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「危機感希薄になってきた」…大阪北部地震6年 私有地で進まぬブロック塀撤去へ説得続く

産経ニュース / 2024年6月17日 21時18分

ブロック塀が撤去され、フェンスが設置された大阪府高槻市立寿栄小学校=6月15日、大阪府高槻市(川村寧撮影)

最大震度6弱を観測した大阪北部地震は18日、発生から6年となる。地震では関連死を含め6人が死亡し、このうち大阪府高槻市の小学4年生の女児=当時(9)=は登校中、倒壊した小学校のブロック塀の下敷きになった。ブロック塀の倒壊は過去の地震でも繰り返され、今年1月の能登半島地震の被災地でも死者が出ている。危険なブロック塀撤去の必要性が指摘されているが、私有地では状況の把握すら容易ではなく、実効性ある対策が立てられていない。

大阪府教育庁は地震後、所管する府立学校で倒壊の恐れがあるブロック塀撤去とフェンスへの置き換えを進め、令和3年度末までに132校で完了させた。だが、4年度に府へ移管した大阪市立高校7校では危険なブロック塀が残されたままだ。担当者によると、民間の建物と密接しているため住民との交渉などが必要だといい「撤去の必要性は承知しているが、ただちにというのは難しい」という。

犠牲者が出た高槻市も地震後、ブロック塀撤去を進めてきた。市立施設のブロック塀を全て撤去し、新設時にも設置しない方針を決定。小中学校では、地震発生後、令和4年度までの約5年間で全てのブロック塀を撤去。公民館などその他の市立施設でも9割以上で撤去し、令和10年度までに全ての撤去が完了する見込みだ。

民間のブロック塀には撤去費用の補助制度を導入、平成30年度は20万~30万円を補助し、258件の申請があった。令和元年度には最大100万円に増額したものの、申請件数は66件と4分の1程度に落ち込み、その後も低迷している。

撤去をてこ入れしようと、市は4年度から幹線沿いや通学路沿いなど倒壊した場合の被害が大きい場所にあるブロック塀645件をリストアップし、所有者を訪問して撤去を呼びかけてきた。5年度は補助額を最大300万円に引き上げ、この2年間で38件が応じたという。

市担当者は「地震発生から時間がたつにつれ、危機感も希薄になってきた」。費用も手間もかかる撤去は、所有者の意思次第だ。「撤去費用がかかる」「プライバシーが守れない」と拒否反応を示されるケースは多く、また、市内にどれだけのブロック塀があるかの把握も難しい。市は「地道に声かけをして撤去を進めたい」としている。

能登半島地震でも被害「インセンティブ必要」

元日に最大震度7を観測した能登半島地震の被災地でも、ブロック塀の倒壊による犠牲者が出た。本震から1カ月以上が経過した2月10日、石川県七尾市内で片付けをしていた60代男性が、倒れてきたブロック塀の下敷きになり死亡。隣接する建物との間にあるブロック塀近くで作業中だったという。

ブロック塀の倒壊で女児が死亡した事故を受けた事故調査委員会で委員長を務めた関西大社会安全学部の奥村与志弘教授は「ブロック塀が世の中に広がっている背景には、比較的低コストで手軽なことがある」と指摘。「建築物の技術的な標準が広がっていくには50年単位の時間がかかるとされ、余程のインセンティブがないとすぐには進まない。行政の地道な取り組みはもちろん、施工事業者も安全安心な技術開発を進めてほしい」と訴えた。(格清政典、木ノ下めぐみ)

■大阪北部地震 平成30年6月18日午前7時58分ごろ発生。同府高槻市や大阪市北区などで最大震度6弱の揺れを観測した。関連死を含め6人が死亡、うち高槻市立寿栄(じゅえい)小4年の三宅璃奈(りな)さん=当時(9)=が登校中、約40メートルにわたって倒れたブロック塀の下敷きになった。住宅被害は滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良の5府県で計6万棟超に上った。朝の通勤ラッシュと重なり多くの出勤・帰宅困難者が出たほか、エレベーターに閉じ込められる事案も相次いだ。

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