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豪雨で浸水の仮設住宅に避難経て再入居「今はここが大切な家」 家族水入らずの年末年始に

産経ニュース / 2024年12月29日 19時18分

「今は大切な家」と語る仮設住宅で、アルバムを見つめる夫婦=12月27日、石川県輪島市(泰道光司撮影)

地震で被災した能登半島を襲った9月の豪雨で床上浸水などの被害に見舞われた仮設住宅の復旧工事が、年の瀬が迫る中で相次いで完了し、再入居が始まった。度重なる災害で1年の大半を避難先で過ごした石川県輪島市の夫妻も、約3カ月ぶりに戻ることができた。「今はここが大切な家」。年末年始は離れて暮らす娘たちも集い、穏やかな時間を過ごす。

12月26日、避難先だった同県七尾市の旅館から輪島市の仮設住宅「宅田町第2団地」に到着した男性(67)は「やっと帰ってこられた」と安堵(あんど)した。復旧工事で内装はすっかり元通りとなり、妻(69)と一緒に家財道具を入れた段ボール箱の荷ほどきに取りかかった。

最大震度7の地震が起きた元日、輪島市河井町の自宅は全壊。避難所や2次避難先を経て、7月上旬に仮設住宅に入居した。落ち着いたと思った9月21日午前、観測史上最大の豪雨で近くを流れる川が氾濫。同団地では142戸全てが床上浸水し、またもや避難生活を余儀なくされた。

かつての自宅では、新年を迎えると同時に家族同士で「おめでとう」とあいさつ。輪島塗の重箱に詰めたおせち料理や雑煮を味わうのが恒例だった。再入居した仮設住宅は新調したこたつを置くと手狭だが、男性は「家族が集まれる場所があるのは幸せ」とし、例年と変わらない家族水入らずの正月を過ごしたいと願う。

妻は災害に翻弄されながらも人の温かさに触れた1年を思い起こす。「つくづく当たり前の生活が一番だと感じた」(吉田智香)

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