024年11月28日 7時0分

平成17年11月、国土交通省は、千葉県の建築設計事務所の1級建築士が建物の構造計算書を偽装していたと公表した。耐震強度が大幅に不足するマンションやホテルが各地に建てられていることが明らかになった。

震度5強程度の揺れで倒壊する恐れがある欠陥住宅・マンションが次々と確認され、深刻な社会不安を引き起こした。「事務所とは一切取引がない」と発表する大手建設会社もあった。

この元建築士による偽装物件は全国で90件以上確認。耐震強度が国の基準のわずか15%しかないマンションもあり、住民らは夢のマイホームを奪われ、建て替えや退去を余儀なくされた。

警視庁などの合同捜査本部は、延べ約4万5千人の捜査員を投入。オウム真理教による地下鉄サリン事件などの捜査以来とも言われた大規模な捜査で、元建築士やマンション販売会社元社長など9人を逮捕。6人が起訴された。

元建築士は建築基準法違反や、国会の証人喚問で噓の証言をしたとする議院証言法違反などの罪に問われた。裁判では「偽造は、設計の数をこなして金を稼ぐことが目的だった」「建物が倒壊したら、そのときはそのとき」などとする供述調書が読み上げられた。懲役5年、罰金180万円の実刑が確定した。

偽装を民間の検査機関などが見逃していたことなど、関係者の職業倫理の欠如が刑事事件にまで発展した。18年には建築基準法が改正され、一定規模以上の建物について、専門機関による構造計算書の再チェックが義務付けられ、建築士らの罰則も強化された。(橋本愛)

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