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能登半島地震の教訓、将来の災害に生かす 通信大手が企業の垣根超え協力、設備を共同利用

産経ニュース / 2025年1月1日 14時0分

令和6年元日に発生した能登半島地震から1年が経過した。被災地では生活インフラが大きな打撃を受け、復旧作業も難航した。その教訓から、通信大手各社は大規模災害の発生時に通信網を早期復旧させようと異例の協力体制を構築した。進化した防災技術は、今後の発生が懸念される国内の大規模災害だけでなく、世界の災害救助にも役立てられようとしている。

いまだ復旧の途上

NTTグループやKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルは昨年12月、大規模災害の発生時におけるネットワークの早期復旧を目的とした協力体制を構築した。各社の事業所や資材置き場、給油拠点などを共同利用し、大規模災害発生後の復旧作業を効率化させる。NTTグループとKDDIが保有する船舶にソフトバンクや楽天の船上基地局を設置し、沿岸地域への救援物資の輸送と通信サービスの提供の両立も可能とする。

能登半島地震では土砂崩れや道路の崩壊などで、被災した通信設備へのアクセスが困難を極めた。携帯電話の通信エリアは約3カ月後に復旧を完了し、通信できるようにはなっているものの、光ファイバーケーブルなどの固定回線網は損傷を受けたままで、通信品質は回復していないのが現状だ。

国内では人口密集地を直撃する首都直下地震や太平洋側の広範囲に被害が想定される南海トラフ巨大地震など、企業単独では対応しきれない巨大災害が懸念されている。各社は今後、連携を深め、災害発生時の対応などについて協議していく。将来的には海外の災害での支援活動も検討する。

防災AIがフィリピンで本格展開

日本で育った防災技術は海外からも注目を集めている。防災・危機管理サービスを提供する「スペクティ」(東京都千代田区)はAI(人工知能)を使って災害時の情報を収集・整理する、危機管理サービスをフィリピンで本格展開する。

スペクティのサービスはSNSや気象情報、ライブカメラの映像、人流や自動車走行の交通データなどをAIがリアルタイムで分析。災害の発生状況などを可視化し、今後のリスクや影響範囲などを予測する。SNSのデマ情報などを検知できるのも特徴の一つだ。国内では報道機関のほか、自治体や企業での導入が進んでおり、災害対応の計画策定などでも一役買っている。

台風や地震の被害が頻発するフィリピンのほか、タイやベトナムへの展開を検討しており、2028年には東南アジア諸国連合(ASEAN)や東アジア全域に拡大させる計画だ。30年には災害対策市場でトップシェアを目指すとしている。

海外事業責任者を務める根来諭最高執行責任者(COO)は「フィリピンをはじめとした東南アジアの国々は、まだまだ災害時の情報収集能力が十分でない現場が多い。比較的安価に、災害への対応能力を飛躍的に向上させることができる」としている。(高木克聡)

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