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避難所提供の農園「自慢のスイカ」で再起へ イチゴ全滅、クラファンで資金集め奔走

産経ニュース / 2024年7月4日 12時13分

避難所として活用されたイチゴの栽培ハウス (皆口さん提供)

元日に起きた能登半島地震で、避難所としてイチゴの栽培ハウスを開放していた石川県珠洲(すず)市の「みなくち農園」が、本業の完全復活に向けクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。地震では収穫を目前にイチゴが全滅。ほかの畑や倉庫、設備も大きな被害を受けた。地震から半年。農園を営む皆口英樹さん(44)は「自慢のスイカ」の成長を見守りつつ再起へと奔走する。

元日夕、震源に近い珠洲市正院町岡田の集会所前に、皆口さんら自宅が被害を受けた住民が集まっていた。頼みの集会所も被災して使えず、行き場を失っていた。「僕のハウスに行きましょう」。皆口さんは避難所として近くにあるイチゴの栽培ハウス2棟を使うよう提案した。

2棟は昨年5月の地震で設備が被害を受け、更新作業のため空きスペースとなっていた。地震当日から住民ら約50人がハウスに避難。発電機もあったため電気ヒーターを稼働させ、真冬の寒さをしのいだ。

市内で断水が長期化する中、皆口さんは山の雪解け水をパイプにつなげて引き込むことに成功。トイレや生活用水にも困ることがない珍しい避難所となった。5月5日までの4カ月余り、ハウスは避難所として住民のよりどころとなった。

一方で、本業の農業が受けた被害も深刻な状況だった。収穫を目前に控えていたイチゴは栽培システムが倒壊し、全て枯れてしまった。スイカやアズキ、サツマイモを育てる予定だった畑も地震で大きな亀裂が入ってしまった。

倉庫の被害などは国などの補助もあるが、全ての修復には多額の費用が見込まれる。皆口さんは4月、復旧に向け全国に支援を求めることにし、CFを通じて資金を集め始めた。すでに200人以上から約620万円の資金が集まったが、イチゴの収穫は次のシーズンは難しく、再来年の年頭を目指さざるを得ない状況という。

代わりに現在、丹精を込めて育てているのがスイカだ。「寒暖差が大きい気候とミネラル豊富な珪藻土(けいそうど)によって育つ。作り方はまねできても、この地の風土はまねできない」。成長しつつある青い実を手に、皆口さんは完全復活を誓った。

寄付は5日まで、CFサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で募集している。(木津悠介)

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