警戒レベルを名称に 分かりやすさ優先 専門家「受け手の行動を変える」
産経ニュース / 2024年6月18日 23時2分
気象庁などの検討会が18日にまとめた防災気象情報の改善策では、災害種別によって名称が異なったり、災害危険度を示す警戒レベルがそろわなかったりする複雑な情報体系を一覧表の形に整理した。5段階の警戒レベルのうち、「2」~「5」をそれぞれに冠したのが最大の特徴で「分かりやすさ」を優先した。
「レベル化を押し出したことでシンプルにした。だが、これはあくまでホップ、ステップのステップだ」。有識者検討会座長の矢守克也京都大教授は18日の記者会見でこう述べた。
防災気象情報は乱立している。例えば、大雨の情報は河川増水に警戒を呼び掛ける国土交通省の「指定河川洪水予報」と気象庁の「洪水警報・注意報」が混在。これと別に降水量が排水能力を超えることで生じる「内水氾濫」を対象とする大雨警報(浸水害)もある。
気象庁は平成30年に起きた西日本豪雨の教訓から、矢守教授が「ホップ」と位置付ける警戒レベルを導入。自治体が発令する避難指示を「レベル4」とし、ここに至るまでの全員避難を目指した。さらに今回、災害種別ごとにレベル「2」~「5」を名称に付し、一覧表の穴を埋めた。
だが、警戒レベルも周知途上のため大幅な単純化に慎重な意見もあり、令和4年1月から8回開かれた検討会は難航。河川の水があふれる現象は「洪水」か「氾濫」か、「大雨」では何が起きるか分からないので「大雨浸水」とするか、専門家の意見は割れた。
判断の決め手は今年2月に行った一般向けアンケートだ。「洪水」より「氾濫」を選んだ人が8割いたことから「氾濫」に集約し、「大雨警報」の認知度が7割以上と高いため、「大雨浸水警報」は見送られた。
一方、洪水危険度を上げるトリガーは現況を示す水位情報のみとされ、雨量予測を基にした気象庁の「流域雨量指数」は参考情報とされた。「精度に問題がある」(国交省関係者)からだが、有効活用が今後の課題だ。
東大大学院の片田敏孝特任教授(災害社会工学)は「本質的には受け手の行動を変えることが重要。レベル4は『まずい』、5は『アウト』と認識してほしい」と話した。(市岡豊大)
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