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仮設住宅の候補地は36道府県で災害リスク 産経新聞アンケート「適地確保には限界」の声

産経ニュース / 2024年12月30日 20時12分

災害時に自治体が供給する応急仮設住宅の建設候補地を巡り、少なくとも36道府県で津波や洪水などの被害想定区域を含んでいることが30日、産経新聞が各都道府県に実施したアンケートで分かった。能登半島では元日の地震に続く9月の豪雨で仮設住宅が浸水し、一部は洪水浸水想定区域に位置していた。地震の発生からまもなく1年。各地の仮設住宅で二次災害のリスクを抱える実態が浮かぶが、自治体からは「適地には限りがある」といった声も上がる。

アンケートは11月下旬以降、47都道府県の防災部局などに実施。仮設住宅の建設候補地が津波や洪水、土砂災害などのハザードマップ上で被害想定区域に含まれるケースがあるかどうかなどを聞いた。愛知を除く46都道府県から回答があった。

被害想定区域に含まれる候補地が「ある」と答えたのは大阪など36道府県(78%)。「調査中」は東京など5都県、市町村に選定を任せるなどして「分からない」は4県だった。「ない」は山口1県のみで、県内の候補地226カ所が全て被害想定区域外だとした。

「ある」と答えた各道府県の理由では、「中山間地域が多く利用可能な土地が限られる」(愛媛)、「市町によっては被害想定区域以外で適切な土地を確保することが難しい」(福井)など、適地の確保が難しいとする回答が目立った。また、「被災状況に応じて候補地は大幅に制限されるため、幅広く候補地をピックアップしている」(奈良)など、選択肢を増やす必要性を訴えるケースも複数あった。

神奈川では候補地1721カ所のうち、ハザードマップの被害想定区域外にある公有地など206カ所を「早期着工可能地」と位置づけ、優先的に使用する体制をとっていた。ただ、残る1500カ所余りは、被害想定区域かどうか「分からない」とした。

防災庁に「減災へ財政支援を」

能登半島地震に加え、南海トラフ巨大地震発生の懸念も高まる中、石破茂政権は防災力強化に向け、令和8年度をめどに「防災庁」の設置を目指す。アンケートで防災庁に何を期待するかを聞いたところ、防災・減災面での財政支援や災害時の司令塔としての役割を求める声が目立った。

47都道府県の防災部局などに、防災庁に期待することとして、災害時の財政支援▽防災・減災面での財政支援▽専門家を含む人的支援▽災害時の司令塔一本化-などの選択肢から1つだけ選んでもらった。

最も多かったのは「防災・減災面での財政支援」で11県。「災害時の司令塔一本化」が10県と僅差で続いた。また、23都道府県が「その他」と回答したが、「1つに絞るのが困難」との趣旨で選ぶケースが多かった。

防災・減災の財政支援を求める理由としては、「津波対応や木造住宅の耐震化、集落孤立化防止、避難所の生活環境整備といった対策を進めるには多額の事業費が必要」(香川)など、能登半島地震で浮き彫りになった課題を意識した回答が目立った。東日本大震災で被災した福島からは「被災者支援などソフト対策を含めた財政支援を」との指摘もあった。

一方、司令塔の一本化を挙げた理由で、能登半島地震で影響があった富山は「続発する災害に対応するため、備えから初動・応急対応、復旧・復興まで総合的に担ってほしい」と要望。南海トラフ地震で甚大な被害が予想される和歌山は「大規模災害では各市町村でマンパワー不足が懸念される。全体を統括的に捉え迅速に指揮する組織が必要」と強調した。(藤木祥平、前原彩希)

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