「お盆の書き入れ時期なのに」震度5強で店内散乱の飲食店、営業見通せず 「トランポリンに乗っているみたい」な 震度5強に襲われた鹿児島・大崎町
産経ニュース / 2024年8月9日 14時12分
8日夕、宮崎県南部で震度6弱を観測した地震。鹿児島県内で最大となる震度5強の強震に襲われたのは県東南部にある大崎町だった。町内では木造2階建ての家屋が崩壊。飲食店ではケースが倒れ、食品が散乱するなどの被害が出た。地震から一夜明けた9日、町長の被害現場の視察や倒壊家屋の撤去作業が行われた。
町役場から約160メートルほど。木造2階建ての民家は1階部分が押しつぶされる形で倒壊していた。崩れた家屋は自宅前の道路まで倒れこみ傷痕の深さを物語っていた。
午前9時ごろから地元の土木作業員らが、がれきの撤去作業や倒壊した家屋の解体作業を始めた。町によると、家屋には80代の夫婦が室内にいたが、家屋から逃げ出し、けがはなかったという。
家屋の倒壊現場の近くで仕出し弁当を販売する飲食店では、調理場にあったショーケースが転倒したほか、冷蔵庫内の食材が散乱した。同店を経営する小牟田浩さん(60)は、店から外へ出た瞬間に揺れが襲ったといい、「下から突き上げるような揺れでトランポリンに乗っているみたいだった」とため息を漏らした。
「お盆に向け食材も購入して準備していたが、すべて使えなくなり困った。弁当の予約を千個ほど受けていたが、これからの見通しが立たない」。小牟田さんは肩を落とした。
同店は帰省シーズンにあたるお盆の時期を前にこれからが書き入れ時だ。敷地内は地盤が隆起し、水道などの配管も損傷。火災の危険性もありガスも止めざるをえない。店の従業員らは散乱した調理場を片付ける作業に汗を流した。
自宅兼店舗で暮らす小牟田さんの母、詔子(のりこ)さん(80)は「昨晩は近くの妹の家に泊まった。しばらくは妹の家に世話になる」。余震も続く中、不安を吐露した。
大崎町の東靖弘町長(80)は職員が朝から被害状況を調査し、情報を収集していると明かした。東町長も午前7時ごろから町内の状況を視察し、道路の隆起や亀裂などを確認した。
「情報の収集と分析を行い、県や国と協議したうえで早急な復旧に取り組む」。今回の地震では気象庁が初の「臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。町内は太平洋沿いの志布志湾に面しており、今回の地震では津波注意報が発令された。
東町長は「防災無線などを活用し、引き続き適切な情報発信を行い、町民の防災意識向上につなげたい」と話した。(木下倫太朗)
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