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大阪北部地震6年「みんなが助かる」防災、考える64のきっかけ…地震経験の児童らがまとめる

産経ニュース / 2024年6月18日 12時26分

関西大学初等部の児童らが開催した「BOSAI FESTA」。市民らが防災体験に参加した=今年3月、大阪府高槻市(関西大学初等部提供)

最大震度6弱を観測した大阪北部地震の発生から6年となった18日、登校中だった小学4年生の三宅璃奈(りな)さん=当時(9)=が倒壊したブロック塀の下敷きになり犠牲となった大阪府高槻市立寿栄小学校では、浜田剛史市長や西田誠教育長、松山健次校長らが地震発生時刻の午前7時58分に合わせて黙禱(もくとう)した。

正門前に献花台が置かれ、浜田市長らが当時ブロック塀が倒れた現場に一礼して献花した。浜田市長は「あってはならない事故で、一日たりとも忘れたことはない。地震が起きたことを風化させることなく、強靭(きょうじん)なまちづくりを進める」と話した。

地震は平成30年6月18日に発生。大阪府北部が震源地で、地震の規模はマグニチュード(M)6・1で、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良の5府県で計6万棟を超える住宅が被害を受け、関連死を含め6人が死亡した。

地震経験児童ら 対策まとめ本に

6年前の大阪北部地震は、当時小学校に入学したばかりだった児童の心にも深く刻まれた。「地域のみんなが助かる防災」のため、自分たちにできることはなにか。「必要な防災活動を自分たちでやってみて伝える」と市民向け体験会から始まった取り組みは、「防災ブック」出版にと結実した。

大阪府高槻市の関西大学初等部。6年前、地震が発生した午前7時58分には、ほとんどの児童たちが登校を終えていた。原田理功(りく)さん(12)と西平桜さん(13)=いずれも現関西大学中等部1年=は、校庭で朝顔への水やり中で、突然の大きな揺れに、原田さんは校舎内へ逃げ、西平さんは「足がすくんで動けなかった」。

同校ではけが人はなかったが、この日は臨時休校に。地震の被害が報じられると、恐怖が身近に感じられた。

5年生になった令和4年夏、「人と防災未来センター」(神戸市)を見学したときも、大阪北部地震の記憶がよみがえった。近い将来に南海トラフ地震が予想されていることも知り、原田さんは「とてもひとごととは思えなかった」という。

そこで、総合学習の時間に災害への備えや行動などを学んだ。昨年2月、成果を発表するイベント「BOSAI FESTA」を初等部がある高槻ミューズキャンパスで開催。必要なものを詰め込んだ防災用リュックを作って走ったり、目隠しをして避難したりする体験を用意した。約200人の市民らが参加したが、「『みんな』に伝えるにはどうすればいいか」と考えたのが本の出版だった。

原稿は6年生の児童60人が夏休みに書いた。「やってみた、体験したことを書いた方が子供らしい話になる」。関西大社会安全学部の河田恵昭特任教授のアドバイスを受け、何度も書き直した。昨年10~11月にクラウドファンディングで費用を募ると目標額を上回る約112万円が集まり今年2月、「やってみた! いのちを守る64の防災活動」(さくら社)の出版にこぎつけた。

ペットボトルの水で手洗いする際の節水法など児童が自ら考え、実践した防災対策64例を紹介、専門家らへのインタビューや寄稿なども加えた。指導にあたった関西大学初等部の石井芳生教諭と堀力斗教諭は「児童たちの強い思いが出版を実現させた。大学側の協力も得られたことは今後につながっていくのでは」と話す。

原田さんは「地震はいつ起こるかわからない。対策をしたい」。西平さんも「6年前はパニックになって何もできなかった。この本には防災について考えるきっかけが64詰まっているので、参考にしてもらえれば」と話した。(格清政典)

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