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中小河川でも家屋流され…「谷底平野」リスク 能登半島豪雨で専門家が警鐘

産経ニュース / 2024年9月29日 21時3分

石川県能登地方で起きた大雨災害では16の中小河川が氾濫(はんらん)し、川沿いの「谷底平野」で被害が拡大した。近年、全国の山間部で同様の水害が繰り返されている。早めの避難行動が求められるが、中小河川では浸水想定区域が指定されていないことも多い。自治体は川沿いの住民には早めに避難を呼びかけるなどの工夫が必要だ。

同県輪島市では21日に市内を流れる河原田川が氾濫し、能登半島地震の被災者が入る同市宅田町の仮設住宅団地2カ所が浸水。被害拡大後に救助される住民も相次いだ。

国土地理院の標高地形図によると、団地の西約200メートルには数メートル高い台地状の地形があり、「入居者への注意喚起や避難の呼びかけが不十分だった可能性がある」(市幹部)との声も出ている。

河川中流は上流から流れてきた土砂が堆積し、川べりと同じ高さに谷底平野が形成される。地形によっては数万年以上前の谷底平野が隆起するなどして台地状の「段丘面」が形成される。

川は水深が深く、川幅が狭いほど流れる水流が強くなるため、中小河川で増水するとカーブ外側で堤防が削られることがある。さらに氾濫すると谷底平野全体が川のようになり、水かさが急激に増すため強い力で家屋などが押し流される。

平成29年の九州北部豪雨では福岡県朝倉市の赤谷川などで起きた氾濫で42人が犠牲となった。28年の台風災害では岩手県岩泉町の小本川で21人が犠牲に。23年の紀伊半島豪雨でも和歌山県那智勝浦町の那智川などで50人以上の死者が出た。

大河川と違い、全国に約2万ある中小河川は行政がリスクを把握しにくい。能登半島の状況を調べた静岡大防災総合センターの牛山素行教授(災害情報学)は「能登は避難先になる台地があまりなく被害が出た。谷底平野のリスクを把握し、川べりと同じ高さに建つ家屋は注意しなければならない」と話した。(市岡豊大)

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