被災地ボランティアのアスベスト被害の実態把握へ 市民団体がアンケート調査 対象は阪神大震災、東日本大震災、能登半島地震など
産経ニュース / 2024年6月27日 21時0分
研究者や弁護士らでつくる市民団体「災害とアスベスト 阪神淡路30年プロジェクト」実行委員会は27日、神戸市役所で記者会見し、阪神淡路大震災や東日本大震災、今年元日に起きた能登半島地震の災害ボランティアらを対象に、アスベスト問題に関するアンケート調査を来月1日から実施すると発表した。
アスベストは建材製品に使われていた繊維状けい酸塩鉱物。その粉塵などを吸い込むと肺がんや中皮腫といった健康被害を引き起こす恐れがあることから、平成18年に労働安全衛生法改正で全面的に禁止された。
被災地ボランティアは倒壊した建物の解体や瓦礫処理の際、粉塵化したアスベストを浴びるリスクに直面している。実行委のメンバーは被災地を訪れ、ボランティアや解体業者らに防塵マスクを配布したり、アスベストの危険性の周知を行ったりしているが、現地の自治体そのものが粉塵化を抑えるなどの対策を十分に考慮していないとみられるケースが多いという。
こうしたことから、実行委は災害ボランティアに従事した人や現地の人たちを対象に、アスベスト問題の実態に関するアンケートを実施することにした。
アンケートの質問は、がれき処理経験の有無▽アスベストの健康被害の認知▽現場でのアスベスト注意喚起の有無―など計13項目。調査期間は7月1日~10月31日。調査結果をまとめた報告書を来年1月のシンポジウムで発表する予定。
実行委の南慎二郎・立命館大講師は「アスベストは10年以上で健康被害が出るといわれ、近年、阪神淡路大震災で健康被害を受けた人が出てきている。来年で震災30年を迎えるのを機に、調査結果をもとに研究を進め、アスベスト被害の実態の記録を後世に残したい」と述べた。
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